礼記 / 雑記上
暢臼以椈,杵以梧。枇以桑,長三尺;或曰五尺。畢用桑,長三尺,刊其柄與末。率帶,諸侯、大夫皆五采;士二采。醴者,稻醴也。甕甒筲衡,實見間而後折入。重,既虞而埋之。
新字:暢臼以椈,杵以梧。枇以桑,長三尺;或曰五尺。畢用桑,長三尺,刊其柄与末。率帯,諸侯、大夫皆五采;士二采。醴者,稲醴也。甕甒筲衡,実見間而後折入。重,既虞而埋之。
書き下し
暢(ちょう)の臼は椈(きく)を以てし、杵は梧を以てす。枇(ひ)は桑を以てし、長さ三尺、或いは曰く五尺。畢(ひつ)は桑を用い、長さ三尺、その柄と末とを刊(けず)る。率帯(そったい)は、諸侯・大夫は皆五采、士は二采。醴(れい)は、稲醴なり。甕(おう)・甒(ぶ)・筲(そう)・衡(こう)は、見間(けんかん)に実(み)てて後に折(せつ)入る。重(ちょう)は、既に虞して埋む。
現代語訳
鬯(ちょう、祭祀に用いる香草を搗いて酒に入れたもの)を搗くための臼は柏の木で作り、杵は桐の木で作る。牲の肉を鼎から取り出す枇(ひ、大きな匙)は桑の木で作り、長さは三尺、一説に五尺という。肉を載せるのを助ける畢(ひつ、二股の具)は桑の木を用い、長さは三尺で、柄と先端を削る。遺体に締める率帯(そったい、縁を縫わずに整えた帯)は、諸侯と大夫はいずれも五色で飾り、士は二色で飾る。副葬する醴(甘酒)は、稲で作った醴である。甕(おう、酢や塩辛を入れる瓶)・甒(ぶ、酒を入れる瓶)・筲(そう、穀物を入れる竹籠)とそれらを載せる台(衡)は、棺の飾りと槨との間に納め、その後で槨の上に承け席を置いて覆う。重(ちょう、位牌ができる前に霊を依らせる木)は、虞祭が済んだら埋める。
解説
祭祀と葬送に用いる道具の材質や寸法、副葬品の納め方を列挙した段である。孔穎達の疏は、臼に柏、杵に桐を用いるのは、柏の香りと桐の清らかな白さが神に供えるものにふさわしいからだと説く。鄭玄は、枇に桑を用いるのは喪の祭であるためで、吉の祭では棘(なつめ)を用いると注している。同じ道具でも吉と凶とで材を変え、死者の帯も生者と違う飾り方をする。こうした区別は、日常の世界と死者の世界とを混ぜないという礼の基本に根ざしている。末尾の「重」は、死後すぐに設けて霊を依らせておく木で、虞祭で正式な位牌に替わると役目を終えて埋められる。細かな器物の話に見えても、弔いの場では普段使いの物をそのまま持ち込まないという今日の感覚と、根は同じである。
この章句が説くこと
礼記雑記祭器葬送吉凶
関連する章句
-
礼記・雑記下上大夫の虞や、少牢。卒哭して事を成し、附するには、皆大牢。下大夫の虞や、特牲。卒哭して事を成し、附するには、皆少牢。 祝、卜葬・虞を称するに、子孫には哀と曰い、夫には乃と曰い、兄弟には某と曰い、その兄弟を卜葬するには伯子某と曰う。 古は、貴賤皆杖つく。叔孫武叔朝して、輪人の、その杖を以て轂(こしき)に関(つらぬ)きて輪を輠(まわ)す者を見て、是に於いて爵有りて後に杖つくなり。
-
礼記・雑記上諸侯相襚(すい)するに、後路(こうろ)と冕服とを以てす。先路と褒衣とは、以て襚せず。遣車(けんしゃ)は牢具を視(み)る。疏布の輤(せん)、四面に章有り、四隅に置く。粻(ちょう)を載す、有子曰く、「礼に非ざるなり。喪奠は、脯醢(ほかい)のみ」と。祭には孝子・孝孫と称し、喪には哀子・哀孫と称す。端衰・喪車は、皆等無し。大白冠・緇布の冠は、皆蕤(ずい)せず。委武(いぶ)、玄・縞にして後に蕤す。大夫は冕して公に祭り、弁して己に祭る。士は弁して公に祭り、冠して己に祭る。士は弁して親迎す、然らば則ち士弁して己に祭るも可なり。
-
