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潜夫論 / 明忠

詩云:「我雖異事,及爾同僚,我即爾謀,聽我敖敖。」夫惻隱人皆有之,是故耳聞啼號之音,無不為之慘淒悲懷而傷心者;目見危怠之事,無不為之灼怛驚而赴救之者。君臣義重,行路禮輕。過耳悟目之交,未恩未德,非賢非貴,而猶若此,則又況於北面稱臣被寵者乎?是故進忠扶危者,賢不肖之所共願也。誠皆願之而行違者,常苦其道不利而有害,言未得信而身敗爾。

新字:詩云:「我雖異事,及爾同僚,我即爾謀,聴我敖敖。」夫惻隠人皆有之,是故耳聞啼号之音,無不為之惨淒悲懐而傷心者;目見危怠之事,無不為之灼怛驚而赴救之者。君臣義重,行路礼軽。過耳悟目之交,未恩未徳,非賢非貴,而猶若此,則又況於北面称臣被寵者乎?是故進忠扶危者,賢不肖之所共願也。誠皆願之而行違者,常苦其道不利而有害,言未得信而身敗爾。

書き下し

詩に云う、「我は事を異にすと雖も、爾と僚を同じくす。我は即ち爾に謀る、我に聴くこと敖敖たれ」と。夫れ惻隠は人皆な之有り。是の故に耳に啼号の音を聞けば、之が為に惨凄悲懐して心を傷めざる者無く、目に危怠の事を見れば、之が為に灼怛驚きて赴き救わざる者無し。君臣の義は重く、行路の礼は軽し。過耳悟目の交わり、未だ恩ならず未だ徳ならず、賢に非ず貴に非ざるも、猶お此くの若し。則ち又況んや北面して臣と称し寵せらるる者をや。是の故に忠を進めて危うきを扶くるは、賢も不肖も共に願う所なり。誠に皆な之を願うも行いの違う者は、常に其の道の利ならずして害有るに苦しみ、言の未だ信ぜられずして身の敗るるを苦しむのみ。

現代語訳

《詩》に「私は仕事は違うが、あなたとは同じ僚友だ。私があなたに相談するのだから、私の言うことを高い志でよく聞いてほしい」とあります。そもそも惻隠の心は誰にでもあります。だから耳に泣き叫ぶ声を聞けば、それを悲しみ心を痛めない者はなく、目に危うい出来事を見れば、胸を焼かれ驚いて駆け付け助けない者はありません。君臣の義は重く、道行く人への礼は軽いものです。耳にし目にしただけの、恩も徳もなく、賢でも貴でもない人にさえ、このようなのですから、まして北面して臣と称し寵愛を受けた者ならなおさらです。ですから、忠を進めて危うきを扶けることは、賢者も不肖の者も共に願うことです。本当にみなが願いながら行いが違う者は、いつもそのやり方が不利で害があることに苦しみ、言葉が信じられないまま我が身が破滅することに苦しんでいるのです。

解説

ここで王符は、忠を尽くす気持ちは特別な人だけのものではなく、人が持つ惻隠の心から自然に生まれると論じます。泣き叫ぶ声を聞けば心が痛み、危ういものを見れば駆け付けるように、通りすがりの人にさえこうなのだから、寵愛を受けた臣ならなおさらだという推論です。したがって賢者も不肖の者も、忠を進めて危うきを救うことは願っているはずだと言います。それでも行動に移せないのは、言葉が信じられず、身が危うくなる不利があるからだというのが結論です。現代の職場でも、問題に気づいていながら発言しない人は少なくありません。発言しても不利益にならず、信じて聞いてもらえるという環境を整えることが、忠告を引き出す鍵でしょう。

この章句が説くこと

明忠惻隠諫言忠告心理的安全潜夫論

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