礼記 / 月令
中央土。其日戊己,其帝黃帝,其神后土。其蟲倮,其音宮,律中黃鍾之宮。其數五。其味甘,其臭香。其祀中霤,祭先心。天子居大廟大室。乘大路,駕黃駵,載黃旂,衣黃衣,服黃玉。食稷與牛。其器圜以閎。
新字:中央土。其日戊己,其帝黄帝,其神后土。其虫倮,其音宮,律中黄鍾之宮。其数五。其味甘,其臭香。其祀中霤,祭先心。天子居大廟大室。乗大路,駕黄駵,載黄旂,衣黄衣,服黄玉。食稷与牛。其器圜以閎。
書き下し
中央は土。其の日は戊己(ぼき)、其の帝は黄帝、其の神は后土(こうど)。其の虫は倮(ら)、其の音は宮、律は黄鍾(こうしょう)の宮に中る。其の数は五。其の味は甘、其の臭は香。其の祀りは中霤(ちゅうりゅう)、祭るに心を先にす。天子は大廟の大室に居り、大路に乗り、黄駵に駕し、黄旂を載せ、黄衣を衣、黄玉を服ぶ。稷(きび)と牛とを食らう。其の器は圜(まる)くして以て閎(ひろ)し。
現代語訳
中央は土である。日は十干の戊と己。帝は黄帝、神は后土(土をつかさどる神)。動物は倮(毛・羽・鱗・甲のない裸のもの)、音は五音の宮、律は黄鍾の宮に当たる。数は五。味は甘さ、においは香ばしさ。祀るのは中霤(家の中央の神)で、供物は心臓を先にする。天子は明堂の中央にある大廟の大室に住まい、大路(天子の大きな車)に乗り、黄駵(黄毛で黒いたてがみの馬)に引かせ、黄色の旗を立て、黄色の衣を着て、黄色の玉を帯びる。稷(うるちきび)と牛を食べる。器は丸く口の広いものを用いる。
解説
夏と秋の間に置かれた「中央土」の段である。五行は木・火・土・金・水の五つであるのに、季節は春夏秋冬の四つしかない。そこで月令は、季夏の後に中央の土を置き、日を戊己、帝を黄帝、神を后土、色を黄、方位を中央に配して、五行と四季の数の食い違いを調整した。虫を倮とするのは、毛も羽も鱗もない裸の生き物を指し、『大戴礼記』には裸の虫の長は聖人であるという説も見える。のちには、四季それぞれの終わりの十八日ほどを土に配する考え方が広まり、日本で夏の土用の丑の日として親しまれている「土用」もその流れをくむ。季節の移り目に中央の土を置き、すべてを受けとめて次へ渡す役を与えたこの発想は、変化と変化の間に調整の時間を設けることの大切さを思い起こさせる。
この章句が説くこと
礼記月令五行中央土土用
関連する章句
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呂氏春秋・季夏⑧中央は土なり。其の日は戊己、其の帝は黃帝、其の神は后土、其の蟲は倮、其の音は宮、律は黃鐘の宮に中る。其の數は五、其の味は甘、其の臭は香、其の祀は中霤、祭るには心を先にす。天子は太廟の太室に居り、大輅に乘り、黃駵を駕し、黃旂を載て、黃衣を衣、黃玉を服び、稷と牛とを食らう。其の器は圜にして以て揜なり。
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呂氏春秋・仲秋①仲秋の月。日は角に在り、昏に牽牛中し、旦に觜嶲中す。其の日は庚辛、其の帝は少皞、其の神は蓐收、其の蟲は毛、其の音は商、律は南呂に中る。其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭るには肝を先にす。涼風生じ、候鴈來たり、玄鳥歸り、群鳥、羞を養う。天子、總章の太廟に居り、戎路に乘り、白駱を駕し、白旂を載て、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らう。其の器は廉にして以て深し。
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『淮南子』時則訓季夏の月、招搖は未を指し、昏に心中し、旦に奎中す。其の位は中央、其の日は戊己、盛德は土に在り、其の蟲は蠃、其の音は宮、律は百鐘に中たり、其の數は五、其の味は甘、其の臭は香、其の祀は中霤、祭には心を先にす。涼風始めて至り、蟋蟀奧に居り、鷹乃ち學習し、腐草化して蚈と為る。天子は黃衣を衣、黃騮に乘り、黃玉を服し、黃旗を建て、稷と牛とを食らい、八風の水を服し、柘を爨き火を燧り、中宮の御女は黃色、黃采を衣、其の兵は劍、其の畜は牛、中宮に朝す。乃ち漁人に命じて、蛟を伐り鼉を取り、龜を登し黿を取らしむ。滂人をして、材葦を入れしむ。四監大夫に命じ、百縣の秩芻をして以て犧牲を養い、以て皇天上帝・名山大川・四方の神・宗廟社稷に供し、民の為に福を祈り惠を行わしむ。死を弔い疾を問い、長老を存視し、稃鬻を行い、席蓐を厚くし、以て萬物の歸するを送らしむ。婦官に命じて采を染めしめ、黼黻文章、青黃白黑、質良ならざる莫く、以て宗廟の服に給し、必ず宣べて以て明らかにす。是の月や、樹木方に盛んなれば、敢えて斬伐する勿かれ。以て諸侯を合し、土功を起こし、眾を動かし兵を興こす可からず、必ず天殃有らん。土潤いて溽暑あり、大雨時に行わる。以て草を殺し田疇を糞し、以て土疆を肥やすに利あり。季夏に春令を行えば、則ち穀實解け落ち、風欬多く、民乃ち遷徙す。秋令を行えば、則ち丘隰水潦し、稼牆熟せず、乃ち女災多し。冬令を行えば、則ち風寒時ならず、鷹隼蚤く摯り、四鄙保に入る。六月は少內を官とし、其の樹は梓なり。
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呂氏春秋・仲夏①仲夏の月。日は東井に在り、昏に亢中し、旦に危中す。其の日は丙丁、其の帝は炎帝、其の神は祝融、其の蟲は羽、其の音は徵、律は蕤賓に中る。其の數は七、其の味は苦、其の臭は焦、其の祀は竈、祭るには肺を先にす。小暑至り、螳蜋生じ、鶪始めて鳴き、反舌聲無し。天子、明堂の太廟に居り、朱輅に乘り、赤駵を駕し、赤旂を載て、朱衣を衣、赤玉を服び、菽と雞とを食らう。其の器は高にして以て觕なり。壯狡を養う。
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礼記・月令孟夏の月、日は畢(ひつ)に在り、昏に翼(よく)中し、旦に婺女(ぶじょ)中す。其の日は丙丁(へいてい)。其の帝は炎帝、其の神は祝融(しゅくゆう)。其の虫は羽。其の音は徴(ち)、律は中呂(ちゅうりょ)に中る。其の数は七。其の味は苦、其の臭は焦(しょう)。其の祀りは竈(かまど)、祭るに肺を先にす。螻蟈(ろうかく)鳴き、蚯蚓(きゅういん)出で、王瓜(おうか)生じ、苦菜秀(ひい)ず。
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呂氏春秋・季秋①季秋の月。日は房に在り、昏に虚中し、旦に柳中す。其の日は庚辛、其の帝は少皞、其の神は蓐收、其の蟲は毛、其の音は商、律は無射に中る。其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭るには肝を先にす。候鴈來たり、賓爵、大水に入りて蛤と為る。菊に黄華有り。豺は則ち獸を祭り禽を戮す。天子は總章の右個に居り、戎路に乘り、白駱を駕し、白旂を載て、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らう。其の器は廉にして以て深し。
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