潜夫論 / 正列
晏平仲有言,祝有益也,詛亦有損也。季梁之諫隨侯,宮之奇說虞公,可謂明乎天人之道,達乎神民之分矣。夫妖不勝德,邪不伐正,天之經也。雖時有違,然智者守其正道,而不近於淫鬼。所謂淫鬼者,閑邪精物,非有守司真神靈也。鬼之有此,猶人之有奸言賣平以幹求者也。若或誘之,則遠來不止,而終必有咎。鬼神亦然。故申曰:「人之所忌,其氣炎以取之。人無釁焉,妖不自作。」是謂人不可多忌,多忌妄畏,實致妖祥。且人有爵位,鬼神有尊卑。天地山川,社稷五祀,百辟卿士,有功於民者,天子諸侯,所命祀也。若乃巫覡之謂獨語,小人之所望畏,土公、飛屍、咎魅、北君、銜聚、當路、直符七神,及民間繕治,微蔑小禁,本非天王所當憚也。
新字:晏平仲有言,祝有益也,詛亦有損也。季梁之諫随侯,宮之奇説虞公,可謂明乎天人之道,達乎神民之分矣。夫妖不勝徳,邪不伐正,天之経也。雖時有違,然智者守其正道,而不近於淫鬼。所謂淫鬼者,閑邪精物,非有守司真神霊也。鬼之有此,猶人之有奸言売平以幹求者也。若或誘之,則遠来不止,而終必有咎。鬼神亦然。故申曰:「人之所忌,其気炎以取之。人無釁焉,妖不自作。」是謂人不可多忌,多忌妄畏,実致妖祥。且人有爵位,鬼神有尊卑。天地山川,社稷五祀,百辟卿士,有功於民者,天子諸侯,所命祀也。若乃巫覡之謂独語,小人之所望畏,土公、飛屍、咎魅、北君、銜聚、当路、直符七神,及民間繕治,微蔑小禁,本非天王所当憚也。
書き下し
晏平仲に言有り、祝は益有り、詛も亦た損有り、と。季梁の隨侯を諫め、宮之奇の虞公に説くは、天人の道に明らかに、神民の分に達すと謂う可し。夫れ妖は徳に勝たず、邪は正を伐たざるは、天の経なり。時に違う有りと雖も、然れども智者は其の正道を守りて、淫鬼に近づかず。所謂淫鬼なる者は、邪を閑し物を精にし、真の神霊の守司する有るに非ざるなり。鬼の此れ有るは、猶お人の奸言し平を売りて以て幹求する者有るがごとし。若し或いは之を誘えば、則ち遠来して止まず、終には必ず咎有り。鬼神も亦た然り。故に申が曰く、「人の忌む所は、其の気炎にして以て之を取る。人に釁無ければ、妖は自ら作らず」と。是れ人は多く忌む可からず、多く忌めば妄りに畏れ、実に妖祥を致すを謂う。且つ人に爵位有り、鬼神に尊卑有り。天地山川、社稷五祀、百辟卿士、民に功有る者は、天子諸侯の命じて祀る所なり。若し乃ち巫覡の独語と謂い、小人の望み畏るる所、土公、飛屍、咎魅、北君、銜聚、当路、直符の七神、及び民間の繕治、微蔑の小禁は、本より天王の当に憚る所に非ざるなり。
現代語訳
晏平仲は、祝って益があることもあり、呪って損があることもある、と言いました。季梁が隨侯を諫め、宮之奇が虞公に説いたことは、天と人の道に明らかで、神と民の分をわきまえたものと言えます。そもそも妖しいものは徳に勝てず、邪は正を討てないというのが天の常道です。ときには例外があるにしても、知者は正しい道を守り、淫鬼には近づきません。淫鬼というのは、邪を抑え物の精となったもので、本物の神霊が守り司っているものではありません。鬼がこのようなことをするのは、人の中に偽りの言葉を弄し、公平を売り物にして取り入ろうとする者がいるのと同じです。もしこれを誘い入れれば、遠くから来て止まず、最後には必ず災いが起こります。鬼神も同じです。だから申が言うように、「人が忌み嫌うものは、その気が盛んでそれを招き寄せる。人にすきがなければ、妖しいものはひとりでには起こらない」のです。これは、人はあまり忌み避けてはならず、忌みすぎるとむやみに畏れ、かえって妖しい兆しを招くということです。また、人に爵位があるように鬼神にも尊卑があります。天地山川、社稷、五祀、多くの諸侯や卿士のうち民に功のあった者は、天子や諸侯が命じて祀るものです。巫覡がひとりごとのように言うもの、小人が仰ぎ畏れる土公、飛屍、咎魅、北君、銜聚、当路、直符の七神、および民間の修繕に関わるささいな禁忌などは、もとより天子が憚るべきものではありません。
解説
この章句が説くこと
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