礼記 / 表記
子曰:夏道尊命,事鬼敬神而遠之,近人而忠焉,先祿而後威,先賞而後罰,親而不尊。其民之敝,憃而愚,喬而野,樸而不文。殷人尊神,率民以事神,先鬼而後禮,先罰而後賞,尊而不親;其民之敝:蕩而不靜,勝而無恥。周人尊禮尚施,事鬼敬神而遠之,近人而忠焉,其賞罰用爵列,親而不尊,其民之敝,利而巧,文而不慚,賊而蔽。
新字:子曰:夏道尊命,事鬼敬神而遠之,近人而忠焉,先禄而後威,先賞而後罰,親而不尊。其民之敝,憃而愚,喬而野,樸而不文。殷人尊神,率民以事神,先鬼而後礼,先罰而後賞,尊而不親;其民之敝:蕩而不静,勝而無恥。周人尊礼尚施,事鬼敬神而遠之,近人而忠焉,其賞罰用爵列,親而不尊,其民之敝,利而巧,文而不慚,賊而蔽。
書き下し
子曰く、夏道は命を尊び、鬼に事え神を敬してこれを遠ざけ、人に近づけて忠あり。禄を先にして威を後にし、賞を先にして罰を後にし、親しみて尊ばず。其の民の敝(へい)は、憃(おろか)にして愚、喬(おご)りて野、樸にして文ならず。殷人は神を尊び、民を率いて以て神に事え、鬼を先にして礼を後にし、罰を先にして賞を後にし、尊びて親しまず、其の民の敝は、蕩(とう)として静かならず、勝ちて恥無し。周人は礼を尊び施を尚び、鬼に事え神を敬してこれを遠ざけ、人に近づけて忠あり、其の賞罰は爵列を用い、親しみて尊ばず、其の民の敝は、利にして巧、文にして慙(は)じず、賊(そこな)いて蔽(おお)わる。
現代語訳
孔子は言った。夏の政道は、時節ごとの政令を尊び、祖先の霊に仕え神々を敬いながらもこれを遠ざけ、人々に近づいて真心を尽くした。禄を与えることを先にして威圧を後にし、賞を先にして罰を後にしたので、民に親しまれたが尊ばれなかった。その末の世の民の弊害は、おろかで愚鈍、驕って粗野、素朴で飾りがないことであった。殷の人は神を尊び、民を率いて神に仕え、鬼神を先にして礼を後にし、罰を先にして賞を後にしたので、尊ばれたが親しまれなかった。その民の弊害は、放縦で落ち着きがなく、人に勝っても恥を知らないことであった。周の人は礼を尊び、施しを重んじ、祖先の霊に仕え神々を敬いながらもこれを遠ざけ、人々に近づいて真心を尽くした。その賞罰は爵位の序列によって行ったので、親しまれたが尊ばれなかった。その民の弊害は、利にさとく巧みで、飾り立てて恥じることがなく、人を損ないながらそれを覆い隠すことであった。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『慎思録』巻之二政を為すの道は、教養の二者、闕くべからず。二者は養を先と為し、教之に次ぐ。是れ先づ養ひて而る後に教ふるなり。舜は先づ后稷をして民に稼穡を教へしめ、五穀熟して民人育す。而る後に契をして司徒と為し、教ふるに人倫を以てせしむ。此れ養ひて而る後に教ふるなり。既に之を養ひ又之を教へて、民従はず。所以に刑有りて其の罪を正し、民をして教へに従はしむるなり。是を以て舜又皐陶に命じ、士と為りて五刑を司らしむ。其の序の紊るべからざること此くの如し。夫れ後世の政にも、亦た刑法有り。既に刑法有れば、則ち復た先づ教へ無かるべからず。孔子曰く、教へずして殺す、之を虐と謂ふ、と。此れ以て聖人の政は、養を先にし中ごろ教へ刑を後にす。蓋し既に養ひ且つ教へて、苟も従はざる者有らば、已むを得ずして刑を用ゐるのみ。
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『慎思録』巻之五天地の間、人を殺すこと最も多き者、四件有り。刑・兵・歳・病なり。刑罰を省き曲直を明らかにすれば、則ち寃死無し。乱源を禁遏すれば、則ち兵死無し。歳の凶なるに方りて、窮民を周恤すれば、則ち餓死無し。医を択びて病を済へば、則ち枉死無し。政に従ふ者、知らざるべからず。
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論語・顔淵篇季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、「政とは、正なり。子帥いるに正を以てせば、孰か敢えて正しからざらん。」
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論語・為政篇或るひと孔子に謂いて曰く、「子奚ぞ政を為さざる。」子曰く、「書に云う、『孝なるかな惟れ孝、兄弟に友なり。』有政に施すと。是れも亦た政を為すなり。奚ぞ其れ政を為すことのみを為さんや。」
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『学問のすゝめ』初編・愚民の上に苛き政府ありかかる愚民を支配するには、とても道理をもって諭すべき方便なければ、ただ威をもって畏すのみ。西洋の諺に「愚民の上に苛き政府あり」とはこのことなり。こは政府の苛きにあらず、愚民のみずから招く災なり。愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。ゆえに今わが日本国においても、この人民ありてこの政治あるなり。仮りに人民の徳義今日よりも衰えて、なお無学文盲に沈むことあらば、政府の法も今一段厳重になるべく、もしまた、人民みな学問に志して、物事の理を知り、文明の風に赴くことあらば、政府の法もなおまた寛仁大度の場合に及ぶべし。法の苛きと寛やかなるとは、ただ人民の徳不徳によりておのずから加減あるのみ。人誰か苛政を好みて良政を悪む者あらん、誰か本国の富強を祈らざる者あらん、誰か外国の侮りを甘んずる者あらん、これすなわち人たる者の常の情なり。
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『慎思録』巻之六君たり吏たる者、卑賤の人に対して、厳威過ぎて高ければ、則ち勢分相隔絶して、下に在る者、其の情を尽くすことを得ずして、下情達せず、其の利害を詳らかにすること能はず。苟も温顔にして言を受くれば、則ち下情通ず。大率政を為すの道は、下情を通ずるを以て善と為す。
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