導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

省諐録 / 第29条

有敵國外患。而託本根未固。形勢未成。進無果決之勇。退持遷延之計者。其所欲縻敵。適足以啓敵而自縻。其所欲緩寇。適足以資寇而自緩。其所欲從容補綴。而全其捍禦之備者。亦將徒爲文具。而國家之勢。愈至於不可支矣。而古來當局者。曾不深省。誤家國天下。如出一塗。可勝歎哉。

新字:有敵国外患。而託本根未固。形勢未成。進無果決之勇。退持遷延之計者。其所欲縻敵。適足以啓敵而自縻。其所欲緩寇。適足以資寇而自緩。其所欲従容補綴。而全其捍禦之備者。亦将徒為文具。而国家之勢。愈至於不可支矣。而古来当局者。曽不深省。誤家国天下。如出一塗。可勝嘆哉。

書き下し

敵國外患有りて、本根未だ固からず、形勢未だ成らざるに託して、進みては果決の勇無く、退きては遷延の計を持する者は、其の敵を縻がんと欲する所、適に以て敵を啓きて自ら縻がるるに足り、其の寇を緩めんと欲する所、適に以て寇を資けて自ら緩むるに足る。其の從容補綴して、其の捍禦の備へを全うせんと欲する者も、亦將に徒だ文具と爲らんとし、國家の勢ひ、愈よ支ふべからざるに至らん。而るに古來當局の者、曾て深く省みず。家國天下を誤ること、一塗に出づるが如し。歎ずるに勝ふべけんや。

現代語訳

敵国からの外患があるのに、根本がまだ固まっていない、形勢がまだ整っていないということを口実にして、進んでは思い切って決める勇気がなく、退いてはぐずぐずと引き延ばす策に頼る者がいます。そういう者は、敵を引き止めようとしてかえって敵に道を開き、自分が縛られることになります。賊の勢いをゆるめようとして、かえって賊を助け、自分のほうが緩んでしまいます。ゆったりと繕いながら守りの備えを全うしようとしても、ただの形だけの文書に終わり、国の勢いはいよいよ支えきれなくなります。それなのに、昔から当局者はまるで深く省みることがありません。家も国も天下も誤ることは、同じ一つの道筋から出ているようです。嘆かずにいられるでしょうか。

解説

根本がまだ固まっていない、形勢がまだ整っていないと言い訳をして、決断できずに引き延ばす者を批判する条です。そのやり方は、敵を引き止めるつもりが敵に道を開き、備えを繕うつもりが形だけの文書に終わる、と逆の結果を招くとされます。結びで、古来の当局者が同じ過ちを繰り返してきたと嘆きます。条件がそろうまで待つという態度は、慎重に見えて、実際には事態を悪くすることがあります。現代の経営でも、準備不足を理由に判断を先送りした結果、機会も信用も失う例は多く、足りない部分を承知のうえで、いま決める部分を切り出す勇気が管理職には求められます。

この章句が説くこと

決断先送り形だけの備え当局者遷延省諐録

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円 本を見る