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詩経 / 国風・唐風・鴇羽

《鴇羽》,刺時也。昭公之後,大亂五世,君子下從征役,不得養其父母,而作是詩也。 肅肅鴇羽,集于苞栩。王事靡盬,不能蓺稷黍,父母何怙?悠悠蒼天!曷其有所? 肅肅鴇翼,集于苞棘。王事靡盬,不能蓺黍稷,父母何食?悠悠蒼天!曷其有極? 肅肅鴇行,集于苞桑。王事靡盬,不能蓺稻粱,父母何嘗?悠悠蒼天!曷其有常?

新字:《鴇羽》,刺時也。昭公之後,大乱五世,君子下従征役,不得養其父母,而作是詩也。 粛粛鴇羽,集于苞栩。王事靡盬,不能蓺稷黍,父母何怙?悠悠蒼天!曷其有所? 粛粛鴇翼,集于苞棘。王事靡盬,不能蓺黍稷,父母何食?悠悠蒼天!曷其有極? 粛粛鴇行,集于苞桑。王事靡盬,不能蓺稲粱,父母何嘗?悠悠蒼天!曷其有常?

書き下し

鴇羽(ほうう)は、時を刺るなり。昭公の後、大いに乱るること五世、君子下りて征役に従い、其の父母を養うことを得ず、而して是の詩を作るなり。 粛粛(しゅくしゅく)たる鴇(のがん)の羽、苞栩(ほうく)に集まる。王事盬(もろ)きこと靡(な)し、稷黍(しょくしょ)を蓺(う)うること能わず、父母何をか怙(たの)まん。悠悠たる蒼天、曷(いつ)か其れ所有らん。 粛粛たる鴇の翼、苞棘(ほうきょく)に集まる。王事盬きこと靡し、黍稷を蓺うること能わず、父母何をか食わん。悠悠たる蒼天、曷か其れ極(きわ)まり有らん。 粛粛たる鴇の行(つら)、苞桑に集まる。王事盬きこと靡し、稲粱を蓺うること能わず、父母何をか嘗(な)めん。悠悠たる蒼天、曷か其れ常有らん。

現代語訳

「鴇羽」の詩は、当時の世をそしったものである。晋の昭公の後、五代にわたって大いに乱れ、君子までが下って戦役に駆り出され、父母を養うことができなかったので、この詩を作ったのである。 ばさばさと羽音を立てて、のがんが茂ったくぬぎの木に止まる。王の務めは果てしなく、きびやあわを植えることもできない。父母は何を頼りに暮らせばよいのか。はるかな青空よ、いつになったら落ち着く所が得られるのか。 ばさばさと翼を鳴らして、のがんが茂ったいばらに止まる。王の務めは果てしなく、きびやあわを植えることもできない。父母は何を食べて暮らせばよいのか。はるかな青空よ、いつになったらこの苦しみに終わりが来るのか。 ばさばさと列をなして、のがんが茂った桑の木に止まる。王の務めは果てしなく、稲や粟を植えることもできない。父母は何を口にして暮らせばよいのか。はるかな青空よ、いつになったらもとの暮らしに戻れるのか。

解説

本来は地上を歩く鳥であるのがんが、慣れない木の上にとまって落ち着かないさまを歌い起こし、戦役に駆り出されて田を耕せず、故郷の父母を養えない者の嘆きを重ねる。「悠悠たる蒼天」と天に向かって問いかける叫びが、三章をくり返すごとに重くなる。毛詩序は、晋の昭公の後、五代にわたる内乱で君子までが戦役に出され、父母を養えなかったことをそしった詩と読む。朱熹も、民が征役に苦しみ父母を養えないことを嘆く詩と見ており、序と詩の姿はほぼ一致する。「王事盬きこと靡し」は『詩経』の他の篇にも見える決まり文句で、終わりのない公務の重さを表す。仕事のために家族を顧みられない苦しみは、古代の兵士だけのものではない。いつ終わるとも知れない務めを前にした叫びは、今もどこかで上がっている。

この章句が説くこと

詩経唐兵役父母孝

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