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史記 / 魏公子列伝

無忌自在大梁時,常聞此兩人賢,至趙,恐不得見。以無忌從之游,尚恐其不我欲也,今平原君乃以為羞,其不足從遊。」乃裝為去。夫人具以語平原君。平原君乃免冠謝,固留公子。平原君門下聞之,半去平原君歸公子,天下士復往歸公子,公子傾平原君客。

新字:無忌自在大梁時,常聞此両人賢,至趙,恐不得見。以無忌従之游,尚恐其不我欲也,今平原君乃以為羞,其不足従遊。」乃装為去。夫人具以語平原君。平原君乃免冠謝,固留公子。平原君門下聞之,半去平原君帰公子,天下士復往帰公子,公子傾平原君客。

書き下し

無忌は大梁に在りし時より、常にこの両人の賢なるを聞き、趙に至りて、見ゆるを得ざらんことを恐る。無忌の従ひて游ぶを以てするも、尚ほその我を欲せざるを恐る、今平原君は乃ち以て羞と為す、それ従ひて遊ぶに足らず」と。乃ち装して去らんと為す。夫人具に以て平原君に語る。平原君乃ち冠を免ぎて謝し、固く公子を留む。平原君の門下これを聞き、半ば平原君を去りて公子に帰し、天下の士また往きて公子に帰す、公子は平原君の客を傾く。

現代語訳

「私は大梁にいたころから、いつもこの二人が賢いと聞いていて、趙に来てからは会えないのではないかと心配していた。私がついて行って交わってさえ、なお二人が私を相手にしてくれないのではないかと恐れていたのに、いま平原君はそれを恥だと言う。平原君は交わるに足りない人だ。」そして旅支度をして去ろうとした。夫人はそのことを詳しく平原君に話した。平原君はそこで冠を脱いで詫び、公子を強く引き止めた。平原君の門下の者はこれを聞くと、半数が平原君のもとを去って公子のもとに身を寄せ、天下の士もまた公子のもとに集まって、公子は平原君の食客をすっかり奪ってしまった。

解説

信陵君と平原君の、人との交わり方の違いがはっきりと表れた段です。平原君が「博打打ちや酒売りと遊ぶ公子は分別がない」と笑ったことに対し、信陵君は「大梁にいたころから二人が賢いと聞き、自分が相手にされないのではと恐れていたほどだ。それを恥とする平原君こそ交わるに足りない」と言って去ろうとしました。平原君は冠を脱いで詫びますが、この話を聞いた平原君の食客の半数が信陵君のもとへ移り、天下の士も信陵君に集まったといいます。同じように食客を抱えていても、身分や職業で人を選ぶか、中身を見て自ら訪ねていくかで、集まる人の心がこれほど違ったのです。司馬遷は太史公曰で、信陵君が巌穴の隠者にまで交わりを求めたことを特に称えています。肩書や所属ではなく、その人自身の力を見て関係を築く姿勢は、今の人脈づくりにもそのまま当てはまります。

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