臣軌 / 卷下 誠信章
凡人之情,莫不愛於誠信。誠信者,即其心易知。故孔子曰:“為上易事,為下易知。”非誠信無以取愛於其君,非誠信無以取親於百姓。故上下通誠者,則暗相信而不疑;其誠不通者,則近懷疑而不信。孔子曰:“人而無信,不知其可。大車無輗,小車無軏,其何以行之哉?”
新字:凡人之情,莫不愛於誠信。誠信者,即其心易知。故孔子曰:“為上易事,為下易知。”非誠信無以取愛於其君,非誠信無以取親於百姓。故上下通誠者,則暗相信而不疑;其誠不通者,則近懐疑而不信。孔子曰:“人而無信,不知其可。大車無輗,小車無軏,其何以行之哉?”
書き下し
凡そ人の情は、誠信を愛せざるは莫し。誠信なる者は、即ち其の心知り易し。故に孔子曰く、「上と為りては事え易く、下と為りては知り易し」と。誠信に非ざれば以て愛を其の君に取る無く、誠信に非ざれば以て親を百姓に取る無し。故に上下誠を通ずる者は、則ち暗に相信じて疑わず、其の誠通ぜざる者は、則ち近くとも疑いを懐きて信ぜず。孔子曰く、「人にして信無くんば、其の可なるを知らず。大車に輗無く、小車に軏無くんば、其れ何を以て之を行らんや」と。
現代語訳
およそ人の情として、誠実と信義を好まない者はいない。誠実で信義のある者は、その心が分かりやすい。だから孔子は「上に立てば仕えやすく、下にあれば分かりやすい」と言った。誠信がなければ君の愛情を得ることはできず、誠信がなければ民の親しみを得ることはできない。だから上下が誠を通わせていれば、口に出さなくても互いに信じて疑わないが、誠が通っていなければ、近くにいても疑いを抱いて信じない。孔子は「人として信がなければ、何をしてよいか分からない。大きな車に輗(げい、牛車の轅と横木をつなぐ留め具)がなく、小さな車に軏(げつ、馬車の同じ留め具)がなければ、どうして走らせることができようか」と言った。
解説
関連する章句
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『臣軌』卷下 誠信章夫れ与に始めを為す可く、与に終わりを為す可き者は、其れ唯だ信か。信にして又信、重ねて身に襲わば、則ち以て神明に暢び、天地に通ず可し」と。昔、魯の哀公、孔子に問いて曰く、「請う、人を取るの道を問わん」と。孔子対えて曰く、
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『臣軌』卷下 誠信章昔、子貢政を問う。子曰く、「食を足し、兵を足し、人之を信ず」と。子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何をか先にせん」と。曰く、「兵を去らん」と。子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん」と。曰く、「食を去らん。古より皆死有り、人信無くんば立たず」と。『体論』に曰く、「君子の身を修むるは、誠信より善きは莫し。夫れ誠信なる者は、君子の君上に事え、下人を懐くる所以なり。天は言わずして人高きを推し、地は言わずして人厚きを推し、四時は言わずして人与に期す。此れ誠信を以て本と為す者なり。故に誠信なる者は、天地の守る所にして君子の貴ぶ所なり。『傅子』に曰く、「言は口より出で、心に結ぶ。守りて以て移さず、以て其の身を立つ。此れ君子の信なり。故に臣と為りて信ならざれば以て君に奉ずるに足らず、子と為りて信ならざれば以て父に事うるに足らず。故に臣信を以て其の君に忠なれば、則ち君臣の道逾々睦まじく、子信を以て其の父に孝なれば、則ち父子の情益々隆し。夫れ仁者は妄りに為さず、知者は妄りに動かず。是を択びて之を為し、義を計りて之を行う。故に事立ちて功恃むに足り、身没して名称するに足る。仁智有りと雖も、必ず誠信を以て本と為す。故に誠信を以て本と為す者、之を君子と謂い、詐偽を以て本と為す者、之を小人と謂う。君子は殞すと雖も、善名は減ぜず、小人は貴しと雖も、悪名は除かれず」と。
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貞観政要・誠信臣聞く、国を為むるの基は、必ず徳礼に資る。君の保つ所は、惟だ誠信に在り。誠信立てば則ち下に二心無く、徳礼形(あら)わるれば則ち遠人斯(ここ)に格(いた)る。然らば則ち徳礼誠信は、国の大綱なり。君臣父子に在りて、斯須(ししゅ)も廃すべからざるなり。故に孔子曰く、「君は臣を使うに礼を以てし、臣は君に事うるに忠を以てす」と。又た曰く、「古より皆な死有り。民は信無くんば立たず」と。文子曰く、「言を同じくして信ぜらるるは、信は言の前に在り。令を同じくして行わるるは、誠は令の外に在り」と。然らば則ち言いて信ぜられざるは、言に信無きなり。令して従われざるは、令に誠無きなり。不信の言、無誠の令は、上と為れば則ち徳を敗り、下と為れば則ち身を危うくす。顛沛の中に在りと雖も、君子の為さざる所なり。
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論語・為政篇子曰わく、人にして信無くんば、其れこれを知ることなきなり。大車に輗無く、小車に軏無くんば、其れこれを以て行かんや。
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『臣軌』卷下 誠信章呂氏春秋に曰く、信の功たる大なり。天行信ならざれば則ち歳を成す能わず、地行信ならざれば則ち草木大ならず。春の徳は風、風信ならざれば則ちその花成らず。夏の徳は暑、暑信ならざれば則ちその物長ぜず。秋の徳は雨、雨信ならざれば則ちその穀堅からず。冬の徳は寒、寒信ならざれば則ちその地剛からず。それ天地の大、四時の化を以てすら、猶お信ならざるを以て物を成す能わず、況んや人に於てをや。故に君臣信ならざれば、則ち国政安からず。父子信ならざれば、則ち家道睦まじからず。兄弟信ならざれば、則ちその情親しからず。朋友信ならざれば、則ちその交わり絶えやすし。
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孟子・離婁章句上孟子曰く、「下位に居りて、上に獲られざれば、民得て治む可からざるなり。上に獲らるるに道有り。友に信ぜられずんば、上に獲られず。友に信ぜらるるに道有り。親に事えて悅ばれずんば、友に信ぜられず。親に悅ばるるに道有り。身に反して誠ならずんば、親に悅ばれず。身を誠にするに道有り。善に明らかならずんば、其の身に誠ならず。是の故に誠は、天の道なり。誠を思うは、人の道なり。至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり。誠ならずして、未だ能く動かす者有らざるなり。」
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