新語 / 輔政
君子遠熒熒之色,放錚錚之聲,絕恬美之味,疏嗌嘔之情。天道以大制小,以重顛輕。以小治大,亂度干貞。讒夫似賢,美言似信,聽之者惑,觀之者冥。故蘇秦尊於諸侯,商鞅顯於西秦。世無賢智之君,孰能別其形。故堯放驩兜,仲尼誅少正卯;甘言之所嘉,靡不為之傾,惟堯知其實,仲尼見其情。故干聖王者誅,遏賢君者刑,遭凡王者貴,觸亂世者榮。鄭儋亡齊而歸魯,齊有九合之名,而魯有乾時之恥。夫據千乘之國,而信讒佞之計,未有不亡者也。故詩云:「讒人罔極,交亂四國。」眾邪合心,以傾一君,國危民失,不亦宜乎!
新字:君子遠熒熒之色,放錚錚之声,絶恬美之味,疏嗌嘔之情。天道以大制小,以重顛軽。以小治大,乱度干貞。讒夫似賢,美言似信,聴之者惑,観之者冥。故蘇秦尊於諸侯,商鞅顕於西秦。世無賢智之君,孰能別其形。故堯放驩兜,仲尼誅少正卯;甘言之所嘉,靡不為之傾,惟堯知其実,仲尼見其情。故干聖王者誅,遏賢君者刑,遭凡王者貴,触乱世者栄。鄭儋亡斉而帰魯,斉有九合之名,而魯有乾時之恥。夫拠千乗之国,而信讒佞之計,未有不亡者也。故詩云:「讒人罔極,交乱四国。」衆邪合心,以傾一君,国危民失,不亦宜乎!
書き下し
君子は熒熒の色を遠ざけ、錚錚の声を放ち、恬美の味を絶ち、嗌嘔の情を疎んず。天道は大を以て小を制し、重を以て軽を顛す。小を以て大を治むれば、度を乱し貞を干す。讒夫は賢に似、美言は信に似て、之を聴く者は惑い、之を観る者は冥し。故に蘇秦は諸侯に尊ばれ、商鞅は西秦に顕わる。世に賢智の君無くんば、孰か能く其の形を別たん。故に堯は驩兜を放ち、仲尼は少正卯を誅す。甘言の嘉みする所、傾かざる靡し。惟だ堯のみ其の実を知り、仲尼は其の情を見る。故に聖王を干す者は誅せられ、賢君を遏ぐ者は刑せられ、凡王に遭う者は貴く、乱世に触るる者は栄ゆ。鄭儋は斉を亡れて魯に帰し、斉は九合の名有りて、魯は乾時の恥有り。夫れ千乗の国に拠りて、讒佞の計を信ずれば、未だ亡びざる者有らざるなり。故に詩に云う、「讒人極まり罔く、交々四国を乱す」と。衆邪心を合わせ、以て一君を傾く。国危く民失わるるは、亦宜ならずや。
現代語訳
君子は眩しい色を遠ざけ、耳をつんざく音を退け、甘く美しい味を断ち、取り入るような媚びの情を疎んじます。天の道は大きなものが小さなものを制し、重いものが軽いものを倒します。小さなものが大きなものを治めようとすれば、度を乱し正しさを損ないます。讒言する者は賢者に似て、美辞は誠に似ていて、聞く者は惑い、見る者は目が暗みます。だから蘇秦は諸侯に尊ばれ、商鞅は西の秦で名を上げました。世に賢明な君がいなければ、誰がその正体を見分けられるでしょうか。だから堯は驩兜を追放し、孔子は少正卯を誅しました。甘い言葉の喜ばれる所は、傾かない国がありません。ただ堯だけがその実を知り、孔子はその内情を見抜きました。だから聖王に逆らう者は誅せられ、賢君を妨げる者は刑せられ、凡庸な王に遭う者は貴ばれ、乱世に触れる者は栄えます。鄭儋は斉を逃れて魯に帰し、斉は九度の盟を主催した名を得、魯は乾時で敗れる恥を負いました。千乗の大国に拠りながら、讒言する者の計を信じて、滅びなかった者はありません。だから『詩』にこう言います。「讒人は際限がなく、あちこちで四方の国を乱す」と。多くの邪な者が心を合わせ、一人の君を傾けるのです。国が危うくなり民が失われるのも、当然ではありませんか。
解説
この章句が説くこと
