礼記 / 学記
學者有四失,教者必知之。人之學也,或失則多,或失則寡,或失則易,或失則止。此四者,心之莫同也。知其心,然後能救其失也。教也者,長善而救其失者也。 善歌者,使人繼其聲;善教者,使人繼其志。其言也約而達,微而臧,罕譬而喻,可謂繼志矣。
新字:学者有四失,教者必知之。人之学也,或失則多,或失則寡,或失則易,或失則止。此四者,心之莫同也。知其心,然後能救其失也。教也者,長善而救其失者也。 善歌者,使人継其声;善教者,使人継其志。其言也約而達,微而臧,罕譬而喩,可謂継志矣。
書き下し
学ぶ者に四失有り、教うる者必ず之を知る。人の学ぶや、或いは多きに失し、或いは寡(すく)なきに失し、或いは易きに失し、或いは止まるに失す。此の四者は、心の同じきこと莫(な)ければなり。其の心を知りて、然る後に能く其の失を救う。教うるなる者は、善を長じて其の失を救う者なり。 善く歌う者は、人をして其の声を継がしめ、善く教うる者は、人をして其の志を継がしむ。其の言や約にして達し、微にして臧(よ)く、譬(たと)えを罕(まれ)にして喩(さと)す、志を継がしむと謂うべし。
現代語訳
学ぶ者には四つの失敗があり、教える者はそれを必ず知っておかねばならない。人が学ぶにあたって、ある者は多くを貪りすぎて失敗し、ある者は少なく済ませすぎて失敗し、ある者は安易に考えすぎて失敗し、ある者は途中で止まってしまって失敗する。この四つは、人の心がそれぞれ同じではないために起こる。その人の心を知ってはじめて、その失敗を救うことができる。教えるとは、その人の長所を伸ばし、その失敗を救うことである。 歌の上手な者は、聞く人にその歌声を受け継がせる。教えの上手な者は、学ぶ人にその志を受け継がせる。その言葉は簡潔でありながら意を尽くし、控えめでありながら善く、たとえは少ないのによくわからせる。これこそ志を受け継がせる教えといえる。
解説
この章句が説くこと
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論語・里仁篇子曰わく、いやしくも仁に志せば、悪しきこと無し。
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史記 刺客列伝高漸離名姓を変じて人の庸保と為り、宋子に匿れ作す。之を久しくして、作苦しく、其の家の堂上に客の筑を撃つを聞き、傍偟して去る能はず。毎に言を出だして曰く、「彼に善有り善ならざる有り」と。従者以て其の主に告げて曰く、「彼の庸は乃ち音を知り、竊かに是非を言ふ」と。家の丈人召して前に筑を撃たしむ。一坐善しと称し、酒を賜ふ。而して高漸離、久しく隠れて畏約すること窮まる時無きを念ひ、乃ち退きて、其の装匣の中の筑と其の善衣とを出だし、容貌を更めて前む。坐を挙げて客皆驚き、下りて与に抗礼し、以て上客と為す。筑を撃ちて歌はしむ。客流涕して去らざる者無し。宋子伝へて之を客とし、秦の始皇に聞こゆ。秦の始皇召し見る。人識る者有りて、乃ち曰く、「高漸離なり」と。秦の皇帝其の善く筑を撃つを惜しみ、重ねて之を赦し、乃ち其の目を矐す。筑を撃たしむるに、未だ嘗て善しと称せずんばあらず。稍く益々之に近づく。高漸離乃ち鉛を以て筑の中に置き、復た進みて近づくを得、筑を挙げて秦の皇帝を樸つ。中らず。是に於て遂に高漸離を誅し、身を終ふるまで復た諸侯の人に近づかず。魯句践已に荊軻の秦王を刺せしを聞き、私かに曰く、「嗟乎、惜しいかな其の刺剣の術を講ぜざりしや。甚だしいかな吾の人を知らざるや。曩者吾之を叱す。彼乃ち我を以て人に非ずと為せしならん」と。太史公曰く、世に荊軻を言ふに、其の太子丹の命を称して、「天粟を雨らし、馬角を生ず」とするや、太だ過ぎたり。又荊軻秦王を傷つくと言ふも、皆非なり。始め公孫季功・董生、夏無且と游び、具に其の事を知り、余の為に之を道ふこと是の如し。曹沫より荊軻に至るまで五人、此れ其の義或いは成り或いは成らず。然れども其の意を立つること較然として、其の志を欺かず、名後世に垂る。豈に妄ならんや。
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