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政談 / 制度の事

其仕方町人百姓ともに衣服は麻木綿なるへし、老人女はつむぎまてを着用すへし、其外堅く用ゆへからす、斯の如く立つるときは假令さんとめ金巾唐木綿を木綿の內なりとて用ゆるやうなる紛らかしたることをは堅く禁すへし、家居にはとこちがひたな書院つくりなげしつくり切り目ゑんからかみ障子はりつけ赤すり白土こし障子まいら戶杉戶らんまのたぐひ玄關しきたいを付け天井はることかたく禁すへし、器物に蒔繪梨地あをかい黑ぬり朱ぬり幷に金銀赤銅のかなもの堅く禁すへし、脇差は皮つか藤つか後さけ緒を用ゆへし、糸つか金銀赤銅の飾り堅く禁すへし、但し鞘は黑ぬりを免すへし、乘物は町人百姓ともに禁すへし、紙は奉書のたくひ杉はらのり入り美濃紙中杉小杉最も檀紙堅く禁すへし、燭臺提燈合羽百姓には堅く禁すへし、

新字:其仕方町人百姓ともに衣服は麻木綿なるへし、老人女はつむぎまてを着用すへし、其外堅く用ゆへからす、斯の如く立つるときは仮令さんとめ金巾唐木綿を木綿の内なりとて用ゆるやうなる紛らかしたることをは堅く禁すへし、家居にはとこちがひたな書院つくりなげしつくり切り目ゑんからかみ障子はりつけ赤すり白土こし障子まいら戸杉戸らんまのたぐひ玄関しきたいを付け天井はることかたく禁すへし、器物に蒔絵梨地あをかい黒ぬり朱ぬり幷に金銀赤銅のかなもの堅く禁すへし、脇差は皮つか藤つか後さけ緒を用ゆへし、糸つか金銀赤銅の飾り堅く禁すへし、但し鞘は黒ぬりを免すへし、乗物は町人百姓ともに禁すへし、紙は奉書のたくひ杉はらのり入り美濃紙中杉小杉最も檀紙堅く禁すへし、燭台提灯合羽百姓には堅く禁すへし、

書き下し

其仕方町人百姓ともに衣服は麻木綿なるへし、老人女はつむぎまてを着用すへし、其外堅く用ゆへからす、斯の如く立つるときは仮令さんとめ金巾唐木綿を木綿の内なりとて用ゆるやうなる紛らかしたることをは堅く禁すへし、家居にはとこちがひたな書院つくりなげしつくり切り目ゑんからかみ障子はりつけ赤すり白土こし障子まいら戸杉戸らんまのたぐひ玄関しきたいを付け天井はることかたく禁すへし、器物に蒔絵梨地あをかい黒ぬり朱ぬり幷に金銀赤銅のかなもの堅く禁すへし、脇差は皮つか藤つか後さけ緒を用ゆへし、糸つか金銀赤銅の飾り堅く禁すへし、但し鞘は黒ぬりを免すへし、乗物は町人百姓ともに禁すへし、紙は奉書のたくひ杉はらのり入り美濃紙中杉小杉最も檀紙堅く禁すへし、燭台提灯合羽百姓には堅く禁すへし、

現代語訳

その仕方は、町人・百姓ともに衣服は麻・木綿とすべきである。老人や女は紬までを着用してよい。そのほかは堅く用いてはならない。このように立てるときは、たとえば桟留・金巾・唐木綿を木綿のうちだといって用いるような紛らわしいことは堅く禁ずべきである。家居には、床・違い棚・書院造り・長押造り・切り目縁・唐紙障子・張り付け・赤すり・白土・腰障子・舞良戸・杉戸・欄間の類、玄関に式台を付け、天井を張ることを堅く禁ずべきである。器物に蒔絵・梨地・青貝・黒塗り・朱塗り、ならびに金銀・赤銅の金物を堅く禁ずべきである。脇差は皮柄・藤柄・後下げ緒を用いるべきである。糸柄・金銀赤銅の飾りは堅く禁ずべきである。ただし鞘は黒塗りを許すべきである。乗物は町人・百姓ともに禁ずべきである。紙は奉書の類、杉原・糊入り・美濃紙・中杉・小杉、最も檀紙を堅く禁ずべきである。燭台・提灯・合羽は百姓には堅く禁ずべきである。

解説

緩急の順の第一段として、町人百姓の暮らしに細かな制限を設ける具体策である。衣服は麻・木綿に限り、輸入綿布を木綿だと言い逃れることも許さない。住居の床の間・書院造り・天井、器物の蒔絵や金具、脇差の飾り、駕籠、高級和紙、百姓の提灯や合羽まで一つずつ禁じていく。現代の感覚では過剰な統制に見えるが、徂徠の狙いは奢侈品の需要を抑えて物価を下げ、武家の困窮を救うことにある。抜け道を具体的に塞ぐ規程の書き方は、ルールを作る者が学べる点である。

この章句が説くこと

奢侈禁令制度町人百姓政談

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