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政談 / 代官と云ふ役の事

代官と云ふ役は重き役なり、其の昔國郡の官を在京をりかくて、その國郡には名代を遣はし置きたるより起りて代官と云ふ名あり、公儀の召使ひに受領をさせなから在京さまて召使ひ、その國の所務ばかりをさせ、又平家の公達に越前の二位、能登守、薩摩守などのたぐひ、皆其の國へは行さりし故なり、郡司を在京さすれは郡代をつかはし、亟を在京さすれは判官代をつかはし、目を在京さすれは目代をつかはす。

新字:代官と云ふ役は重き役なり、其の昔国郡の官を在京をりかくて、その国郡には名代を遣はし置きたるより起りて代官と云ふ名あり、公儀の召使ひに受領をさせなから在京さまて召使ひ、その国の所務ばかりをさせ、又平家の公達に越前の二位、能登守、薩摩守などのたぐひ、皆其の国へは行さりし故なり、郡司を在京さすれは郡代をつかはし、亟を在京さすれは判官代をつかはし、目を在京さすれは目代をつかはす。

書き下し

代官と云ふ役は重き役なり、其の昔国郡の官を在京をりかくて、その国郡には名代を遣はし置きたるより起りて代官と云ふ名あり、公儀の召使ひに受領をさせなから在京さまて召使ひ、その国の所務ばかりをさせ、又平家の公達に越前の二位、能登守、薩摩守などのたぐひ、皆其の国へは行さりし故なり、郡司を在京さすれは郡代をつかはし、亟を在京さすれは判官代をつかはし、目を在京さすれは目代をつかはす。

現代語訳

代官という役は重い役である。その昔、国郡の官を京都に留めておき、その国郡には名代を遣わしておいたことから起こって、代官という名がある。朝廷の召使いに受領(国司)の任を与えながら京都に留めて召し使い、その国の所務(年貢などの取り立て)だけをさせた。また平家の公達に越前の二位、能登守、薩摩守などとあるのも、みなその国へは行かなかったからである。郡司を京都に留めれば郡代を遣わし、丞を在京させれば判官代を遣わし、目(さかん)を在京させれば目代を遣わした。

解説

代官の章は、その名の由来から説き起こされる。古代の国司や郡司が京都にとどまり、任地には名代を送ったことから代官、郡代、目代といった呼び名が生まれたと徂徠は言う。徂徠は制度を論じるとき、名の起こりと本来の役割にさかのぼる。古文辞学で言葉の古い意味を確かめる方法が、ここでは役職名に向けられている。現代の組織でも、肩書きが生まれた経緯をたどると、その役が本来担うべき責任が見えてくる。名ばかりの役職になっていないかを点検する手がかりになる。

この章句が説くこと

代官職分制度名由来政談

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