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『春秋左氏伝』昭公二十一年 華多僚の讒言宋の華費遂、華貙・華多僚・華登を生む。貙は少司馬為り。多僚は御士為り。貙と相惡む。乃ち諸を公に譖して曰く、「貙將に亡人を納れんとす」と。亟(しばしば)之を言ふ。公曰く、「司馬吾が故を以って、其の良子を亡へり。死亡は命有り。吾以って再び之を亡ふ可からず」と。對へて曰く、「君若し司馬を愛せば、則ち如(しか)ず亡げんには。死如し逃る可くんば、何の遠きことか之れ有らん」と。公懼れ、侍人をして司馬の侍人宜僚を召さしめ、之に酒を飲ましめて、司馬に告げしむ。司馬歎じて曰く、「必ず多僚ならん。吾讒子有りて、殺すこと能はず。吾又死せず。抑君命有り、若何す可き」と。乃ち公と謀りて、華貙を逐はんとし、將に孟諸に田せしめて之を遣らんとす。公之に酒を飲ましめ、厚く之に酬い、賜從者に及ぶ。司馬も亦た之の如くす。張匄之を尤(あや)しみて曰く、「必ず故有らん」と。子皮をして宜僚に承(むか)ふるに劍を以ってして之を訊はしむ。宜僚盡く以って告ぐ。張匄多僚を殺さんと欲す。子皮曰く、「司馬老いたり。登の謂(ため)に甚だし。吾又之を重ねば、亡ぐるに如かざるなり」と。
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史記 越王句践世家二歳にして呉、蠡を帰す。句践、会稽より帰りて七年、其の士民を拊循し、用ひて以て呉に報いんと欲す。大夫逢同諫めて曰く、「国新たに流亡し、今乃ち復た殷給す。繕飾して利を備へば、呉必ず懼れん。懼るれば則ち難必ず至らん。且つ鷙鳥の撃つや、必ず其の形を匿す。今夫れ呉は兵を斉・晋に加へ、怨みは楚・越に深く、名は天下に高く、実は周室を害す。徳少なくして功多く、必ず淫して自ら矜らん。越の為に計るに、斉に結び、楚に親しみ、晋に附きて、以て呉を厚くするに若くは莫し。呉の志広ければ、必ず戦ひを軽んぜん。是れ我其の権を連ね、三国之を伐ち、越其の弊に承ずれば、克つべきなり」と。句践曰く、「善し」と。居ること二年、呉王将に斉を伐たんとす。子胥諫めて曰く、「未だ可ならず。臣聞く、句践は食に味を重ねず、百姓と苦楽を同じくすと。此の人死せずんば、必ず国の患と為らん。呉に越有るは、腹心の疾なり。斉の呉に与けるは、疥癬なり。願はくは王、斉を釈きて越を先にせよ」と。呉王聴かず、遂に斉を伐ち、之を艾陵に敗り、斉の高・国を虜にして以て帰る。子胥を譲む。子胥曰く、「王喜ぶ毋かれ」と。王怒り、子胥自殺せんと欲す。王聞きて之を止む。越の大夫種曰く、「臣、呉王の政を観るに驕れり。請ふ試みに之に粟を貸らんことを嘗み、以て其の事を卜せん」と。貸らんことを請ふ。呉王与へんと欲し、子胥与ふる勿かれと諫む。王遂に之に与ふ。越乃ち私かに喜ぶ。子胥言ひて曰く、「王諫めを聴かず、後三年にして呉其れ墟とならんか」と。太宰嚭之を聞き、乃ち数々子胥と越の議を争ひ、因りて子胥を讒して曰く、「伍員は貌は忠なれども実は忍人なり。其の父兄をすら顧みず、安んぞ能く王を顧みんや。王前に斉を伐たんと欲するや、員彊く諫む。已にして功有り、是を用て反りて王を怨む。王、伍員に備へずんば、員必ず乱を為さん」と。逢同と共に謀り、之を王に讒す。王始め従はず。乃ち子胥を斉に使はす。其の子を鮑氏に託するを聞き、王乃ち大いに怒りて曰く、「伍員果たして寡人を欺けり」と。役より反り、人をして子胥に属鏤の剣を賜ひて以て自殺せしむ。
