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政談 / 使番の事

使番と云ふ役無用の役なり、是は軍中の使ひ番をその儘に差置きたる故治世に無用也、軍中の使番は武邊巧者なる人を撰ひ置きて御使に遣はされ、勝負の界をも見さすることなり、治世には左樣の人なけれは兼て撰み置すとも然るへし、禁裡の御使は高家なり、三家への御使は御番頭なり、城請取り巡見などに使番參れとも是は臨時に撰みて然るへし、異朝にても臨時の役也、火事等の御使は御側の供頭然るへし、

新字:使番と云ふ役無用の役なり、是は軍中の使ひ番をその儘に差置きたる故治世に無用也、軍中の使番は武辺巧者なる人を撰ひ置きて御使に遣はされ、勝負の界をも見さすることなり、治世には左様の人なけれは兼て撰み置すとも然るへし、禁裡の御使は高家なり、三家への御使は御番頭なり、城請取り巡見などに使番参れとも是は臨時に撰みて然るへし、異朝にても臨時の役也、火事等の御使は御側の供頭然るへし、

書き下し

使番と云ふ役無用の役なり、是は軍中の使ひ番をその儘に差置きたる故治世に無用也、軍中の使番は武辺巧者なる人を撰ひ置きて御使に遣はされ、勝負の界をも見さすることなり、治世には左様の人なけれは兼て撰み置すとも然るへし、禁裡の御使は高家なり、三家への御使は御番頭なり、城請取り巡見などに使番参れとも是は臨時に撰みて然るへし、異朝にても臨時の役也、火事等の御使は御側の供頭然るへし、

現代語訳

使番という役は無用の役である。これは軍中の使番をそのまま残しておいたものなので、治世には無用である。軍中の使番は、武辺に巧みな人を選んでおいて御使に遣わし、勝負の境目をも見させるものである。治世にはそうした人はいないのだから、前もって選んでおかなくてもよい。禁裏(朝廷)への御使は高家が務める。御三家への御使は御番頭が務める。城の受け取りや巡見などに使番が参るが、これは臨時に選べばよい。異国でも臨時の役である。火事などの御使は、御側の供頭がふさわしい。

解説

使番はもともと戦場で伝令を務め、勝敗の分かれ目を見届ける武辺者の役だった。徂徠は、太平の世にその役だけが常設のまま残っているのは無用だとし、朝廷への使いは高家、御三家へは番頭、城の受け取りや巡見は臨時の任命で足りると、仕事ごとに担い手を割り振ってみせる。役職を残すか否かを、その役が今どんな仕事をしているかで判断する姿勢である。現代の組織にも、かつての必要から生まれ、目的を失っても残り続ける部署や会議がある。定期的に棚卸しをしたい。

この章句が説くこと

使番無用職分治世棚卸し政談

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