孟子 / 滕文公章句下
與鉆穴隙之類也。」
新字:与鉆穴隙之類也。」
書き下し
穴隙を鑽るの類と与にするなり。」
現代語訳
(正しい道によらずに仕官しに行く者は、)壁に穴をあけて覗き合う男女と同類である。」
解説
周霄との長い問答を締めくくる一句です。孟子は、君子も仕官を望まないわけではないが、正しい道によらずに仕えるのは、親の許しも仲人も待たずに壁の穴から覗き合う男女と同じだと断じます。結婚に礼の手続きがあるように、仕官にも踏むべき手順と筋道があるという考えです。戦国時代には、賄賂や縁故、権力者への追従によって官職を得る者が少なくありませんでした。孟子は、仕官を急ぐ気持ちを認めたうえで、その手段の卑しさを人々が皆さげすむ行為にたとえ、強く戒めています。現代の組織でも、根回しや取り入りで得た地位は、周囲に見透かされるものです。どのような経路で役割を得たかは、その後の信頼を左右します。
関連する章句
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孟子・滕文公章句下周霄問ひて曰く、「古の君子は仕へしか。」孟子曰く、「仕へたり。伝に曰く、『孔子は三月君無ければ、則ち皇皇如たり。疆を出づるに必ず質(し)を載す。』と。公明儀曰く、『古の人は三月君無ければ則ち弔す。』と。」「三月君無ければ則ち弔すとは、以(はなは)だ急ならずや。」曰く、「士の位を失ふや、猶ほ諸侯の国家を失ふがごときなり。礼に曰く、『諸侯は耕助して、以て粢盛(しせい)を供す。夫人は蚕繅(さんそう)して、以て衣服を為る。犠牲成らず、粢盛潔からず、衣服備はらざれば、敢へて以て祭らず。惟だ士も田無ければ、則ち亦た祭らず。』と。牲殺・器皿・衣服備はらず、敢へて以て祭らざれば、則ち敢へて以て宴せず、亦た弔するに足らざらんや。」「疆を出づるに必ず質を載すとは、何ぞや。」曰く、「士の仕ふるや、猶ほ農夫の耕すがごときなり。農夫豈に疆を出づるが為に其の耒耜(らいし)を舎てんや。」曰く、「晋国も亦た仕国なり。未だ嘗て仕ふること此くの如く其れ急なるを聞かず。仕ふること此くの如く其れ急なるに、君子の仕ふるを難しとするは、何ぞや。」曰く、「丈夫生まれては之が為に室有らんことを願ひ、女子生まれては之が為に家有らんことを願ふ。父母の心は、人皆之有り。父母の命、媒妁の言を待たずして、穴隙を鑽りて相窺ひ、墻を逾えて相従へば、則ち父母・国人皆之を賤しむ。古の人は未だ嘗て仕ふるを欲せずんばあらざるなり、又其の道に由らざるを悪む。其の道に由らずして往く者は、
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孟子・盡心章句下(穿)逾の類なり。」
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孟子・離婁章句上孟子曰く、「下位に居りて、上に獲られざれば、民得て治む可からざるなり。上に獲らるるに道有り。友に信ぜられずんば、上に獲られず。友に信ぜらるるに道有り。親に事えて悅ばれずんば、友に信ぜられず。親に悅ばるるに道有り。身に反して誠ならずんば、親に悅ばれず。身を誠にするに道有り。善に明らかならずんば、其の身に誠ならず。是の故に誠は、天の道なり。誠を思うは、人の道なり。至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり。誠ならずして、未だ能く動かす者有らざるなり。」
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孟子・告子章句下孟子曰く、「君子は亮ならずんば、惡にか執らん。」
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孟子・告子章句上孟子曰く、「天爵なる者有り、人爵なる者有り。仁義忠信、善を樂しみて倦まざるは、此れ天爵なり。公卿大夫、此れ人爵なり。古の人は其の天爵を修めて、人爵之に從う。今の人は其の天爵を修めて、以て人爵を要む。既に人爵を得て、其の天爵を棄つるは、則ち惑の甚しき者なり。終に亦た必ず亡せんのみ。」
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孟子・滕文公章句下陳代曰く、「諸侯を見ざるは、宜(ほとんど)ど小なるが若く然り。今、一たび之を見ば、大は則ち以て王たらしめ、小は則ち以て霸たらしめん。且つ志に曰く、『尺を枉げて尋を直くす。』宜ど為す可きが若し。」孟子曰く、「昔、齊の景公田す。虞人を招くに旌を以てす。至らず。將に之を殺さんとす。『志士は溝壑に在るを忘れず、勇士は其の元を喪うを忘れず。』孔子奚をか取れる。其の招きに非ざれば往かざるを取れるなり。其の招きを待たずして往くが如きは何ぞや。且つ夫れ尺を枉げて尋を直くすとは、利を以て言うなり。如し利を以てせば、則ち尋を枉げ尺を直くして利あらば、亦た為す可きか。昔者、趙簡子、王良をして嬖奚と乘らしむ。終日にして一禽をも獲ず。嬖奚反命して曰く、『天下の賤工なり。』或ひと以て王良に告ぐ。良曰く、『請う之を復びせん。』彊いて後に可く。一朝にして十禽を獲たり。嬖奚反命して曰く、『天下の良工なり。』簡子曰く、『我、女と乘ることを掌らしめん。』王良に謂う。良可かず。曰く、『吾、之が為に我が馳驅を範すれば、終日一をも獲ず。之が為に詭遇すれば、一朝にして十を獲たり。詩に云う、其の馳することを失わざれば、矢を舍ちて破るが如し、と。我、小人と乘ることを貫わず。請う辭せん。』御者すら且つ射る者と比するを羞づ。比して禽獸を獲ること丘陵の若しと雖も、為さざるなり。道を枉げて彼に從うが如きは何ぞや。且つ子過てり。己を枉ぐる者は、未だ能く人を直くする者有らざるなり。」
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