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論衡 / 『論衡』刺孟篇第三十・利には二つある

夫利有二、有貨財之利、有安吉之利。惠王曰「何以利吾國」、何以知不欲安吉之利、而孟於徑難以貨財之利也?《易》曰:「利見大人」、「利涉大川」、「《乾》、元享利貞」。《尚書》曰:「黎民亦尚有利哉。」皆安吉之利也。行仁義、得安吉之利。孟子(不)〔必〕且語問惠王何謂利吾國、惠王言貨財之利、乃可答。

新字:夫利有二、有貨財之利、有安吉之利。恵王曰「何以利吾国」、何以知不欲安吉之利、而孟於径難以貨財之利也?《易》曰:「利見大人」、「利渉大川」、「《乾》、元享利貞」。《尚書》曰:「黎民亦尚有利哉。」皆安吉之利也。行仁義、得安吉之利。孟子(不)〔必〕且語問恵王何謂利吾国、恵王言貨財之利、乃可答。

書き下し

夫れ利に二有り。貨財の利有り、安吉の利有り。恵王曰く、何を以て吾が国を利せんと。何を以て安吉の利を欲せずして、孟子は径ちに難ずるに貨財の利を以てするを知らんや。易に曰く、大人を見るに利し、大川を渉るに利し、乾は元亨利貞と。尚書に曰く、黎民亦た尚くは利有らんかなと。皆な安吉の利なり。仁義を行えば、安吉の利を得。孟子は必ず且つ恵王に何をか吾が国を利すと謂うかを語問し、恵王が貨財の利を言えば、乃ち答うべし。

現代語訳

そもそも利には二種類あります。金銭や財貨の利と、安らかで吉い利です。恵王は、どのようにして我が国を利するのかと尋ねました。それなのに、どうして恵王が安らかな吉の利を望んでいないと決めつけ、孟子はすぐに財貨の利として反論したのでしょうか。易経には、大人に会うのによい、大河を渡るのによい、乾は大いに通じ、利あり、貞し、とあります。書経には、人々にもやはり利があるように、とあります。これらはすべて安らかな吉の利です。仁義を行えば、安らかな吉の利が得られます。孟子はまず、恵王に利するとは何を指すのかを尋ね、恵王が財貨の利のことだと言ってから、はじめて答えるべきでした。

解説

孟子が恵王に、利益ではなく仁義を語れと答えた有名な場面への批判です。王充は、利には金銭の利と安吉の利があり、王が何を意味したのかを確かめずに退けたのは対話として不十分だと指摘します。孟子の主張を否定したいのではなく、相手の問いの意味を確かめる手順を問題にしています。現代の会議でも、利益という言葉が収益なのか、社員や顧客にとっての良さなのかが共有されないまま議論が食い違うことがあります。言葉の定義を先に確かめる姿勢は、管理職の基本です。
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この章句が説くこと

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