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『春秋左氏伝』成公十六年 晋の政、門多し七月、公尹武公及び諸侯に會して鄭を伐つ。將に行かんとす。姜又公に命ずること初めの如し。公又守を申ねて行く。諸侯の師、鄭の西に次る。我が師督揚に次り、敢へて鄭を過ぎず。子叔聲伯叔孫豹をして逆を晉の師に請はしめ、食を鄭の郊に為る。師逆へて以って至る。聲伯四日食はずして以って之を待ち、使者に食はしめて、而る後に食ふ。諸侯制田に遷る。知武子下軍に佐たり、諸侯の師を以って陳を侵し、鳴鹿に至る。遂に蔡を侵して未だ反らず。諸侯潁上に遷る。戊午、鄭の子罕宵に之に軍し、宋・齊・衞皆軍を失ふ。曹人復た晉に請ふ。晉侯子臧に謂ふ、「反れ。吾而の君を歸さん」と。子臧反り、曹伯歸る。子臧盡く其の邑と卿とを致して、出でず。宣伯郤犨に告げしめて曰く、「魯の季・孟有るは、猶ほ晉の欒・范有るがごときなり。政令是に於いてか成る。今其の謀りて曰く、『晉の政は門多し、從ふ可からざるなり。寧ろ齊・楚に事へん。亡ぶる有るのみ。晉に從ふこと蔑からん』と。若し志を魯に得んと欲せば、請ふ行父を止めて之を殺せ。我蔑を斃して晉に事へん。貳有ること蔑からん。魯貳せずんば、小國必ず睦まじ。然らずんば、歸りて必ず叛かん」と。
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史記 周本紀崇侯虎西伯を殷の紂に譖して曰く、「西伯善を積み徳を累ね、諸侯皆之に向かふ。将に帝に不利ならんとす」と。帝紂乃ち西伯を羑里に囚ふ。閎夭の徒之を患ふ。乃ち有莘氏の美女、驪戎の文馬、有熊の九駟、他の奇怪の物を求め、殷の嬖臣費仲に因りて之を紂に献ず。紂大いに説びて、曰く、「此の一物以て西伯を釈すに足る、況んや其の多きをや」と。乃ち西伯を赦し、之に弓矢斧鉞を賜ひ、西伯をして征伐するを得しむ。曰く、「西伯を譖する者は、崇侯虎なり」と。西伯乃ち洛西の地を献じ、以て紂に炮格の刑を去らんことを請ふ。紂之を許す。
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『晏子春秋』諫上・景公信用讒佞賞罰失中晏子諫景公讒佞を信用し、功無きを賞し、辜無きを罰す。晏子諫めて曰く、「臣聞く、明君は聖人を望みて其の教えを信じ、讒佞を聴きて以て誅賞するを聞かず、と。今、左右と相い説び頌えて曰く、『死者に比べて勉めて楽しみを為さんか、吾安んぞ能く仁を為して愈いよ民を黥するのみ』と。故に内に寵せらるる妾は、国に迫り奪い、外に寵せらるる臣は、鄙に矯り奪い、法を執る吏は、並びに百姓に荷う。民は愁苦約病して、奸は驅り尤いよ佚え、情を隠し悪を奄い、其の上を蔽い諂う、故に至聖大賢有りと雖も、豈に能く若き讒に勝たんや。是を以て忠臣の常に災傷有るなり。臣聞く、古の士は、与に之を得可く、与に之を失う可からず、与に之を進む可く、与に之を退く可からず、と。臣請う之を逃れん」と。遂に馬に鞭ちて出ず。公韓子休をして追わしめて曰く、「孤不仁にして、教えに順う能わず、以て此の極みに至る。夫子休国は焉くにか往かん。寡人将に従いて後あらんとす」と。晏子遂に馬に鞭ちて返る。其の僕曰く、「向の去ること何ぞ速かなる。今の返ること又何ぞ速かなる」と。晏子曰く、「子の知る所に非ず、公の言至れり」と。
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説苑・雜言祁射子、秦の惠王に見え、惠王之を說ぶ。是に於いて唐姑之を讒し、復た見ゆるに、惠王怒りを懷きて以て之を待つ。其の說く所異なるに非ざるなり、聽く所の易わればなり。故に徵を以て羽と為すは、絃の罪に非ざるなり。甘きを以て苦しと為すは、味を限るの過ちなり。
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