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政談 / 官位爵祿の次第並に勳階頭助允目の事

何役にも頭役添役下役留役と四段に立てゝ、或は輕き役には添役を除きて、三段にも立て、或は特の外に輕き役は添役下役を除きて一段にも立て置き、頭役は是非ともに一人にすれはその役のこと締り我々にならす、身に踏込みて勤めで叶はさることなり、添役は一人或は兩人頭役に僅か一階ほと下にて、さのみは劣らぬものを申し付置く時は、相談の相手にも成り、又目付にもなり、又病氣差合のときもこと欠けず、下役は添役に一階も下なる人を二人なりと三人四人なりとも役儀によりて五人六人も申し付け置く時は、其役儀のこと品を別けて掌とりて丁寧なり、留役は輕き役にて、一役のことを帳にかき留さすへし、されは頭役は惣〆くゝりとなりて重きことを掌り、又惣しめをするなり、下役は細かなるかと〳〵を品を別けて掌とる故、をの〳〵身にかけてつとめ身に入ること是れ古の法なり、

新字:何役にも頭役添役下役留役と四段に立てゝ、或は軽き役には添役を除きて、三段にも立て、或は特の外に軽き役は添役下役を除きて一段にも立て置き、頭役は是非ともに一人にすれはその役のこと締り我々にならす、身に踏込みて勤めで叶はさることなり、添役は一人或は両人頭役に僅か一階ほと下にて、さのみは劣らぬものを申し付置く時は、相談の相手にも成り、又目付にもなり、又病気差合のときもこと欠けず、下役は添役に一階も下なる人を二人なりと三人四人なりとも役儀によりて五人六人も申し付け置く時は、其役儀のこと品を別けて掌とりて丁寧なり、留役は軽き役にて、一役のことを帳にかき留さすへし、されは頭役は惣〆くゝりとなりて重きことを掌り、又惣しめをするなり、下役は細かなるかと〳〵を品を別けて掌とる故、をの〳〵身にかけてつとめ身に入ること是れ古の法なり、

書き下し

何役にも頭役添役下役留役と四段に立てゝ、或は軽き役には添役を除きて、三段にも立て、或は特の外に軽き役は添役下役を除きて一段にも立て置き、頭役は是非ともに一人にすれはその役のこと締り我々にならす、身に踏込みて勤めで叶はさることなり、添役は一人或は両人頭役に僅か一階ほと下にて、さのみは劣らぬものを申し付置く時は、相談の相手にも成り、又目付にもなり、又病気差合のときもこと欠けず、下役は添役に一階も下なる人を二人なりと三人四人なりとも役儀によりて五人六人も申し付け置く時は、其役儀のこと品を別けて掌とりて丁寧なり、留役は軽き役にて、一役のことを帳にかき留さすへし、されは頭役は惣〆くゝりとなりて重きことを掌り、又惣しめをするなり、下役は細かなるかと〳〵を品を別けて掌とる故、をの〳〵身にかけてつとめ身に入ること是れ古の法なり、

現代語訳

どの役にも頭役・添役・下役・留役と四段に立てて、あるいは軽い役には添役を除いて三段にも立て、あるいはことのほか軽い役は添役・下役を除いて一段にも立てておき、頭役は必ず一人にすれば、その役のことが締まって我がままにならず、身を入れて勤めなければならなくなる。添役は一人あるいは二人、頭役にわずか一階ほど下で、さほど劣らない者を申し付けておくときは、相談の相手にもなり、また目付(監察役)にもなり、また病気や差し支えのときも事が欠けない。下役は添役より一階も下の人を二人でも三人四人でも、役儀によっては五人六人も申し付けておくときは、その役儀のことを品を分けて受け持って丁寧である。留役は軽い役で、一役のことを帳に書き留めさせるべきである。それゆえ頭役は総締めくくりとなって重いことを受け持ち、また総締めをするのである。下役は細かな箇条を品を分けて受け持つので、各々が身にかけて勤め、身が入ること、これが古の法である。

解説

徂徠の組織設計案である。どの役職も頭役・添役・下役・留役の四段とし、軽い職では段を省く。頭役は必ず一人として全体を締めくくらせ、添役は頭役に近い力量の者を置いて相談相手・監察役・代理を兼ねさせ、下役は仕事を分担して丁寧にこなし、留役は記録を担う。責任者一人、補佐、実務の分担、記録係という構成は、現代の部長・副部長・担当者・事務局にそのまま重なる。責任の一元化、補佐による牽制、業務の分担、記録の保持という組織の基本原則を、三百年前に明快に示した一節である。

この章句が説くこと

組織責任者分担記録職階政談

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