論衡 / 『論衡』答佞篇第三十三・佞人は譽めて人を危うくする
問曰:「佞人好毀人、有諸?」曰:佞人不毀人。如毀人、是讒人也。何則?佞人求利、故不毀人。苟利於己、曷為毀之?苟不利(己)於〔己〕、毀之無益。以計求便、以數取利、利則便得。妒人共事、然後危人。其危人也非毀之、而其害人也非泊之。譽而危之、故人不知。厚而害之、故人不疑。是故佞人危而不怨、害人之敗而不仇。隱情匿意、為之功也。如毀人、人亦毀之、眾不親、士不附也、安能得容世取利於上?
新字:問曰:「佞人好毀人、有諸?」曰:佞人不毀人。如毀人、是讒人也。何則?佞人求利、故不毀人。苟利於己、曷為毀之?苟不利(己)於〔己〕、毀之無益。以計求便、以数取利、利則便得。妬人共事、然後危人。其危人也非毀之、而其害人也非泊之。誉而危之、故人不知。厚而害之、故人不疑。是故佞人危而不怨、害人之敗而不仇。隠情匿意、為之功也。如毀人、人亦毀之、衆不親、士不附也、安能得容世取利於上?
書き下し
問うて曰く、佞人は好んで人を毀る、諸れ有りや。曰く、佞人は人を毀らず。如し人を毀らば、是れ讒人なり。何となれば則ち、佞人は利を求む、故に人を毀らず。苟くも己に利あらば、曷為れぞ之を毀らん。苟くも己に利あらざれば、之を毀るも益無し。計を以て便を求め、数を以て利を取り、利あらば則ち便ち得。人を妒みて事を共にし、然る後に人を危うくす。其の人を危うくするや毀るに非ず、其の人を害するや泊するに非ず。誉めて之を危うくす、故に人知らず。厚くして之を害す、故に人疑わず。是の故に佞人は危うくして怨まれず、人の敗を害して仇とされず。情を隠し意を匿すを、之が功と為す。如し人を毀らば、人も亦た之を毀り、衆は親しまず、士は附かず、安んぞ能く世に容れられて利を上に取るを得ん。
現代語訳
問います。へつらう者は好んで人をそしるのでしょうか。答えます。へつらう者は人をそしりません。もし人をそしるなら、それは讒言する者です。なぜなら、へつらう者は利益を求めるので、人をそしらないのです。自分に利益があるなら、どうしてそしる必要があるでしょう。自分に利益がないなら、そしっても無益です。策略で都合を図り、手管で利益を得て、利益があればすぐ手に入れます。人を妬んで一緒に仕事をし、そのあとで相手を危うくします。人を危うくするのはそしることによってではなく、人を害するのも冷淡さによるものではありません。褒めて危うくするので、人は気づきません。厚遇して害するので、人は疑いません。だからへつらう者は人を危うくしても恨まれず、人を失敗させても仇とされません。本心を隠し、意図をくらますことを、手柄とします。もし人をそしれば、人もその者をそしり、大衆は親しまず、士人も寄りつかず、どうして世に受け入れられて上から利益を得られるでしょうか。
解説

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