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士道心得書 / 忠孝節義を大本に

士の大本は忠孝節義に止る。君父に對して縱へ如何樣成る事にても理非を論ぜず、不爭、不咎、不恨、心に叶ふ如く眞實を盡すを云〻。義とは損失利害にかゝはらず、縱へ損害と可成事にても善ならばいやなる事をもし、利潤と可成事にてもせまじき事はせず、節に叶ひ宜に隨いて行ふを義と云〻。

新字:士の大本は忠孝節義に止る。君父に対して縦へ如何様成る事にても理非を論ぜず、不争、不咎、不恨、心に叶ふ如く真実を尽すを云〻。義とは損失利害にかゝはらず、縦へ損害と可成事にても善ならばいやなる事をもし、利潤と可成事にてもせまじき事はせず、節に叶ひ宜に随いて行ふを義と云〻。

書き下し

士の大本は忠孝節義に止まる。君父に對して縱へ如何樣成る事にても理非を論ぜず、爭はず、咎めず、恨まず、心に叶ふ如く眞實を盡すを云ふ、云云。義とは損失利害にかゝはらず、縱へ損害と成るべき事にても善ならばいやなる事をもし、利潤と成るべき事にてもせまじき事はせず、節に叶ひ宜しきに隨ひて行ふを義と云ふ、云云。

現代語訳

士の大本は、忠孝節義に尽きます。主君や父に対しては、たとえどのようなことでも、理か非かを論じず、争わず、とがめず、恨まず、心の望むとおりに真心を尽くすことをいいます。義とは、損得や利害にかかわらず、たとえ損害になることでも善であれば嫌なことでも行い、利益になることでもしてはならないことはせず、節度にかない道理にしたがって行うことをいいます。

解説

忠孝節義を士の根本とし、義を損得にかかわらず善を行うことと定義します。前半の、理非を論じず従うという忠孝の捉え方は、当時の主従関係を前提にした極めて強い表現で、現代にそのまま当てはめるのは適切ではありません。一方、後半の義の定義は今も通用します。短期の損得に左右されず、善であれば引き受け、利益が出ても不正はしない。この軸を管理職が示すことが、組織の信頼の土台になります。

この章句が説くこと

忠孝節義義の定義損得倫理信頼

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