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政談 / 遊女河原者の種姓の分事並に乞食の締りの事

善七手下になるときふる乞しきとも是をはういつむさんにあたる、元來こもかぶり宿なしと云ふものは死と紙一まいほとならてはへたてぬものなる故耻を知らす刑をも恐れす、それをふる乞しきはういつむさんにあたるときは其の心入りたかふて返りたる者になるへし、それをまた乞しきの役として刑罰人倒れもの川なかれ等のことを取りあつかはする故、益々その心暴虐不仁に成るも上の仕向にてなるなり、

新字:善七手下になるときふる乞しきとも是をはういつむさんにあたる、元来こもかぶり宿なしと云ふものは死と紙一まいほとならてはへたてぬものなる故耻を知らす刑をも恐れす、それをふる乞しきはういつむさんにあたるときは其の心入りたかふて返りたる者になるへし、それをまた乞しきの役として刑罰人倒れもの川なかれ等のことを取りあつかはする故、益々その心暴虐不仁に成るも上の仕向にてなるなり、

書き下し

善七手下になるときふる乞しきとも是をはういつむさんにあたる、元来こもかぶり宿なしと云ふものは死と紙一まいほとならてはへたてぬものなる故耻を知らす刑をも恐れす、それをふる乞しきはういつむさんにあたるときは其の心入りたかふて返りたる者になるへし、それをまた乞しきの役として刑罰人倒れもの川なかれ等のことを取りあつかはする故、益々その心暴虐不仁に成るも上の仕向にてなるなり、

現代語訳

善七の手下になると、古くからの乞食どもがこれを乱暴にむちゃくちゃに扱う。もともとこもかぶり・宿なしというものは、死と紙一枚ほどしか隔てていない者なので、恥を知らず刑罰も恐れない。それを古い乞食が乱暴に扱えば、その心はねじ曲がってすっかり変わった者になるだろう。それをまた乞食の役目として、刑罰を受けた者や行き倒れ、川に流れた死体などの処理を扱わせるので、ますますその心が暴虐で不仁になるのも、上の仕向けによってそうなるのである。

解説

落ちぶれたばかりの人を荒んだ環境に放り込み、死体処理などの役を負わせることが、その心をさらに荒ませると指摘した条である。徂徠は人の性質を固定したものと見ず、置かれた環境と与えられる役目によって作られると考える。だから暴虐になるのも「上の仕向け」だと言い切る。人材育成でも同じで、新しく来た人を誰のもとに置き、最初に何を任せるかで、その人の心の向きは大きく変わる。配置と役割の与え方が人をつくるという責任を、上に立つ者は自覚すべきである。

この章句が説くこと

環境配置育成役割人心非人

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