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詩経 / 小雅・谷風之什・鼓鍾

《鼓鍾》,刺幽王也。 鼓鍾將將,淮水湯湯,憂心且傷。淑人君子,懷允不忘。 鼓鍾喈喈,淮水湝湝,憂心且悲。淑人君子,其德不回。 鼓鍾伐鼛,淮有三洲,憂心且妯。淑人君子,其德不猶。 鼓鍾欽欽,鼓瑟鼓琴,笙磬同音。以雅以南,以籥不僭。

新字:《鼓鍾》,刺幽王也。 鼓鍾将将,淮水湯湯,憂心且傷。淑人君子,懐允不忘。 鼓鍾喈喈,淮水湝湝,憂心且悲。淑人君子,其徳不回。 鼓鍾伐鼛,淮有三洲,憂心且妯。淑人君子,其徳不猶。 鼓鍾欽欽,鼓瑟鼓琴,笙磬同音。以雅以南,以籥不僭。

書き下し

鼓鍾(こしょう)は、幽王を刺るなり。 鍾を鼓すること将将(しょうしょう)たり、淮水(わいすい)湯湯(しょうしょう)たり、憂心且つ傷む。淑人君子、懐いて允(まこと)に忘れず。 鍾を鼓すること喈喈(かいかい)たり、淮水湝湝(かいかい)たり、憂心且つ悲しむ。淑人君子、其の徳回(よこしま)ならず。 鍾を鼓し鼛(こう)を伐つ、淮に三洲有り、憂心且つ妯(うご)く。淑人君子、其の徳猶(たが)わず。 鍾を鼓すること欽欽(きんきん)たり、瑟を鼓し琴を鼓し、笙磬(しょうけい)音を同じくす。雅を以てし南を以てし、籥(やく)を以てして僭(たが)わず。

現代語訳

「鼓鍾」の詩は、幽王をそしったものである。 鐘を打ち鳴らす音がかんかんと響き、淮水(わいすい)は満々と流れる。わたしの心は憂い傷む。あの善き君子(昔の王)のことを、心に抱いて本当に忘れることができない。 鐘を打ち鳴らす音がゆるやかに響き、淮水はとうとうと流れる。わたしの心は憂い悲しむ。あの善き君子は、その徳がよこしまでなかった。 鐘を打ち、大太鼓(鼛)を叩く、淮水には三つの中州がある。わたしの心は憂いに揺れ動く。あの善き君子は、その徳が道にたがわなかった。 鐘を打つ音がかんかんと鳴り、瑟を奏で琴を奏で、笙と磬(石の打楽器)が音をそろえる。雅の楽を奏で、南の楽を奏で、籥(やく)の舞もきちんと節度を乱さない。

解説

淮水のほとりで盛大に鳴らされる鐘や太鼓の音を聞きながら、昔の善き君子を思って憂える詩である。鐘の音と川の流れが重ねて歌われ、終章では琴瑟・笙磬・籥が調和して雅楽や南の楽が正しく奏でられる。毛序は、幽王が淮水のほとりで音楽を奏でさせたのを見て、昔の賢王を思い今の王をそしったものとする。ただ詩の中に幽王の名はなく、朱熹も『詩集伝』でこの詩の意味は詳らかでないとした。確かなのは、楽の音が美しいほど、それを奏でる者の徳が問われるという古代の感覚である。音楽は政治の鏡とされ、正しい楽は正しい治世と結びつけられた。華やかな音の中で、ひとり昔の人を思って心を痛める語り手の姿が印象に残る。

この章句が説くこと

詩経音楽淮水君子雅楽

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