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六祖壇経 / 付嘱品第十

又問:『後莫有難否?』師曰:『吾滅後五六年,當有一人,欲取吾首。聽吾讖曰:「頭上養親,口裡須餐,遇滿之難,楊柳為官。」』又云:「吾去七十年,有二菩薩從東方來,一出家、一在家。同時興化,建立吾宗,締緝伽藍,昌隆法嗣。」問曰:『未知從上佛祖應現已來,傳授幾代,願垂開示。』師云:『古佛應世,已無數量,不可計也。今以七佛為始。過去莊嚴劫毗婆尸佛、尸棄佛、毗舍浮佛;今賢劫拘留孫佛、拘那含牟尼佛、迦葉佛、釋迦文佛是為七佛。』

新字:又問:『後莫有難否?』師曰:『吾滅後五六年,当有一人,欲取吾首。聴吾讖曰:「頭上養親,口裡須餐,遇満之難,楊柳為官。」』又云:「吾去七十年,有二菩薩従東方来,一出家、一在家。同時興化,建立吾宗,締緝伽藍,昌隆法嗣。」問曰:『未知従上仏祖応現已来,伝授幾代,願垂開示。』師云:『古仏応世,已無数量,不可計也。今以七仏為始。過去荘厳劫毗婆尸仏、尸棄仏、毗舎浮仏;今賢劫拘留孫仏、拘那含牟尼仏、迦葉仏、釈迦文仏是為七仏。』

書き下し

又問う、『後に難有ること莫きや否や』と。師曰く、『吾が滅後五六年、当に一人有りて、吾が首を取らんと欲すべし。吾が讖を聴け。曰く、「頭上に親を養い、口裡に須らく餐すべし。満の難に遇い、楊柳官と為る」と。』又云う、「吾去りて七十年、二菩薩有りて東方より来たる、一は出家、一は在家なり。同時に化を興し、吾が宗を建立し、伽藍を締緝し、法嗣を昌隆せん」と。問いて曰く、『未だ知らず、上の仏祖の応現してより已来、伝授すること幾代なるか。願わくは開示を垂れたまえ』と。師云う、『古仏の世に応ずること、已に数量無く、計うべからざるなり。今七仏を以て始めと為す。過去荘厳劫の毘婆尸仏・尸棄仏・毘舎浮仏、今の賢劫の拘留孫仏・拘那含牟尼仏・迦葉仏・釈迦文仏、是れを七仏と為す。』

現代語訳

さらに問うた。『後に災難はないのか』。師は言った。『私の滅後五、六年して、一人の者が私の首を取ろうとするだろう。わが予言を聴け。「頭の上で親を養い、口の中に食を求める。満(まん)という者の難にあい、楊と柳が役人となる」』。また言った。「私が去って七十年ののち、二人の菩薩が東方から来る。一人は出家、一人は在家である。同時に教化を興し、わが宗を打ち立て、寺院を整え、法の後継を盛んにするであろう」。人々は問うた。『これまで仏祖がこの世に現れて以来、法は何代にわたって伝えられてきたのか。どうかお示しいただきたい』。師は言った。『古の仏がこの世に応じて現れたことは、すでに数えきれず、計ることもできない。いまは七仏を始まりとする。過去の荘厳劫(しょうごんこう)の毘婆尸仏(びばしぶつ)・尸棄仏(しきぶつ)・毘舎浮仏(びしゃふぶつ)、いまの賢劫(けんごう)の拘留孫仏(くるそんぶつ)・拘那含牟尼仏(くなごんむにぶつ)・迦葉仏(かしょうぶつ)・釈迦文仏(しゃかもんぶつ)、これを七仏という』。

解説

弟子の問いに答えて、慧能は自分の死後に起こる出来事を予言する。五、六年後に首を狙う者が現れるという讖(しん)は、のちに慧能の首を盗もうとする事件が起きたという伝承に対応している。この予言が、次の段で遺体の頸を鉄と漆布で固めて塔に納める場面の伏線となる。さらに問われて、法の系譜を過去七仏から説き起こす。数えきれない古仏の中から、あえて七仏を始まりとして区切るのである。予言をそのまま史実と受け取る必要はないが、編者たちが慧能を長い伝法の流れの中に位置づけようとしたことはよくわかる。自分の仕事が先人から受け継いだ流れのどこにあるかを知ることは、足元を確かにする。

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