言志四録 / 言志耋録 第二十九条 気質は変化すべし
均是人也。遊惰則弱。一旦困苦。則爲强。愜意則柔。一旦激發。則爲剛。氣質之可變化如此。
新字:均是人也。遊惰則弱。一旦困苦。則為強。愜意則柔。一旦激発。則為剛。気質之可変化如此。
書き下し
均しく是れ人なり。遊惰なれば則ち弱く、一旦困苦すれば、則ち強と為る。意に愜へば則ち柔、一旦激発すれば、則ち剛と為る。気質の変化すべきこと此くの如し。
現代語訳
同じ一人の人間である。遊び怠けていれば弱いが、ひとたび困難や苦労に遭うと強くなる。思いどおりに満ち足りていれば柔らかいが、ひとたび奮い立つと剛くなる。気質が変わりうることは、このとおりである。
解説
前条の「気質の変化」が実際に起こりうることを、身近な例で示した一条です。同じ人でも、のんびり遊んでいれば弱々しいが、苦しい目に遭えば強くなる。満ち足りていれば柔らかいが、何かに奮い立てば剛くなる。気質は生まれつき固定したものではなく、境遇や心の持ちようで変わるのだ、と一斎は言います。だからこそ学問や立志によって気質を変えることもできるという主張につながります。「自分はこういう性格だから」とあきらめる前に、どんな場面で自分が強くなり、剛くなったのかを振り返ってみる。人の可能性を固定して見ないための視点になる一条です。
この章句が説くこと
気質変化逆境成長剛柔可能性
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