礼記 / 月令
是月也,大飲烝。 天子乃祈來年于天宗,大割祠于公社及門閭。臘先祖五祀,勞農以休息之。 天子乃命將帥講武習射御角力。 是月也,乃命水虞、漁師收水泉池澤之賦。毋或敢侵削眾庶兆民,以為天子取怨于下。其有若此者,行罪無赦。
新字:是月也,大飲烝。 天子乃祈来年于天宗,大割祠于公社及門閭。臘先祖五祀,労農以休息之。 天子乃命将帥講武習射御角力。 是月也,乃命水虞、漁師収水泉池沢之賦。毋或敢侵削衆庶兆民,以為天子取怨于下。其有若此者,行罪無赦。
書き下し
是の月や、大いに飲烝(いんじょう)す。 天子乃ち来年を天宗(てんそう)に祈り、大いに割(さ)きて公社及び門閭に祠る。先祖・五祀に臘(ろう)し、農を労いて以て之を休息せしむ。 天子乃ち将帥に命じて武を講じ射御角力を習わしむ。 是の月や、乃ち水虞(すいぐ)・漁師に命じて水泉池沢の賦を収めしむ。或いは敢えて衆庶兆民を侵削して、以て天子の為に怨みを下に取ること毋かれ。其れ此くの若き者有らば、罪を行いて赦す無し。
現代語訳
この月、盛大な酒宴を催し、いけにえの肉を俎に盛って供える。 天子は来年の豊作を天宗(日・月・星辰の神々)に祈り、多くのいけにえを裂いて公社(国の土地の神)と村や里の門の神を祀る。先祖と五祀(家の五つの神)に臘の祭りを行い、農民をねぎらって休息させる。 天子は将帥に命じて武芸を講習させ、弓射・御車・力比べを習わせる。 この月、水虞(川沢をつかさどる官)と漁師に命じて、泉や池や沢から上がる税を取り立てさせる。あえて庶民を侵して多く取り立て、天子のために下々の恨みを買うことがあってはならない。そのようなことをする者があれば、罰して許さない。
解説
孟冬の宴と年末の祭り、武芸の講習、そして川沢の税の取り立てを述べる段である。「大いに飲烝す」について、鄭玄は、十月に農事が終わると天子や諸侯が群臣と太学で酒を飲み、年齢の序列を正す礼であると注している。『礼記』雑記下篇には、年末の祭りを見て国じゅうの人が狂ったようだと言った子貢に、孔子が百日の労苦に一日の恩沢を与えるのだと答え、「一張一弛は文武の道なり」と説いた話が見える。張りつめるだけでなく緩めることも政治の道だという考えは、この段の「農を労いて以て之を休息せしむ」と響き合う。後半では、川沢の税を取り立てる役人が民を侵して多く取り、天子のために恨みを買うことを厳しく禁じる。働いた人をきちんと休ませ、現場の行き過ぎを戒めることは、今の組織の長にとっても変わらぬ務めである。
この章句が説くこと
礼記月令臘休息一張一弛
関連する章句
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呂氏春秋・孟冬⑥是の月や、大いに飲蒸し、天子乃ち來年を天宗に祈る。大いに割きて、公社及び門閭を祠り、先祖五祀を饗し、農夫を勞い、以て之を休息せしむ。天子乃ち將率に命じて、武を講じ、射御を肄い、力を角わしむ。
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礼記・月令相(しょう)に命じて徳を布き令を和し、慶を行い恵みを施し、下は兆民に及ぼさしむ。慶賜遂に行われ、当たらざること有る毋(な)し。 乃ち大史に命じて典を守り法を奉じ、天の日月星辰の行りを司り、宿離(しゅくり)貸(たが)わず、経紀を失うこと毋く、初めを以て常と為さしむ。 是の月や、天子乃ち元日を以て穀を上帝に祈る。乃ち元辰を択び、天子親ら耒耜(らいし)を載せ、之を参保介(さんほかい)の御の間に措(お)き、三公・九卿・諸侯・大夫を帥いて、躬(みずか)ら帝藉(ていせき)を耕す。天子は三たび推し、三公は五たび推し、卿・諸侯は九たび推す。反りて、爵を大寝に執り、三公・九卿・諸侯・大夫皆御(はべ)る、命じて労酒と曰う。
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礼記・月令天子乃ち公・卿・大夫と共に国典を飭(ととの)え、時令を論じ、以て来歳の宜しきを待つ。 乃ち大史(たいし)に命じて諸侯の列を次(つい)で、之に犠牲を賦し、以て皇天・上帝・社稷の饗に共せしむ。乃ち同姓の邦に命じて寝廟の芻豢(すうかん)を共せしむ。宰に命じて卿大夫より庶民に至るまでの土田の数を歴(しる)し、而して犠牲を賦し、以て山林名川の祀に共せしむ。凡そ天下九州の民に在る者は、咸(ことごと)く其の力を献じ、以て皇天・上帝・社稷・寝廟・山林・名川の祀に共せざるは無し。
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礼記・月令天子、有司に命じて四海・大川・名源・淵沢・井泉を祈祀せしむ。 是の月や、農に収蔵積聚せざる者有り、馬牛畜獣に放佚(ほういつ)する者有らば、之を取るも詰(とが)めず。山林藪沢(そうたく)に、能く蔬食(そし)を取り、禽獣を田猟する者有らば、野虞(やぐ)之を教道す。其の相侵奪する者有らば、之を罪して赦さず。是の月や、日短至る。陰陽争い、諸生蕩(うご)く。君子は斉戒(さいかい)し、処(お)るに必ず身を掩(おお)う。身は寧(やす)からんことを欲し、声色を去り、耆慾(しよく)を禁ず。形性を安んじ、事は静かならんことを欲し、以て陰陽の定まる所を待つ。
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礼記・月令是の月や、漁師に命じて始めて漁せしめ、天子親ら往き、乃ち魚を嘗(な)め、先ず寝廟に薦む。 冰方(まさ)に盛んにして、水沢腹堅(ふくけん)なり。命じて冰を取らしめ、冰以て入る。民に令を告げて五種を出ださしむ。農に命じて耦耕(ぐうこう)の事を計り、耒耜(らいし)を脩め、田器を具えしむ。 楽師に命じて大いに合吹して罷めしむ。 乃ち四監に命じて秩薪柴(ちつしんさい)を収め、以て郊廟及び百祀の薪燎(しんりょう)に共(きょう)せしむ。是の月や、日は次に窮まり、月は紀に窮まり、星は天に回る。数将に幾(ほとん)ど終わらんとし、歳且に更に始まらんとす。而(なんじ)が農民を専らにし、使う所有る毋かれ。
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礼記・月令乃ち有司に命じて曰く、「寒気総(すべ)て至り、民力堪えず、其れ皆室に入れ」と。 上丁、楽正に命じて学に入りて吹(すい)を習わしむ。 是の月や、大いに帝を饗し、嘗(しょう)す、犠牲備わると天子に告ぐ。 諸侯を合わせ、百県を制し、来歳の為に朔日と、諸侯の民に税する所の軽重の法と、貢職の数とを受けしめ、遠近土地の宜しき所を以て度と為し、以て郊廟の事に給し、私する所有る無し。
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