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礼記 / 礼運

「昔者先王,未有宮室,冬則居營窟,夏則居橧巢。未有火化,食草木之實,鳥獸之肉,飲其血,茹其毛。未有麻絲,衣其羽皮。 「後聖有作,然後脩火之利,范金,合土,以為臺榭、宮室、牖戶,以炮以燔,以亨以炙,以為醴酪,治其麻絲,以為布帛,以養生送死,以事鬼神上帝,皆從其朔。

新字:「昔者先王,未有宮室,冬則居営窟,夏則居橧巣。未有火化,食草木之実,鳥獣之肉,飲其血,茹其毛。未有麻糸,衣其羽皮。 「後聖有作,然後脩火之利,范金,合土,以為台榭、宮室、牖戸,以炮以燔,以亨以炙,以為醴酪,治其麻糸,以為布帛,以養生送死,以事鬼神上帝,皆従其朔。

書き下し

昔者(むかし)先王、未だ宮室有らず、冬は則ち営窟(えいくつ)に居り、夏は則ち橧巣(そうそう)に居る。未だ火化有らず、草木の実、鳥獣の肉を食らい、其の血を飲み、其の毛を茹(くら)う。未だ麻糸有らず、其の羽皮を衣る。 後聖作(おこ)る有り、然る後に火の利を脩め、金を范(い)、土を合わせ、以て台榭(だいしゃ)・宮室・牖戸(ゆうこ)を為り、以て炮(ほう)し以て燔(や)き、以て亨(に)以て炙(あぶ)り、以て醴酪(れいらく)を為り、其の麻糸を治めて、以て布帛を為り、以て生を養い死を送り、以て鬼神上帝に事う。皆其の朔(はじめ)に従う。

現代語訳

昔、古の王たちの時代には、まだ宮殿や家屋がなく、冬は土を掘った穴ぐらに住み、夏は薪を組んだ巣のような住まいに住んでいた。まだ火で煮炊きすることを知らず、草木の実や鳥獣の肉を食べ、その血を飲み、毛のついたまま肉を食らった。まだ麻や絹がなく、鳥の羽や獣の皮を身にまとっていた。 のちに聖人が現れて、はじめて火の効用を活かし、金属を鋳型に流し、土をこねて焼き、それによって高台や楼閣、宮殿や家屋、窓や戸を作った。肉を包み焼きにし、あぶり焼きにし、煮て、火であぶり、甘酒や乳酒を造った。麻や絹を紡いで布や絹織物を作った。そうして生きている者を養い、死者を送り、鬼神や天帝に仕えた。これらはみな、そのはじまりに従っているのである。

解説

礼運篇で孔子が語る文明の起源の段である。前半は穴ぐらや巣に住み、火を知らず、血を飲み毛ごと肉を食らい、羽や皮をまとう太古の暮らしを描き、後半では後の聖人が火を使い、金属を鋳、土を焼いて家を建て、料理と酒を工夫し、布を織ったと述べる。その目的は、生きる者を養い、死者を送り、神々に仕えることにあったとまとめる。文明の技術が、ただ便利さのためではなく、養生・送死・事神という礼の三つの柱のために生まれたと捉えているところに、この篇の特色がある。末尾の「皆其の朔に従う」は、前段の「皆其の初めに従う」と対になり、礼がどれほど整えられても最初の素朴な心から離れないことを示す。衣食住の便利さに囲まれた今の暮らしも、元をたどれば誰かを養い、見送るための工夫だったと思い返させる段である。

この章句が説くこと

礼記文明火衣食住礼運

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