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史記 / 刺客列伝

曰:「吾可以下報智伯矣!」遂伏劍自殺。死之日,趙國志士聞之,皆爲涕泣。其後四十餘年而軹有聶政之事。

新字:曰:「吾可以下報智伯矣!」遂伏剣自殺。死之日,趙国志士聞之,皆為涕泣。其後四十余年而軹有聶政之事。

書き下し

曰く、「吾以て下智伯に報ずべし」と。遂に剣に伏して自殺す。死するの日、趙国の志士之を聞き、皆為に涕泣す。其の後四十余年にして軹に聶政の事有り。

現代語訳

「これであの世で智伯に報告できる」と言い、ついに剣の上に身を伏せて自害した。豫譲が死んだ日、趙の国の志ある人々はこれを聞いて、みな彼のために涙を流した。それから四十年余りのちに、軹で聶政の事件が起きた。

解説

豫譲の最期を語る短い段です。襄子の衣を三度斬りつけた豫譲は「これであの世の智伯に報告できる」と言って剣に伏して死にました。仇の本人を討つことはできませんでしたが、その衣を斬ることで報恩の志は果たしたのです。敵国である趙の志士たちまでが彼の死を聞いて涙を流したと書かれている点が印象に残ります。豫譲の忠義は、敵味方を越えて人の心を打つものでした。司馬遷は刺客たちを、成功したか失敗したかでなく、その志が偽りのないものだったかどうかで評価しており、豫譲はその典型です。事件の結末を記したあと、話は四十余年後の聶政へと移ります。結果が出なかった努力でも、その筋の通し方が周りの人の心に残り、自分の名となって後に残ることがあります。成果だけで仕事の値打ちを測りきれない理由がここにあります。

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