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礼記 / 坊記

子云:「從命不忿,微諫不倦,勞而不怨,可謂孝矣。《詩》云:『孝子不匱。』」 子云:「睦於父母之黨,可謂孝矣。故君子因睦以合族。《詩》云:『此令兄弟,綽綽有裕;不令兄弟,交相為瘉。』」子云:「於父之執,可以乘其車,不可以衣其衣。君子以廣孝也。」

新字:子云:「従命不忿,微諫不倦,労而不怨,可謂孝矣。《詩》云:『孝子不匱。』」 子云:「睦於父母之党,可謂孝矣。故君子因睦以合族。《詩》云:『此令兄弟,綽綽有裕;不令兄弟,交相為瘉。』」子云:「於父之執,可以乗其車,不可以衣其衣。君子以広孝也。」

書き下し

子云う、「命に従いて忿(いか)らず、微諫して倦まず、労して怨みざるは、孝と謂うべし。《詩》に云う、『孝子匱(とぼ)しからず』と」。 子云う、「父母の党に睦まじきは、孝と謂うべし。故に君子は睦に因りて以て族を合す。《詩》に云う、『此の令(よ)き兄弟は、綽綽(しゃくしゃく)として裕(ゆとり)有り。令からざる兄弟は、交々相瘉(や)むことを為す』と」。子云う、「父の執(しつ)に於ては、以て其の車に乗るべく、以て其の衣を衣るべからず。君子以て孝を広むるなり」と。

現代語訳

孔子は言った。「親の言いつけに従って腹を立てず、穏やかに諫めて倦むことなく、苦労しても怨まない。これを孝という。『詩経』に『孝子の孝は尽きることがない』とある」。 孔子は言った。「父母の親族と睦まじくするのは、孝というべきである。それゆえ君子はその睦まじさをもとに一族を集める。『詩経』に『よい兄弟は、ゆったりとゆとりがある。よくない兄弟は、互いに相手を病ませる』とある」。孔子は言った。「父の友(父の執)に対しては、その人の車に乗せてもらうことはあっても、その人の衣服を着ることはしない。君子はこうして孝を広げるのである」。

解説

孝の具体的なあり方を三つの面から説く段である。第一は親への仕え方で、命に従って怒らず、穏やかに諫めて倦まず、苦労しても怨まないことを孝とする。鄭玄はここに『論語』里仁篇の「父母に事うるには幾諫す」と、内則篇の、気を下し色を和らげ声を柔らかにして諫めよという教えを引いている。「孝子匱しからず」は『詩経』大雅・既酔の句である。第二は父母の親族と睦まじくすることで、君子はその睦まじさによって一族を集める。詩は小雅・角弓の句で、よい兄弟はゆとりがあり、悪い兄弟は互いを損なうと歌う。第三は父の友人への接し方で、車に乗せてもらうことはあっても、衣服を借りて着るような馴れ馴れしさは避ける。親に向ける敬意を、親が大切にした人々にまで広げるのが孝の広がりである。親の友人や親戚との付き合い方には、今でもその家族の品位があらわれる。

この章句が説くこと

礼記坊記孝諫め親族

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