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礼記 / 内則

禮,始於謹夫婦,為宮室,辨外內。男子居外,女子居內,深宮固門,閽寺守之。男不入,女不出。男女不同椸枷,不敢懸於夫之楎椸,不敢藏於夫之篋笥,不敢共湢浴。夫不在,斂枕篋簟席、襡器而藏之。少事長,賤事貴,咸如之。夫婦之禮,唯及七十,同藏無間。故妾雖老,年未滿五十,必與五日之御。將御者,齊,漱浣,慎衣服,櫛縰笄,總角,拂髦,衿纓綦屨。雖婢妾,衣服飲食必後長者。妻不在,妾御莫敢當夕。

新字:礼,始於謹夫婦,為宮室,弁外内。男子居外,女子居内,深宮固門,閽寺守之。男不入,女不出。男女不同椸枷,不敢懸於夫之楎椸,不敢蔵於夫之篋笥,不敢共湢浴。夫不在,斂枕篋簟席、襡器而蔵之。少事長,賤事貴,咸如之。夫婦之礼,唯及七十,同蔵無間。故妾雖老,年未満五十,必与五日之御。将御者,斉,漱浣,慎衣服,櫛縰笄,総角,払髦,衿纓綦屨。雖婢妾,衣服飲食必後長者。妻不在,妾御莫敢当夕。

書き下し

礼は、夫婦を謹むに始まる。宮室を為(つく)り、外内を辨(わか)つ。男子は外に居り、女子は内に居り、宮を深くし門を固くし、閽寺(こんじ)これを守る。男は入らず、女は出でず。男女は椸枷(いか)を同じうせず、敢えて夫の楎椸(きい)に懸けず、敢えて夫の篋笥(きょうし)に蔵せず、敢えて湢浴(ひょくよく)を共にせず。夫在らざれば、枕・篋・簟・席を斂め、器に襡(ふくろ)してこれを蔵す。少は長に事え、賤は貴に事うること、咸なかくの如し。夫婦の礼は、唯七十に及びて、同じく蔵して間無し。故に妾は老いたりと雖も、年未だ五十に満たざれば、必ず五日の御に与(あずか)る。将に御せんとする者は、斉し、漱浣し、衣服を慎み、櫛り縰し笄し、総角し、髦を払い、衿纓し綦屨す。婢妾と雖も、衣服飲食は必ず長者に後る。妻在らざれば、妾の御するも敢えて夕に当たる莫し。

現代語訳

礼は、夫婦の間を慎むことから始まる。住まいを造るときは、外と内とを分ける。男子は外に住み、女子は内に住み、奥の宮を深くし門を堅固にして、門番と宦官がこれを守る。男は奥に入らず、女は外に出ない。男女は衣桁を共にせず、妻は自分の衣を夫の衣掛けに掛けず、夫の箱に自分の物をしまわず、浴室を共にしない。夫が不在のときは、夫の枕、箱、竹むしろ、敷物を片づけ、器物は袋に入れてしまっておく。年少者が年長者に仕え、身分の低い者が高い者に仕えるのも、みなこのようにする。夫婦の間の礼は、七十歳になってはじめて、衣服や持ち物を同じ所にしまい、隔てがなくなる。だから妾は年老いていても、五十歳に満たないうちは、必ず五日に一度の夫との夜の務めにあずかる。夜の務めにつこうとする者は、身を清め、口をすすぎ衣を洗い、衣服を整え、髪をくしけずり包んで笄を挿し、髪を結い、髦の塵を払い、香袋の紐を結び、履物の紐を結ぶ。婢や妾であっても、衣服や飲食は、必ず年長の者より後にする。正妻が不在のときは、妾が夫の夜の務めにあずかっても、正妻の番に当たる夜には侍らない。

解説

夫婦の間の礼と、家の内外の区別を述べる段である。冒頭の「礼は、夫婦を謹むに始まる」は、中庸の「君子の道は、端を夫婦に造す」と同じく、夫婦を人倫の出発点と見る儒家の考えをよく表している。住まいを外と内に分け、門を固く守り、衣掛けや箱、浴室まで夫婦で分けるという規定は、夫婦の間にも節度と距離を保つことを求めたものである。七十歳になってはじめて持ち物を同じ所にしまい隔てがなくなるという一文には、長い歳月をともにした夫婦にのみ許される親密さへの敬意が感じられる。後半の妾の務めに関する規定は、一夫多妻を前提とした当時の貴族の家の秩序であり、今日の価値観とは大きく異なる。それでも、親しい間柄だからこそ節度を保つという考えは、家族や長年の同僚との関係にも通じるものがある。

この章句が説くこと

礼記内則夫婦節度男女

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