呂氏春秋 / 審應①
──人主出聲應容,不可不審。凡主有識,言不欲先。人唱我和,人先我隨。以其出為之入,以其言為之名,取其實以責其名,則說者不敢妄言,而人主之所執其要矣。
新字:──人主出声応容,不可不審。凡主有識,言不欲先。人唱我和,人先我随。以其出為之入,以其言為之名,取其実以責其名,則説者不敢妄言,而人主之所執其要矣。
書き下し
人主は出聲・應容は、審らかにせざる可からず。凡そ主に識有れば、言先んずることを欲せず。人唱して我和し、人先だちて我隨う。其の出を以て之が入と為し、其の言を以て之が名と為す。其の實を取りて以て其の名を責めば、則ち說者敢て妄言せず。而して人主の執る所、其れ要なり。
現代語訳
君主が声を発し表情に応じる、その振る舞いは慎重に見極めねばならない。およそ君主に見識があれば、自分から先に発言しようとはしない。相手が唱えてこちらが和し、相手が先に立ってこちらが従う。相手の出方を見てその処遇を決め、相手の発言に応じてふさわしい名分・官職を与える。そしてその実績を取り上げて名分どおりかを問いただせば、進言する者もいい加減なことは言えなくなる。こうして君主が握るべき要点が定まるのである。
解説
この段は篇全体の総論で、君主はみだりに先に語らず、まず相手に語らせて言葉と実態が合うかを見極めよと説きます。相手の発言という名分と、実際の成果という実質を照らし合わせる形名参同の考え方が背景にあり、韓非子など法家の統治論とも通じます。君主が先に手の内を明かせば、臣下は君主の意向に合わせて発言を作り、真の情報が得られません。現代のリーダーや面接、交渉の場でも、先に自説を述べず相手に語らせ、言葉と実績の整合を確かめる姿勢は、人を正しく評価し組織を引き締めるうえで有効な原則だと言えます。
この章句が説くこと
審応名実形名参同傾聴君主の心得無為
関連する章句
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呂氏春秋・審分⑥今、此に人有り、牛を求むるに則ち馬と名び、馬を求むるに則ち牛と名べば、求むる所必ず得ず。而るに因りて威怒を用うれば、有司必ず誹怨し、牛馬必ず擾亂す。百官は、衆有司なり。萬物は、群牛馬なり。其の名を正さず、其の職を分かたずして、數々刑罰を用うれば、亂焉より大なるは莫し。夫れ說くに智通を以てして實たすに遇悗を以てし、譽むるに高賢を以てして充つるに卑下を以てし、贊するに潔白を以てして隨うに汙德を以てし、任ずんるに公法を以てして處るに貪枉を以てし、用うるに勇敢を以てして堙つるに罷怯を以てす。此の五者は、皆牛を以て馬と為し、馬を以て牛と為す、名正しからざるなり。故に名正しからざれば、則ち人主、憂勞勤苦して、官職、煩亂悖逆す。國の亡ぶるや、名の傷わるるや、此れ從り生ず。之を白くせんとして顧って黑を益し、之を求めんとして愈々得ざるは、其れ此の義か。故に至治の務は、名を正すに在り。名正しければ則ち人主、憂勞せず。憂勞せざれば則ち其の耳目の主を傷わず。問いて詔げず、知りて為さず、和して矜らず、成して處らず。止まる者は行らしめず、行る者は止めず、形に因りて之に任ず。物に制せられず、肯て使と為ること無く、清靜にして以て公、神は六合に通じ、德は海外に耀き、意は無窮に觀れ、譽は無止に流る。此を之れ性を大湫に定むと謂う。之を命づけて無有と曰う。故に路を得て人を忘るれば、乃ち大いに人を得るなり、夫れ其れ道とするに非ずや。德を知り知を忘るれば、乃ち大いに知を得るなり。夫れ其れ德とするに非ずや。至知は幾せず、靜なれば乃ち幾を明らかにするなり。夫れ其れ明ならずや。大明は小事せず。假なれば乃ち事を理むるなり。夫れ其れ假ならずや。莫人は能くせず、全ければ乃ち能を備うるなり。夫れ其れ全からずや。是の故に全に於いては能を去り、假に於いては事を去り、知に於いては幾を去れば、知る所の者は妙たり。此くの若くなれば、則ち能く其の天に順い、意氣は寂寞の宇に游ぶことを得、形性は自然の所に安んずることを得。萬物を全くして宰せず、澤は天下を被いて、其の自りて始まる所を知ること莫し。五者を備えずと雖も、其の之を好む者は是なり。
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論語・雍也篇子曰く、觚、觚ならず。觚ならんや、觚ならんや。
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