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李衛公問対 / 卷中

或用間以成功,或憑間以傾敗。若束髮事君,當朝正色,忠以盡節,信以竭誠,雖有善間,安可用乎?唐儉小義,陛下何疑!」太宗曰:「誠哉!『非仁義不能使間』,此豈纖人所為乎?周公大義滅親,況一使人乎?灼無疑矣!」太宗曰:

新字:或用間以成功,或憑間以傾敗。若束髪事君,当朝正色,忠以尽節,信以竭誠,雖有善間,安可用乎?唐倹小義,陛下何疑!」太宗曰:「誠哉!『非仁義不能使間』,此豈繊人所為乎?周公大義滅親,況一使人乎?灼無疑矣!」太宗曰:

書き下し

或いは間を用ひて以て功を成し、或いは間に憑りて以て傾敗す。若し束髪して君に事へ、朝に当たりて色を正し、忠以て節を尽くし、信以て誠を竭(つ)くさば、善間有りと雖も、安んぞ用ふべけんや。唐倹の小義、陛下何ぞ疑はん。」太宗曰く、「誠なるかな。『仁義に非ざれば間を使ふこと能はず』、此れ豈に繊人の為す所ならんや。周公は大義もて親を滅す、況んや一使人をや。灼として疑ひ無し。」太宗曰く、

現代語訳

(李靖の論の末尾はこうである。)あるいは間者を用いて功を成し、あるいは間者に頼って傾き敗れる。もし成人して君主に仕え、朝廷で顔色を正し、忠によって節義を尽くし、信によって誠を尽くすならば、たとえ巧みな間者がいても、どうして用いることができようか。唐倹(唐の重臣)の小さな義について、陛下は何を疑われることがあろうか。」太宗は言った。「まことにそうだ。『仁義の人でなければ間者を使うことはできない』というが、これがどうして小人物のなしうることであろうか。周公(周の武王の弟)は大義のために肉親をも滅ぼした。まして一人の使者などなおさらである。はっきりと疑いはない。」太宗は言った。

解説

李靖が著した論の末尾を引く形で、間者の効用と限界が語られる。間者によって成功する者もあれば、間者に頼って滅ぶ者もある。忠と信で結ばれた臣下が朝廷に並んでいれば、どれほど巧みな間者も入り込む余地がない、というのが李靖の結論である。太宗は『孫子』用間篇の、仁義でなければ間を使えないという句を引いて納得し、周公が兄弟の管叔・蔡叔を討った大義滅親の故事に照らして李靖を免ずる。情報戦や駆け引きに頼るほど、組織は疑心暗鬼に陥りやすい。内部の信頼が厚いことこそが、外からの揺さぶりに対する最大の防御である。

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