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政談 / 制度の事

女の奬束も五つきぬのやうなることを拵へて地も色も大小長短に一定の法を定め、人父の祿官に應すへし、斯の如くなる時は人々の物好きと世のはやりことはなくなるへし、下々の裝束も中げんには六尺のことく頭をつゝませ、元結きやらの油も入らす祿にすへし、何れにも股引きをはかすへし、當時は大名の供も主人の鼻先へ尻をむき出して禮儀にすることあるましきことなり、若黨は引立ゑぼしにすわうを神はかまをみなかくして是も色も定めなるほと簡易に質素にすへし、供まはりは大勢召連るゝこと大名にても無用たるへし、國持ち大名も當時の一萬石位の供まはりにし、夫より下段々に減少し、二三百石以下は供一人と云程のことに仕りたきことなり、

新字:女の奨束も五つきぬのやうなることを拵へて地も色も大小長短に一定の法を定め、人父の禄官に応すへし、斯の如くなる時は人々の物好きと世のはやりことはなくなるへし、下々の装束も中げんには六尺のことく頭をつゝませ、元結きやらの油も入らす禄にすへし、何れにも股引きをはかすへし、当時は大名の供も主人の鼻先へ尻をむき出して礼儀にすることあるましきことなり、若党は引立ゑぼしにすわうを神はかまをみなかくして是も色も定めなるほと簡易に質素にすへし、供まはりは大勢召連るゝこと大名にても無用たるへし、国持ち大名も当時の一万石位の供まはりにし、夫より下段々に減少し、二三百石以下は供一人と云程のことに仕りたきことなり、

書き下し

女の奨束も五つきぬのやうなることを拵へて地も色も大小長短に一定の法を定め、人父の禄官に応すへし、斯の如くなる時は人々の物好きと世のはやりことはなくなるへし、下々の装束も中げんには六尺のことく頭をつゝませ、元結きやらの油も入らす禄にすへし、何れにも股引きをはかすへし、当時は大名の供も主人の鼻先へ尻をむき出して礼儀にすることあるましきことなり、若党は引立ゑぼしにすわうを神はかまをみなかくして是も色も定めなるほと簡易に質素にすへし、供まはりは大勢召連るゝこと大名にても無用たるへし、国持ち大名も当時の一万石位の供まはりにし、夫より下段々に減少し、二三百石以下は供一人と云程のことに仕りたきことなり、

現代語訳

女の装束も五衣のようなものをこしらえて、生地も色も大小長短に一定の法を定め、その人の父の禄・官に応じさせるべきである。このようになるときは、人々の好みや世の流行はなくなるであろう。下々の装束も、中間には六尺(駕籠かき)のように頭を包ませ、元結や伽羅の油も要らないように禄に応じさせるべきである。いずれにも股引をはかせるべきである。今は大名の供も、主人の鼻先へ尻をむき出して、それを礼儀としていることは、あってはならないことである。若党は引立烏帽子に素襖を着せ、袴を皆隠して、これも色も定め、できるだけ簡易に質素にすべきである。供回りは大勢召し連れることは大名でも無用とすべきである。国持ち大名も今の一万石ほどの供回りにし、それより下は段々に減らし、二三百石以下は供一人というほどにしたいものである。

解説

制度は女性の装束や下々の奉公人の身なりにまで及ぶ。女性の衣装は父の禄・官に応じて型を定め、中間や若党の姿も簡素に統一し、尻をむき出しにして平伏するような見苦しい礼は改める。そして大名行列の供回りを大幅に減らし、国持大名でも今の一万石程度、二三百石以下なら供一人でよいとする。江戸の武家財政を圧迫していた参勤交代や登城の行列の費用を、根本から削ろうという提案である。現代でいえば、儀礼や体面のための人員やコストを格付けごとに上限で定め、見えない固定費を減らす発想に近い。

この章句が説くこと

供回り制度倹約分限礼政談

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