礼記 / 哀公問
公曰:「敢問何謂成身?」 孔子對曰:「不過乎物。」 公曰:「敢問君子何貴乎天道也?」 孔子對曰:「貴其不已。如日月東西相從而不已也,是天道也;不閉其久,是天道也;無為而物成,是天道也;已成而明,是天道也。」
新字:公曰:「敢問何謂成身?」 孔子対曰:「不過乎物。」 公曰:「敢問君子何貴乎天道也?」 孔子対曰:「貴其不已。如日月東西相従而不已也,是天道也;不閉其久,是天道也;無為而物成,是天道也;已成而明,是天道也。」
書き下し
公曰く、「敢えて問う、何をか身を成すと謂う」と。 孔子対えて曰く、「物に過ぎず」と。 公曰く、「敢えて問う、君子何ぞ天道を貴ぶや」と。 孔子対えて曰く、「その已(や)まざるを貴ぶ。日月の東西相従いて已まざるが如き、是れ天道なり。その久しきを閉じざる、是れ天道なり。為すこと無くして物成る、是れ天道なり。已に成りて明らかなる、是れ天道なり」と。
現代語訳
哀公はいった。「あえて尋ねるが、身を成すとはどういうことか」。 孔子は答えた。「物事において過ちを犯さないことです」。 哀公はいった。「あえて尋ねるが、君子はなぜ天の道を貴ぶのか」。 孔子は答えた。「止むことがないのを貴ぶのです。太陽と月が東から西へと互いに追いかけて止むことがないように、それが天の道です。久しく続いて閉ざされることがない、それが天の道です。何かをしようとしなくても物が成る、それが天の道です。すでに成し遂げてその功が明らかである、それが天の道です」。
解説
「身を成す」の答えを「物に過ぎず」の一句で示し、続いて天道を貴ぶ理由を語る段である。鄭玄は「物」を事と注し、孔穎達の疏は、事を過たず万事が中を得れば、諸々の行いがみな善となり身が成ると説く。天道については、止まないこと、久しく閉ざされないこと、為さずして物が成ること、成って明らかなことの四つを挙げる。鄭玄はこれを人君が法とすべきものとし、日月の相従うことを君臣の朝会に、閉ざさないことを政教を通じさせて倦まないことに、為さずして成ることを民を煩わせないことに、成って明らかなることを功を照らし察することに当てる。易の乾卦象伝の「天行は健なり、君子以て自ら彊めて息まず」や、中庸の「至誠は息むこと無し」と通じる天道観である。大きなことを一度に成すより、止まずに続けることが天にかなうという教えは、日々の積み重ねを大切にする今の私たちにもそのまま届く。
この章句が説くこと
礼記哀公問天道不已成身
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