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礼記 / 楽記

是故先王之制禮樂,人為之節;衰麻哭泣,所以節喪紀也;鐘鼓干戚,所以和安樂也;昏姻冠笄,所以別男女也;射鄉食饗,所以正交接也。禮節民心,樂和民聲,政以行之,刑以防之,禮樂刑政,四達而不悖,則王道備矣。

新字:是故先王之制礼楽,人為之節;衰麻哭泣,所以節喪紀也;鐘鼓干戚,所以和安楽也;昏姻冠笄,所以別男女也;射郷食饗,所以正交接也。礼節民心,楽和民声,政以行之,刑以防之,礼楽刑政,四達而不悖,則王道備矣。

書き下し

是の故に先王の礼楽を制するは、人之が節を為(つく)るなり。衰麻(さいま)哭泣は、喪紀を節する所以なり。鐘鼓干戚は、安楽を和する所以なり。昏姻冠笄(かんけい)は、男女を別つ所以なり。射郷食饗は、交接を正す所以なり。礼は民心を節し、楽は民声を和し、政は以て之を行い、刑は以て之を防ぐ。礼楽刑政、四つながら達して悖(もと)らざれば、則ち王道備わる。

現代語訳

それゆえ先王が礼楽を定めたのは、人のために節度を設けるためである。衰麻(さいま、麻の喪服)を着て声をあげて泣く定めは、喪のしきたりに節度を与えるためである。鐘や太鼓を鳴らし干戚(盾と斧)を持って舞うのは、安らぎと楽しみを和やかにするためである。婚姻と、男子の冠礼・女子の笄礼(けいれい、成人のしるしに笄(こうがい)を挿す儀式)は、男女の別を明らかにするためである。射礼(大射)・郷飲酒の礼・食饗の礼は、人と人との交わりを正すためである。礼は民の心に節度を与え、楽は民の声を和らげ、政はそれを実行させ、刑はそれに反することを防ぐ。礼・楽・刑・政の四つがともに行き渡って互いに食い違わなければ、王者の道は備わる。

解説

前段で人欲が際限なく流れる危うさを述べたのを受け、先王が礼楽によって人に節度を与えた具体例を挙げる段である。鄭玄は冒頭を、法度をつくって欲を遏(とど)めることと注した。喪服と哭泣は悲しみに、鐘鼓と舞は楽しみに、婚姻と冠笄は男女の交わりに、射礼や郷飲酒の礼、饗宴は人づきあいに、それぞれ形を与える。鄭玄によれば、男子は二十歳で冠をつけ、女子は嫁ぐことが決まって笄を挿し、それが成人の礼である。注目したいのは、礼が悲しみや喜びを抑えつけるのではなく、形を与えて程よく表させる仕組みとして描かれていることである。喪の定めがあるから人は安心して泣けるし、祝いの定めがあるから浮かれすぎずに喜べる。葬儀や結婚式、歓送迎会といったいまの儀礼にも、感情の置き場所をつくるという同じ働きが残っている。

この章句が説くこと

礼記楽記礼楽喪礼冠婚

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