臣軌 / 序
若使佩茲箴戒,同彼韋弦,修己必顧其規,立行每觀其則,自然榮隨歲積,慶與時新,家將國而共安,下與上而俱泰。察微之士,所宜三思。御撰
新字:若使佩茲箴戒,同彼韋弦,修己必顧其規,立行毎観其則,自然栄随歳積,慶与時新,家将国而共安,下与上而倶泰。察微之士,所宜三思。御撰
書き下し
若し茲の箴戒を佩びて、彼の韋弦に同じくし、己を修むるに必ずその規を顧み、行いを立つるに毎にその則を観しめば、自然に栄は歳に随いて積み、慶は時と与に新たにして、家は国と共に安く、下は上と倶に泰からん。察微の士、宜しく三思すべき所なり。御撰。
現代語訳
もしこの戒めを身に帯びて、あの韋(なめし革)や弦(弓のつる)を身につけて自分の性分を戒めた古人と同じようにし、自分を修めるときには必ずこの書の規範を顧み、行いを立てるときにはいつもこの書の法則を見るならば、自然と栄誉は年ごとに積み重なり、喜びは時とともに新たになり、家は国とともに安らかに、下の者は上の者とともに穏やかになるであろう。物事の微妙なところを察することのできる人は、よくよく考えるべきである。御撰(皇后みずから撰す)。
解説
序の結びで、この書をどう使ってほしいかを述べる。注によれば「韋弦」は、気の短い西門豹が柔らかい革を帯びて自分をゆるめ、気の長い董安于が張った弓弦を帯びて自分を引き締めたという『韓非子』の故事である。つまり自分の偏りを知り、それを正す道具を常に身につけよということだ。この書を座右に置いて、身を修めるときも行いを立てるときも規範を見返せば、栄誉と喜びは自然に積もり、家も国も上も下も安泰になる、と約束する。最後の「三思」は、季文子が三たび思ってから行ったという『論語』の言葉を踏まえる。自分の癖に合わせた戒めを一つ持ち歩くことは、今の仕事の場でもすぐに試せる工夫である。
関連する章句
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『臣軌』序蓋し聞く、惟れ天は象を著し、庶品は照臨に同じく、惟れ地は章を含み、群生は亭育に等しと。朕、庸昧を以て、忝くも坤元に位す。厚載の仁に斉しからんことを思い、式て普覃の恵みを馨らしむ。乃ち中、乃ち外、思養の志は殊なる靡く、惟れ子、惟れ臣、慈誘の情は隔て無し。常に願う、甫めて微懇を殫くし、上は紫機を翊け、爰に衆僚を須ちて、聿に玄化を匡さんことを。伏して以うに天皇は、明は則哲に逾え、志は旁求に切なり。簪裾は川嶽の霊を総べ、珩珮は星辰の秀を聚む。群英は職に蒞み、衆彦は司を分かつ。以て広く淳風を扇ぎ、長く宝祚を隆んにするに足る。但だ母の子に於けるや、慈愛特に深し。復た已に忠良を積むと雖も、猶お且つ勧励を垂れんことを思う。昔、文伯既に達して、仍お喩軸の言を加え、孟軻已に賢にして、更に断機の誨えを益す。良に情は撫字に隆く、心は助成を欲するを以てなり。比者(このごろ)、太子及び王は已に修身の訓を撰し、群公列辟は未だ忠告の規を敷かず。近ごろ暇辰を以て、心を策府に遊ばせ、聊か煒管に因りて、用て虚襟を写す。故に聞く所を綴叙し、以て『臣軌』一部と為す。周朝の十乱を想いて、爰に十章を著し、殷室の両臣を思いて、分かちて両巻と為す。言行を発揮し、身心を鎔範する所以なり。事上の軌模と為し、臣下の縄準と作す。若し乃ち遐かに綿載を想い、眇かに前修を鑒みれば、元首は尊きに居り、股肱は力を宣べざるは莫し。棟梁に資りて大廈を成し、舟楫に憑りて巨川を済る。唱和相依り、功を同じくし体を共にす。
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『臣軌』序夫れ麗容は麗しと雖も、猶お鏡を待ちて以て形を端し、明徳は明らかなりと雖も、終に言を仮りて行いを栄やかす。今故に茲の撰する所を以て、普く具僚に錫う。誠に筆削の工に非ず、裨導の益を申ぶるを貴ぶ。
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『臣軌』序何となれば、正言はこれ重く、玄珠も比して尚お軽し。巽語は珍と為し、蒼璧も喩えて宝に非ず。是を知る、人に贈るに財を以てする者は、唯だ即目の歓を申ぶるのみ、人に贈るに言を以てする者は、能く終身の福を致す。
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『臣軌』序然れば則ち君親すでに立ちて、忠孝焉に形わる。国に奉じ家に奉ずる、率由の道は寧んぞ二ならん、君に事え父に事うる、資敬の途はこれ一なり。臣主の義、それ至れるかな。休戚はこれ均し、深く鑒みざるべけんや。
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『臣軌』卷下 利人章『賈子』に曰く、「上古の代は、務め農を勧むるに在り。故に三年耕して一年の蓄え余り、九年耕して三年の蓄え余り、三十年耕して人に十年の蓄え余る。故に堯の水九年、湯の旱七載、野に青草無くして人に饑色無き者は、誠に此の備え有ればなり」と。故に国を建つるの本は、必ず農に在り。忠臣の人を利せんことを思う者は、務め勧導に在り。家給り人足れば、則ち国自ずから安んず。論に曰く、夫れ君臣の道は、上下相資る。水を渉るの舟航に喩え、空を翔るの羽翼に比す。故に至神攸に契えば、則ち星象穹蒼より降り、妙感潜かに通ずれば、則ち風雲寤寐に彰わる。其の体を同じくするや、則ち股肱耳目も以て其の同じきに匹するに足らず、其の政を益すや、則ち麹蘖塩梅も未だ以て其の益に方ぶ可からず。諒直の操は此れに由りて興り、節義の風は斯れに因りて以て著る。是に知る、家と国とは異ならず、君と親とは一に帰すと。己を顕し名を揚ぐるは、惟れ忠惟れ孝なり。毎に宮闈の暇景を以て、博く瓊編を覧、往哲の弼諧を観、前言の亀鏡を睹るに、未だ嘗て文に臨みて嗟尚し、巻を撫して循環せずんばあらず。庶わくは匡翊の賢をして、更に夔・竜の美を越えしめんことを。爰に翰墨を申べ、載せて縑緗に列ぬ。何となれば則ち、栄辱は門無く、惟だ人の召く所なればなり。若し心をして大道に帰せしめ、情は至忠に切に、務めて公平を守り、貴んで誠信を敦くし、廉潔を抱きて行いと為し、慎密を懐きて以て身を修め、上に奉じては匡諫の規を崇び、下を恤みては利人の術を思わしめば、自然に名実兼ねて茂り、禄位倶に延び、栄は召かずして自ら来たり、辱は遣らずして斯に去らん。然らば則ち忠正なる者は福を致すの本、戒慎なる者は慶を集むるの源にして、影の形に随うが若く、猶お声の響きを逐うがごとし。凡百の群彦、勖めざる可けんや。撰臣軌下終。
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『臣軌』卷下 慎密章それ身を修め行いを正すは、慎まざるべからず。謀慮機権は、密ならざるべからず。憂患は忽せにする所に生じ、禍害は細微に興る。人臣の慎密ならざる者は、多く終身の悔い有り。故に言の泄れやすき者は、禍を召くの媒なり。事の慎まざる者は、敗を取るの道なり。
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