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詩経 / 国風・魏風・汾沮洳

《汾沮洳》,刺儉也。其君儉以能勤,刺不得禮也。 彼汾沮洳,言采其莫。彼其之子,美無度。美無度,殊異乎公路。 彼汾一方,言采其桑。彼其之子,美如英。美如英,殊異乎公行。 彼汾一曲,言采其藚。彼其之子,美如玉;美如玉,殊異乎公族。

新字:《汾沮洳》,刺倹也。其君倹以能勤,刺不得礼也。 彼汾沮洳,言采其莫。彼其之子,美無度。美無度,殊異乎公路。 彼汾一方,言采其桑。彼其之子,美如英。美如英,殊異乎公行。 彼汾一曲,言采其藚。彼其之子,美如玉;美如玉,殊異乎公族。

書き下し

汾沮洳(ふんしょじょ)は、倹を刺るなり。其の君倹にして以て能く勤むるも、礼を得ざるを刺るなり。 彼の汾(ふん)の沮洳(しょじょ)に、言(ここ)に其の莫(ぼ)を采る。彼の其の子、美なること度(はか)り無し。美なること度り無きも、殊(こと)に公路に異なる。 彼の汾の一方に、言に其の桑を采る。彼の其の子、美なること英の如し。美なること英の如きも、殊に公行(こうこう)に異なる。 彼の汾の一曲に、言に其の藚(しょく)を采る。彼の其の子、美なること玉の如し。美なること玉の如きも、殊に公族に異なる。

現代語訳

「汾沮洳」の詩は、倹約をそしったものである。その君主は倹約でよく勤めたが、それが礼にかなっていないことをそしったのである。 あの汾水(ふんすい)のぬかるみで、すかんぽを摘んでいる。あの人は、はかりしれないほど立派だ。はかりしれないほど立派だが、君の車を司る公路(こうろ)の官とはまるで違う。 あの汾水のほとりで、桑の葉を摘んでいる。あの人は、花のように美しい。花のように美しいが、君の兵車を司る公行(こうこう)の官とはまるで違う。 あの汾水の曲がり目で、沢瀉(おもだか)を摘んでいる。あの人は、玉のように美しい。玉のように美しいが、君の一族を司る公族の官とはまるで違う。

解説

汾水のほとりのぬかるみで、自ら菜を摘む人の姿を歌う。その人は花や玉のように立派だが、「公路」「公行」「公族」といった貴族の役人とはまるで違う、と三章をくり返す。毛詩序は、魏の君主が倹約してよく勤めるものの、自ら野菜を摘むようなふるまいは身分にふさわしい礼にかなっていない、とそしった詩と読んだ。朱熹もまた、倹約が礼にかなわないことをそしる詩とする。一方、詩の言葉だけを読めば、川辺で働く恋しい人を、きらびやかな貴族たちよりはるかにすぐれていると讃える歌としても読める。「殊に公路に異なる」が、けなし言葉にもほめ言葉にもなるのである。勤勉と倹約は美徳だが、立場にふさわしい振る舞いも求められる。何をもって「ふさわしい」とするかは、見る者の立場で変わる。

この章句が説くこと

詩経魏倹約礼汾水

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