礼記・雑記上長子の為に杖つけば、則ちその子は杖を以て位に即かず。妻の為には、父母在せば、杖つかず、稽顙(けいそう)せず。母在せば、稽顙せず。稽顙する者は、その贈には拝するなり。諸侯を違(さ)りて大夫に之(ゆ)くは、服を反さず。 大夫を違りて諸侯に之くも、服を反さず。喪冠は条属(じょうぞく)、以て吉凶を別つ。三年の練冠も、亦た条属、右に縫う。小功以下は左。緦冠(しかん)は繰纓(そうえい)。大功以上は散帯。朝服は十五升、その半ばを去りて緦とし、灰を加うれば、錫(せき)なり。
-
礼記・雑記下世柳(せいりゅう)の母死して、相(しょう)する者左に由る。世柳死して、その徒右に由りて相す。右に由りて相するは、世柳の徒これを為すなり。 天子は飯(はん)に九貝、諸侯は七、大夫は五、士は三。 士は三月にして葬り、是の月や卒哭す。大夫は三月にして葬り、五月にして卒哭す。諸侯は五月にして葬り、七月にして卒哭す。士は三虞、大夫は五、諸侯は七。
-
礼記・喪大記君は大棺八寸、属(ぞく)六寸、椑(へき)四寸。上大夫は大棺八寸、属六寸。下大夫は大棺六寸、属四寸。士は棺六寸。君は棺を裏(うら)うつに朱・緑を用い、雑金の鐕(しん)を用う。大夫は棺を裏うつに玄・緑を用い、牛骨の鐕を用う。士は緑せず。君は蓋に漆を用い、三衽(じん)三束。大夫は蓋に漆を用い、二衽二束。士は蓋に漆を用いず、二衽二束。君・大夫は鬊爪(しゅんそう)、緑中に実(い)る。士はこれを埋む。君の殯には輴(ちゅん)を用い、欑(さん)して上に至り、屋を畢(ことごと)く塗る。大夫の殯には幬(ちゅう)を以てし、欑して西序に置き、塗るも棺に暨(およ)ばず。士の殯は衽を見(あらわ)し、上を塗りてこれに帷す。熬(ごう)は、君は四種八筐、大夫は三種六筐、士は二種四筐、魚・腊(せき)を加う。棺を飾るに、君は竜帷に三池、振容。黼荒(ほこう)、火三列、黼三列。素錦の褚(ちょ)、偽荒を加う。纁紐(くんちゅう)六。斉(せい)は、五采五貝。黼翣(ほそう)二、黻翣(ふつそう)二、画翣二、皆圭を戴く。魚躍りて池を払う。君は纁戴(くんたい)六、纁披(くんぴ)六。大夫は画帷に二池、振容せず。画荒、火三列、黻三列。素錦の褚。纁紐二、玄紐二。斉は、三采三貝。黻翣二、画翣二、皆綏(すい)を戴く。魚躍りて池を払う。大夫は戴、前は纁後は玄、披も亦これの如し。士は布帷・布荒、一池、揄絞(ゆこう)。纁紐二、緇紐二。斉は、三采一貝。画翣二、皆綏を戴く。士は戴、前は纁後は緇、二披纁を用う。君の葬には輴を用い、四綍(ふつ)二碑、棺を御するに羽葆(うほ)を用う。大夫の葬には輴を用い、二綍二碑、棺を御するに茅を用う。士の葬には国車を用い、二綍にして碑無く、宮を出づるに比(およ)びて、棺を御するに功布を用う。凡そ封(ほう)するに、綍を用い碑を去りて引を負う。君は封するに衡を以てし、大夫・士は咸(かん)を以てす。君は嘩(かまびす)しくすること毋かれと命じ、鼓を以て封す。大夫は哭すること毋かれと命じ、士は哭する者相止む。君は松の槨(かく)、大夫は柏の槨、士は雑木の槨。棺槨の間、君は柷(しゅく)を容れ、大夫は壺を容れ、士は甒(ぶ)を容る。君は槨を裏うちて虞筐(ぐきょう)あり、大夫は槨を裏うたず、士は虞筐あらず。
-
礼記・礼器喪祭の用、賓客の交わりは、義なり。 羔(こう)・豚にして祭りて、百官皆足り、大牢にして祭りて、必ずしも余り有らず。此れを之れ称と謂うなり。諸侯は亀を以て宝と為し、圭を以て瑞と為す。家は亀を宝とせず、圭を蔵せず、台門せず。称有るを言うなり。 礼に、多きを以て貴しと為す者有り。天子は七廟、諸侯は五、大夫は三、士は一。天子の豆は二十有六、諸公は十有六、諸侯は十有二、上大夫は八、下大夫は六。諸侯は七介・七牢、大夫は五介・五牢。天子の席は五重、諸侯の席は三重、大夫は再重。天子崩ずれば、七月にして葬り、五重八翣(そう)。諸侯は五月にして葬り、三重六翣。大夫は三月にして葬り、再重四翣。此れ多きを以て貴しと為すなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る