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論語と算盤 / 教育と情誼・現代教育の得失

故に一般の青年は、自己の資力に応じて小学校を卒業すると、それぞれの専門教育に投じて実際的技術を修むべきである、また高等の教育を受くる者も、尚だ中学時代に於て、将来は如何なる専門学科を修むべきかといふ、確然たる目的を定むることが必要である、浅薄なる虚栄心の為めに修学の法を誤らば、是れ実に青年の一身を誤るのみならず、国家元気の衰退を招く基となるのである。

書き下し

ゆえに一般の青年は、自己の資力に応じて小学校を卒業すると、それぞれの専門教育に投じて実際的技術を修むべきである。また高等の教育を受くる者も、なお中学時代において、将来はいかなる専門学科を修むべきかという、確然たる目的を定むることが必要である。浅薄なる虚栄心のために修学の法を誤らば、これ実に青年の一身を誤るのみならず、国家元気の衰退を招く基となるのである。

現代語訳

だから一般の青年は、自分の資力に応じて、小学校を卒業したらそれぞれの専門教育に進み、実際的な技術を修めるべきである。また高等の教育を受ける者も、中学時代のうちに、将来どんな専門の学科を修めるべきかという、はっきりした目的を定めることが必要である。浅はかな虚栄心のために学び方を誤れば、それは実に青年の一身を誤らせるばかりでなく、国家の活力の衰退を招く元となるのである。

解説

章の結びで渋沢は具体的な処方を示す。一般の青年は資力に応じ、小学校を出たら専門教育に進んで実際の技術を身につけよ。高等教育に進む者も、中学のうちに将来の専門を定めよ。浅い虚栄心で学び方を誤れば、本人の一生を誤るだけでなく、国家の活力を衰えさせる、と。渋沢は東京高等商業学校をはじめ、実業教育や女子教育の学校の設立と運営に数多く関わった。学問を立身出世の飾りではなく、社会で働く力として身につけさせたいという考えが一貫している。資力に応じて、という言い方には、家の経済を無視して分不相応な進学をすることへの戒めが込められており、当時の階層社会を前提にした時代の言葉でもある。それでも、目的なしに学歴を積み上げることへの警告は今に通じる。何のために学ぶのかを先に決めよ、という一点に尽きる。

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