礼記 / 表記
子曰:先王諡以尊名,節以一惠,恥名之浮於行也。是故君子不自大其事,不自尚其功,以求處情;過行弗率,以求處厚;彰人之善而美人之功,以求下賢。是故君子雖自卑,而民敬尊之。
新字:子曰:先王諡以尊名,節以一恵,恥名之浮於行也。是故君子不自大其事,不自尚其功,以求処情;過行弗率,以求処厚;彰人之善而美人之功,以求下賢。是故君子雖自卑,而民敬尊之。
書き下し
子曰く、先王は諡(おくりな)して以て名を尊くし、節するに一恵を以てするは、名の行に浮かぶを恥ずればなり。是の故に君子は自ら其の事を大とせず、自ら其の功を尚ばず、以て情に処(お)らんことを求む。過行は率(したが)わず、以て厚に処らんことを求む。人の善を彰らかにして人の功を美とし、以て賢に下らんことを求む。是の故に君子は自ら卑しと雖も、民これを敬尊す。
現代語訳
孔子は言った。先王が諡(死後に贈る名)を定めてその名を尊いものとし、その人の一つの大きな善に絞って名づけるのは、名声が実際の行いを上回ることを恥じるからである。それゆえ君子は、自分の仕事を大きく言わず、自分の功績を誇らず、実情にかなったところに身を置こうとする。行き過ぎた行いは二度とくり返さず、篤実なところに身を置こうとする。人の善を明らかにし、人の功をほめたたえて、賢者にへりくだろうとする。それゆえ君子は、自らを低くしていても、民はこれを敬い尊ぶのである。
解説
諡の定め方を手がかりに、名と実の釣り合いを説く段である。鄭玄は、諡は行いの跡であり、先王は行いを論じて諡を定め、多くの名声があってもその行いの最も大きな一つの善によって諡としたと注する。名が行いより上に浮かぶことを恥じるからで、名声が実質を上回るのは君子の恥とされた。それゆえ君子は自分の仕事を大きく言わず、功を誇らず、実情にかなうところに身を置く。「過行は率わず」を鄭玄は過ちの行いを二度とくり返さないことと解し、『論語』雍也篇で顔回を讃えた「過ちを弐びせず」に重ねている。人の善を明らかにし、人の功をたたえて賢者にへりくだる者を、民はかえって敬い尊ぶ。自己宣伝が求められる今の時代にあっても、実績より大きく見せた評判はいずれ剥がれ、他人の功を素直にたたえる人のまわりに信頼が集まることは変わらない。
この章句が説くこと
礼記表記名実謙譲諡
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