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臨済録 / 勘辨

師便問:「汝是凡?是聖?」普化云:「汝且道我是凡?是聖?」師便喝。普化以手指云:「河陽新婦子、木塔老婆禪、臨濟小廝兒,却具一隻眼。」師云:「這賊。」普化云:「賊賊。」便出去。

新字:師便問:「汝是凡?是聖?」普化云:「汝且道我是凡?是聖?」師便喝。普化以手指云:「河陽新婦子、木塔老婆禅、臨済小廝児,却具一隻眼。」師云:「這賊。」普化云:「賊賊。」便出去。

書き下し

師便ち問う、「汝は是れ凡か、是れ聖か。」普化云く、「汝且(しばら)く道え、我は是れ凡か、是れ聖か。」師便ち喝す。普化手を以て指して云く、「河陽は新婦子、木塔は老婆禅、臨済は小廝児(しょうしじ)、却って一隻眼を具す。」師云く、「這の賊。」普化云く、「賊、賊。」便ち出で去る。

現代語訳

(普化が入ってくると)師はすぐに問うた。「おまえは凡人か、聖人か。」普化は言った。「おまえこそ言ってみろ、わしは凡人か、聖人か。」師は一喝した。普化は指さして言った。「河陽は新妻のような禅、木塔は婆さんの禅、臨済は小僧っ子だが、かえって一つの眼をそなえている。」師は「この賊め」と言った。普化は「賊だ、賊だ」と言って出ていった。

解説

凡か聖かを問われた普化は、答えずに問いを臨済へ投げ返す。臨済の喝に対し、普化は同席の河陽を新婦子、木塔を老婆禅と評し、臨済だけを小僧っ子ながら「一隻眼」、つまり本物を見抜く眼を具えていると言う。臨済が「この賊」と罵り、普化が「賊、賊」と返して去るのは、互いの心を盗み取った者同士の賞賛である。普化は鎮州で臨済を助けた風狂の僧で、臨済録の中で臨済と対等に渡り合う稀な人物として描かれる。評価のラベルを貼る問いには、ラベルの外から答えるほかない。人を凡か聖か、有能か無能かで仕分けしたくなるとき、その問いを投げ返されたら自分は何と答えるかを考えてみたい。

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