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政談 / 官位爵祿の次第並に勳階頭助允目の事

頭、助、允、目のこと古三代聖人の御世より異國の代々も、又は日本の古も皆之を立つること、役儀を取捌き人を使ふ道に宜しけれは斯の如く有りたることなり、然るに當時の役割に此差別なく、同役二人にても三人四人にても同格なる故、互に相談して料見の足らぬ所を助くるにはよく、又病氣指合の節間のぬけぬ爲めにはよけれとも、同役互に同格なる故、互の心をかねて、一人立身に入たる勤め自然と之なし、或は同役にまかれ或は思ひ〳〵にて同役の間へた〳〵になる、これによりて月番と云ふことをして一人つゝ一月きりにその役儀を取さはく、是亦人々仕のきになりて當分の身の耻を拂ふばかりのやうに成り、末のことをも搆はす始終をしめくゝりて、役儀を勤むる人なし、同役幾人ありても一人つゝ一月きりに受取る故、一役のこと殘らず其の月へ受込みて、殊の外に忙はしくて役儀の勤め粗末になること是自然の道理なり、是皆頭助允目と云ふこと立たさる故斯の如し、

新字:頭、助、允、目のこと古三代聖人の御世より異国の代々も、又は日本の古も皆之を立つること、役儀を取捌き人を使ふ道に宜しけれは斯の如く有りたることなり、然るに当時の役割に此差別なく、同役二人にても三人四人にても同格なる故、互に相談して料見の足らぬ所を助くるにはよく、又病気指合の節間のぬけぬ為めにはよけれとも、同役互に同格なる故、互の心をかねて、一人立身に入たる勤め自然と之なし、或は同役にまかれ或は思ひ〳〵にて同役の間へた〳〵になる、これによりて月番と云ふことをして一人つゝ一月きりにその役儀を取さはく、是亦人々仕のきになりて当分の身の耻を払ふばかりのやうに成り、末のことをも搆はす始終をしめくゝりて、役儀を勤むる人なし、同役幾人ありても一人つゝ一月きりに受取る故、一役のこと残らず其の月へ受込みて、殊の外に忙はしくて役儀の勤め粗末になること是自然の道理なり、是皆頭助允目と云ふこと立たさる故斯の如し、

書き下し

頭、助、允、目のこと古三代聖人の御世より異国の代々も、又は日本の古も皆之を立つること、役儀を取捌き人を使ふ道に宜しけれは斯の如く有りたることなり、然るに当時の役割に此差別なく、同役二人にても三人四人にても同格なる故、互に相談して料見の足らぬ所を助くるにはよく、又病気指合の節間のぬけぬ為めにはよけれとも、同役互に同格なる故、互の心をかねて、一人立身に入たる勤め自然と之なし、或は同役にまかれ或は思ひ〳〵にて同役の間へた〳〵になる、これによりて月番と云ふことをして一人つゝ一月きりにその役儀を取さはく、是亦人々仕のきになりて当分の身の耻を払ふばかりのやうに成り、末のことをも搆はす始終をしめくゝりて、役儀を勤むる人なし、同役幾人ありても一人つゝ一月きりに受取る故、一役のこと残らず其の月へ受込みて、殊の外に忙はしくて役儀の勤め粗末になること是自然の道理なり、是皆頭助允目と云ふこと立たさる故斯の如し、

現代語訳

頭・助・允・目のことは、古の三代の聖人の御世から、異国の代々も、また日本の古も皆これを立てたことで、役儀を取り捌き人を使う道によいので、このようにあったのである。それなのに今の役割にはこの差別がなく、同役が二人でも三人四人でも同格なので、互いに相談して料簡の足りないところを助けるにはよく、また病気や差し支えのときに間が抜けないためにはよいけれども、同役が互いに同格なので、互いの心を気兼ねして、一人身を入れた勤めが自然となくなる。あるいは同役に巻かれ、あるいは思い思いになって同役の間がばらばらになる。これによって月番ということをして、一人ずつ一月限りでその役儀を取り捌く。これもまた人々がその場逃れになって、当分の身の恥を払うばかりのようになり、先のことも構わず、始終を締めくくって役儀を勤める人がいない。同役が何人あっても一人ずつ一月限りで受け持つので、一役のことが残らずその月に流れ込み、ことのほか忙しくて役儀の勤めが粗末になることは自然の道理である。これは皆、頭・助・允・目ということが立っていないからこうなのである。

解説

律令の四等官、長官・次官・判官・主典を、徂徠は頭・助・允・目と呼び、古今東西の良制だとする。幕府の役職は同役が皆同格で、相談や欠員の補いには便利だが、互いに遠慮して誰も責任を負わず、ばらばらになる。そこで月番制を敷くが、一月だけの担当は場当たりになり、仕事は一人に集中して粗末になる。合議制と輪番制が無責任を生むという指摘は鋭い。現代の組織でも、責任者が明確でない共同担当や持ち回りの当番は、誰も最後まで締めくくらない。権限と責任の段階を立てることが、仕事の質を守るのである。

この章句が説くこと

四等官責任合議月番組織政談

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