立正安国論 / 『立正安国論』客、誓って従う
客曰今生後生誰不愼誰不恐披此經文具承佛語誹謗之科至重毀法之罪誠深我信一佛拋諸佛仰三部經而閣諸經是非私曲之思則隨先達之詞十方諸人亦復如是今世者勞性心來生者墮阿鼻文明理詳不可疑彌仰貴公之慈誨益開愚客之癡心速廻對治早致泰平先安生前更扶沒後唯非我信又誠他誤耳
新字:客曰今生後生誰不慎誰不恐披此経文具承仏語誹謗之科至重毀法之罪誠深我信一仏抛諸仏仰三部経而閣諸経是非私曲之思則随先達之詞十方諸人亦復如是今世者労性心来生者堕阿鼻文明理詳不可疑弥仰貴公之慈誨益開愚客之痴心速廻対治早致泰平先安生前更扶没後唯非我信又誠他誤耳
書き下し
客曰く、今生後生誰か慎まざらん、誰か恐れざらん。此の経文を披きて具さに仏語を承るに、誹謗の科至って重く、毀法の罪誠に深し。我一仏を信じて諸仏を拋ち、三部経を仰いで諸経を閣きしは、是れ私曲の思いに非ず、則ち先達の詞に随いしなり。十方の諸人も亦復た是くの如し。今世には性心を労し、来生には阿鼻に堕ちん。文明らかに理詳らかなり、疑うべからず。弥いよ貴公の慈誨を仰ぎ、益ます愚客の癡心を開く。速かに対治を廻らし、早く泰平を致し、先ず生前を安んじ、更に没後を扶けん。唯だ我が信ずるのみに非ず、又た誠めて他の誤りを誡めんのみ。
現代語訳
客が言います。今生であれ後生であれ、誰が慎まずにいられ、誰が恐れずにいられるでしょう。この経文を開いて、仏の言葉をつぶさに承ると、誹謗の咎はきわめて重く、法を毀つ罪は実に深いものです。私が一仏を信じて諸仏をなげうち、三部経を仰いで他の諸経をなおざりにしたのは、自分の曲がった思いからではなく、先達の言葉に従ったのです。十方の人々もまたこのとおりです。今の世では心身を労し、来世では阿鼻地獄に堕ちるでしょう。文は明らかで道理は詳しく、疑うことはできません。いよいよあなたの慈愛ある教えを仰ぎ、愚かな私の迷いの心をますます開かれます。すみやかに対治をめぐらし、早く泰平をもたらし、まず生きているうちの安らぎをつくり、さらに死後の安らぎも助けましょう。ただ私が信じるだけでなく、さらに他の人の誤りも戒めていきましょう。
解説

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