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礼記 / 楽記

鐘聲鏗,鏗以立號,號以立橫,橫以立武。君子聽鐘聲則思武臣。石聲磬,磬以立辨,辨以致死。君子聽磬聲則思死封疆之臣。絲聲哀,哀以立廉,廉以立志。君子聽琴瑟之聲則思志義之臣。竹聲濫,濫以立會,會以聚眾。君子聽竽笙簫管之聲,則思畜聚之臣。鼓鼙之聲讙,讙以立動,動以進眾。君子聽鼓鼙之聲,則思將帥之臣。君子之聽音,非聽其鏗槍而已也,彼亦有所合之也。

新字:鐘声鏗,鏗以立号,号以立横,横以立武。君子聴鐘声則思武臣。石声磬,磬以立弁,弁以致死。君子聴磬声則思死封疆之臣。糸声哀,哀以立廉,廉以立志。君子聴琴瑟之声則思志義之臣。竹声濫,濫以立会,会以聚衆。君子聴竽笙簫管之声,則思畜聚之臣。鼓鼙之声讙,讙以立動,動以進衆。君子聴鼓鼙之声,則思将帥之臣。君子之聴音,非聴其鏗槍而已也,彼亦有所合之也。

書き下し

鐘声は鏗(こう)たり。鏗以て号を立て、号以て横(こう)を立て、横以て武を立つ。君子鐘声を聴けば、則ち武臣を思う。石声は磬(けい)たり。磬以て辨を立て、辨以て死を致す。君子磬声を聴けば、則ち封疆に死するの臣を思う。糸声は哀し。哀以て廉を立て、廉以て志を立つ。君子琴瑟の声を聴けば、則ち志義の臣を思う。竹声は濫(らん)たり。濫以て会を立て、会以て衆を聚む。君子竽笙簫管の声を聴けば、則ち畜聚の臣を思う。鼓鼙(こへい)の声は讙(かん)たり。讙以て動を立て、動以て衆を進む。君子鼓鼙の声を聴けば、則ち将帥の臣を思う。君子の音を聴くは、其の鏗鎗(こうそう)を聴くのみに非ざるなり。彼も亦た之に合する所有るなり。

現代語訳

鐘の音は鏗(こう)と鳴り響く。その響きは号令を立て、号令は気の充実を生み、気の充実は武を立てる。君子は鐘の音を聴けば、武勇の臣を思う。石の磬(けい、石の打楽器)の音は澄んで引き締まる。それは節義の分別を立て、分別は命を投げ出す覚悟を生む。君子は磬の音を聴けば、国境を守って死ぬ臣を思う。糸の弦の音は哀しげである。哀しみは清廉を立て、清廉は志を立てる。君子は琴や瑟の音を聴けば、志と義を守る臣を思う。竹の笛の音はあふれ広がる。それは人を集める力を立て、集める力は人々を寄せ集める。君子は竽・笙・簫・管の音を聴けば、民を養い集める臣を思う。鼓や鼙(へい、小太鼓)の音はにぎやかに響く。それは動きを立て、動きは人々を進ませる。君子は鼓や鼙の音を聴けば、将帥の臣を思う。君子が音を聴くのは、ただその鳴り響く音を聴いているだけではない。音のほうにも、心に合致するものがあるのである。

解説

楽器の音色ごとに、君子が思い起こす臣下の姿を対応させた段である。鐘の音は号令と気迫を生んで武臣を、磬の音は節義の分別を立てて国境に死ぬ臣を、琴瑟の音は清廉と志を立てて志義の臣を、笛の音は人を集めて民を養い集める臣を、太鼓の音は人を動かして将帥の臣を思わせる。鄭玄は、「号」を人々を戒める号令、「横」を気が満ちること、「辨」を節義に明らかなこと、「廉」を角のある潔さと注し、竹の「濫」は人を寄せ集める意だとする。また「石声は磬たり」の磬を、字の誤りで罄と読むべきだとしている。結びの「其の鏗鎗を聴くのみに非ず」は、音楽を聴くことが、そのまま人の資質や役割を思うことにつながるという意味である。組織にも、鐘のように号令をかける人、磬のように筋を通す人、笛のように人を集める人がいる。それぞれの音色を聞き分けることが、人を用いる者の務めである。

この章句が説くこと

礼記楽記楽器臣下人材

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