墨子 / 經說上
平,惔然。利,得是而喜,則是利也。其害也,非是也。害,得是而惡,則是害也。其利也,非是也。治,吾事治矣,人有治南北。譽之,必其行也、其言之忻。使人督之,誹,必其行也、其言之忻譽告以文名,舉彼實也。故,言也者,諸口能之出民者也。民若畫俿也。言也謂言,猶名致也。且,自前曰且,自後曰己方然亦且。若名者,也君,以若名者也。功不待時,若衣裘。功不待時若衣裘賞罪不在禁,惟害無罪殆姑。上報下之功也
新字:平,惔然。利,得是而喜,則是利也。其害也,非是也。害,得是而悪,則是害也。其利也,非是也。治,吾事治矣,人有治南北。誉之,必其行也、其言之忻。使人督之,誹,必其行也、其言之忻誉告以文名,舉彼実也。故,言也者,諸口能之出民者也。民若画俿也。言也謂言,猶名致也。且,自前曰且,自後曰己方然亦且。若名者,也君,以若名者也。功不待時,若衣裘。功不待時若衣裘賞罪不在禁,惟害無罪殆姑。上報下之功也
書き下し
平。惔然たり。利。是を得て喜べば、則ち是れ利なり。其の害は、是に非ざるなり。害。是を得て惡めば、則ち是れ害なり。其の利は、是に非ざるなり。治。吾が事、治まれり。人に南北を治むる有り。譽む。必ず其の行いなり、其の言の忻ぶなり。人をして之を督せしむ。誹る。必ず其の行いなり、其の言の忻ぶなり。譽むるに文名を以て告ぐるは、彼の實を舉ぐるなり。故。言なる者は、諸れ口能く之を出だして民するものなり。民は畫俿の若きなり。言や言と謂う、猶お名の致すがごときなり。且。前よりするを且と曰い、後よりするを己と曰う。方に然らんとするも亦た且なり。名の若き者は、君なり、若の名を以てする者なり。功は時を待たず、衣裘の若し。功は時を待たず、衣裘の若し。賞。罪は禁に在らず、惟だ害あれば罪無きも殆く姑し。上、下の功に報ゆるなり。
現代語訳
平について。静かで動かない。利について。それを得て喜ぶなら、それが利である。その害は、それではない。害について。それを得て嫌うなら、それが害である。その利は、それではない。治について。自分の仕事が片づいた。人には南北を治めることがある。誉めることについて。必ずその行いによるのであり、その言葉が喜ばれることによる。人にそれを見届けさせる。謗ることについて。必ずその行いによるのであり、その言葉による。誉めるのに文字の名で告げるのは、その実を挙げることである。故について。言葉とは、口から出して人に伝えるものである。人は絵に描いた虎のようなものだ。言うことを言というのは、名が届くのと同じである。且について。前から見て且といい、後から見て已という。まさにそうなろうとするのも且である。名のようなものは君であり、その名によるものである。功は時を待たない。衣や裘のようなものだ。功は時を待たない。衣や裘のようなものだ。賞について。罪は禁令にあるのではなく、ただ害があれば罪がなくても危うい。上が下の功に報いることである。
解説
この章句が説くこと
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『慎思録』巻之四梁の蕭允曰く、禍の来たる所は、皆利より生ず。苟も利を求めずんば、禍何よりか生ぜん、と。愚謂へらく、世人の禍に逢ふや、不幸にして至る者は極めて少なし。往往にして利を求むるに因りて禍を得る者多し。夫れ利を求むる者は、己を利せんと欲して却つて害に逢ふ。其の倚伏必然なり。畏れざるべけんや。蓋し利を求むる者は必ず人を害す。人を害せずして己を利するは、未だ之有らざるなり。然らば則ち其の報い豈に災禍無かるべけんや。故に曰く、利は害の本なり、と。名を求むる者も亦た然り。名を求めて反つて名を喪ふ者多し。
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