立正安国論 / 『立正安国論』金光明経 四王の捨国
主人曰其文繁多其證弘博金光明經云於其國土雖有此經未嘗流布生捨離心不樂聽聞亦不供養尊重讚歎見四部衆持經之人亦復不能尊重乃至供養遂令我等及餘眷屬無量諸天不得聞此甚深妙法背甘露味失正法流無有威光及以勢力增長惡趣損減人天墜生死河乖涅槃路世尊我等四王并諸眷屬及藥叉等見如斯事捨其國土無擁護心非但我等捨棄是王亦有無量守護國土諸大善神皆悉捨去既捨離已其國當有種種灾禍衰失國位一切人衆皆無善心唯有繫縛殺害瞋諍互相讒諂枉及無辜疫病流行彗星數出兩日並現薄蝕無恒黑白二虹表不祥相星流地動井內發聲暴雨惡風不依時節常遭飢饉苗實不成多有他方怨賊侵掠國內人民受諸苦惱土地無有可樂之處
新字:主人曰其文繁多其証弘博金光明経云於其国土雖有此経未嘗流布生捨離心不楽聴聞亦不供養尊重讃嘆見四部衆持経之人亦復不能尊重乃至供養遂令我等及余眷属無量諸天不得聞此甚深妙法背甘露味失正法流無有威光及以勢力增長悪趣損減人天墜生死河乖涅槃路世尊我等四王并諸眷属及薬叉等見如斯事捨其国土無擁護心非但我等捨棄是王亦有無量守護国土諸大善神皆悉捨去既捨離已其国当有種種災禍衰失国位一切人衆皆無善心唯有繋縛殺害瞋諍互相讒諂枉及無辜疫病流行彗星数出両日並現薄蝕無恒黒白二虹表不祥相星流地動井内発声暴雨悪風不依時節常遭飢饉苗実不成多有他方怨賊侵掠国内人民受諸苦悩土地無有可楽之処
書き下し
主人曰く、其の文繁多にして、其の証弘博なり。金光明経に云く、其の国土に於いて此の経有りと雖も、未だ嘗て流布せず、捨離の心を生じて、聴聞することを楽しまず、亦た供養し尊重し讃歎せず、四部の衆、経を持つ人を見ても、亦復た尊重し乃至供養すること能わず。遂に我等及び余の眷属、無量の諸天をして、此の甚深の妙法を聞くことを得ず、甘露の味に背き、正法の流れを失い、威光及び勢力有ること無からしむ。悪趣を増長し、人天を損減し、生死の河に堕ち、涅槃の路に乖かん。世尊、我等四王并びに諸の眷属及び薬叉等、斯くの如き事を見て、其の国土を捨てて、擁護の心無けん。但だ我等のみ捨棄するに非ず、是の王にも亦た無量の国土を守護する諸の大善神有りて、皆悉く捨て去らん。既に捨離し已れば、其の国当に種種の災禍有りて、国位を衰失すべし。一切の人衆、皆な善心無く、唯だ繋縛、殺害、瞋諍有りて、互いに相い讒諂し、枉げて無辜に及ぼし、疫病流行し、彗星数しば出で、両日並び現じ、薄蝕恒無く、黒白の二虹、不祥の相を表し、星流れ地動き、井の内に声を発し、暴雨悪風、時節に依らず、常に飢饉に遭いて、苗実成らず、多く他方の怨賊有りて、国内を侵掠し、人民諸の苦悩を受け、土地に楽しむべき処有ること無けん。
現代語訳
主人が言いました。その文は多く、その証拠は広く深いものです。金光明経にはこうあります。その国土にこの経があっても、まだ広まらず、人々は捨て去る心を生じて、聞くことを楽しまず、供養も尊重も讃歎もせず、四部の衆が経を持つ人を見ても、尊重して供養することができません。そのため、私たちと他の眷属、数えきれない諸天は、この深い妙法を聞くことができず、甘露の味に背き、正法の流れを失い、威光と勢力を失います。悪趣は増え、人界と天界は損なわれ、生死の河に堕ち、涅槃の道から外れてしまいます。世尊よ、私たち四天王と眷属や薬叉たちは、このような事態を見て、その国土を捨て、守る心を失います。私たちだけが捨てるのではなく、この王を守る無数の国土の守護の大善神もみな捨て去るでしょう。すでに捨て去られれば、その国にはさまざまな災禍が起こり、国の位は衰え失われます。人々はみな善い心を失い、ただ縛り、殺し、怒り争うことばかりとなり、互いに讒言しへつらい、無実の者にまで害が及び、疫病が流行し、彗星がしばしば現れ、二つの太陽が並び現れ、日食や月食が絶えず、黒白の二つの虹が不吉の相を示し、星が流れ、地が動き、井戸の中から声がして、暴風雨が季節を乱し、常に飢饉に遭い、作物は実らず、他国の怨賊が多く国内を侵し掠め、人民は苦悩を受け、土地に楽しめる所がなくなるでしょう。
解説

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