正法眼蔵随聞記 / 巻三
作すことの難きにはあらず、能くすることの難きなり、出離得道の行は人ごとに心にかけたるには似たれとも、能くする人まれなればなり、生死事大なり、無常迅速なり、心を緩くすることなかれ、世を捨ては實とに世を捨つべきなり、假名はいかにてもありなんとおぼゆるなり、
新字:作すことの難きにはあらず、能くすることの難きなり、出離得道の行は人ごとに心にかけたるには似たれとも、能くする人まれなればなり、生死事大なり、無常迅速なり、心を緩くすることなかれ、世を捨ては実とに世を捨つべきなり、仮名はいかにてもありなんとおぼゆるなり、
書き下し
作すことの難きにはあらず、能くすることの難きなり、出離得道の行は人ごとに心にかけたるには似たれとも、能くする人まれなればなり、生死事大なり、無常迅速なり、心を緩くすることなかれ、世を捨ては実とに世を捨つべきなり、仮名はいかにてもありなんとおぼゆるなり、
現代語訳
なすことが難しいのではない。よくすることが難しいのである。迷いを離れ道を得る行は、人ごとに心にかけているようには見えるけれども、よくする人はまれだからである。生死は大事である。無常は迅速である。心を緩めてはならない。世を捨てるならば、まことに世を捨てるべきである。仮の名はどうでもよいと思われるのである。
解説
始めることと、身につくまで行うことを分ける一句が中心にある。心にかけている人は多いが、よくする人はまれだという観察が、前条の問いへの本当の答えになっている。世を捨てるなら本当に捨てよ、仮の名はどうでもよいという結びで、名目としての出家か実質かという主題が締めくくられる。
この章句が説くこと
実行習熟無常生死世を捨つ名目
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