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詩経 / 小雅・鹿鳴之什・魚麗

《魚麗》,美萬物盛多能備禮也。文、武以《天保》以上治內,《采薇》以下治外,始於憂勤,終於逸樂,故美萬物盛多,可以告於神明矣。 魚麗于罶,鱨鯊。君子有酒,旨且多。 魚麗于罶,魴鱧。君子有酒,多且旨。 魚麗于罶,鰋鯉。君子有酒,旨且有。 物其多矣,維其嘉矣。 物其旨矣,維其偕矣。 物其有矣,維其時矣。

新字:《魚麗》,美万物盛多能備礼也。文、武以《天保》以上治内,《采薇》以下治外,始於憂勤,終於逸楽,故美万物盛多,可以告於神明矣。 魚麗于罶,鱨鯊。君子有酒,旨且多。 魚麗于罶,魴鱧。君子有酒,多且旨。 魚麗于罶,鰋鯉。君子有酒,旨且有。 物其多矣,維其嘉矣。 物其旨矣,維其偕矣。 物其有矣,維其時矣。

書き下し

魚麗(ぎょり)は、万物の盛多にして能く礼を備うるを美(ほ)むるなり。文・武は天保以上を以て内を治め、采薇以下を以て外を治む。憂勤(ゆうきん)に始まり、逸楽(いつらく)に終わる。故に万物の盛多にして、以て神明に告ぐべきを美むるなり。 魚罶(りゅう)に麗(かか)る、鱨(しょう)と鯊(さ)と。君子酒有り、旨(うま)くして且つ多し。 魚罶に麗る、魴(ほう)と鱧(れい)と。君子酒有り、多くして且つ旨し。 魚罶に麗る、鰋(えん)と鯉と。君子酒有り、旨くして且つ有り。 物其れ多し、維(こ)れ其れ嘉(よ)し。 物其れ旨し、維れ其れ偕(ととの)えり。 物其れ有り、維れ其れ時なり。

現代語訳

「魚麗」の詩は、万物が豊かに満ちて、礼を十分に備えることができたのをほめたたえたものである。周の文王・武王は、「天保」までの詩に歌われる道によって国内を治め、「采薇」以下の詩に歌われる道によって国外を治めた。心を砕いて勤め励むことに始まり、安らかな楽しみに終わった。だから万物が豊かに満ち、それを天地の神々に報告できるほどになったのをたたえたのである。 魚がやなの筌(うえ)にかかった、ぎぎとはぜが。君子のもとには酒があり、うまいうえにたっぷりある。 魚がやなの筌にかかった、おしきうおと雷魚が。君子のもとには酒があり、たっぷりあるうえにうまい。 魚がやなの筌にかかった、なまずと鯉が。君子のもとには酒があり、うまいうえに備えも十分だ。 品々はこんなにも多い、しかもどれもよいものばかり。 品々はこんなにもうまい、しかもどれも取りそろっている。 品々はこんなにも備わっている、しかもどれも季節にかなっている。

解説

やなにかかったさまざまな魚と、うまい酒を並べて、主人の宴の豊かさを歌う饗宴の詩である。前三章は魚の名だけを入れ替えて繰り返し、後の三つの短い章で「多く」「旨く」「時にかなう」とまとめる。毛詩序は、文王・武王が内政と外征を整えた結果、万物が豊かになり神々に告げられるほどになったことをたたえる詩とし、鹿鳴から魚麗までを一つのまとまりとして読んだ。詩そのものは素朴な宴の歌で、朱熹『詩集伝』も燕饗の通用の楽歌とみる。『儀礼』郷飲酒礼・燕礼では、魚麗を歌うと堂下の笙が由庚を奏で、交互に演奏される「間歌」の一曲とされる。多いだけでなく、よく、ととのい、時にかなうことを求める結びは、もてなしの心得として今も通じる。

この章句が説くこと

詩経宴魚酒礼

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