臣軌 / 卷上 同體章
夫人臣之於君也、猶四肢之載元首、耳目之為心使也。相須而後成體、相得而後成用。故臣之事君、猶子之事父。父子雖至親、猶未若君臣之同體也。
新字:夫人臣之於君也、猶四肢之載元首、耳目之為心使也。相須而後成体、相得而後成用。故臣之事君、猶子之事父。父子雖至親、猶未若君臣之同体也。
書き下し
それ人臣の君に於けるや、猶お四肢の元首を載せ、耳目の心の使いと為るがごとし。相い須ちて後に体を成し、相い得て後に用を成す。故に臣の君に事うるは、猶お子の父に事うるがごとし。父子は至親と雖も、猶お未だ君臣の同体なるに若かざるなり。
現代語訳
そもそも臣下が君に対する関係は、四肢が頭を支え、耳や目が心の使いとなっているようなものだ。互いを必要としてはじめて一つの体を成し、互いを得てはじめて働きをなす。だから臣が君に仕えるのは、子が父に仕えるようなものである。父子は最も親しい間柄だが、それでもなお、君臣が一つの体であることには及ばない。
解説
臣軌の第一章の題は「同体」。君と臣を、別々の主体ではなく一つの体の部分として定義するところから始まる。頭と四肢、心と耳目。どちらが偉いという話ではなく、互いを必要としてはじめて体になる、という関係である。そのうえで、父子の親しささえこれには及ばないと言い切る。血縁は選べないが、君臣は互いを必要とし合って成り立つからだ。組織論として読めば、上司と部下を評価する側とされる側に切り分ける発想への、真っ向からの反対になる。
この章句が説くこと
同体章四肢と元首相い須ちて体を成す君臣の同体信頼
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