省諐録 / 第15条
予自來此。勉勵克治。鍛鍊身心。未嘗虛度時日。古人云。僕閒居眞不空過日月。彼錮我者。皆成我也。旨哉。
新字:予自来此。勉励克治。鍛錬身心。未嘗虚度時日。古人云。僕閒居真不空過日月。彼錮我者。皆成我也。旨哉。
書き下し
予此に來りてより、勉勵克治し、身心を鍛鍊し、未だ嘗て時日を虛しく度らず。古人云ふ、僕閒居して眞に日月を空しく過ごさず、と。彼の我を錮する者は、皆我を成す者なり。旨なるかな。
現代語訳
私はここに来てから、つとめ励んで己に打ち克ち、身も心も鍛え、一度も日々を無駄にしたことはありません。古人は「私は閑居して、まことに月日を空しく過ごすことはなかった」と言いました。私を閉じ込める者は、みな私を成長させる者です。味わい深い言葉であることよ。
解説
獄に来てから励んで己に打ち克ち、身心を鍛え、日を無駄にしなかったと述べる条です。古人の言葉を引き、「私は閑居して本当に日月を空しく過ごさなかった」とし、そのうえで、自分を閉じ込める者はみな自分を成すものだと言います。「旨なるかな」は、その言葉が味わい深いという感嘆です。不遇や拘束という外から押し付けられた条件を、成長の材料に読み替える姿勢が見えます。左遷や異動、望まない配置換えに直面したとき、この読み替えは現実を否定せず前に進む力になります。ただし無理に良い面だけを探すのではなく、今できる鍛錬を一つ選ぶ、という具体の行動に結びつけることが大切です。
この章句が説くこと
克治鍛錬逆境時日成長省諐録
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