呂氏春秋 / 季夏⑧
中央土:其日戊己。其帝黃帝。其神后土。其蟲倮。其音宮。律中黃鐘之宮。其數五。其味甘。其臭香。其祀中霤。祭先心。天子居太廟太室,乘大輅,駕黃駵,載黃旂,衣黃衣,服黃玉,食稷與牛。其(氣)〔器〕圜以揜。
新字:中央土:其日戊己。其帝黄帝。其神后土。其虫倮。其音宮。律中黄鐘之宮。其数五。其味甘。其臭香。其祀中霤。祭先心。天子居太廟太室,乗大輅,駕黄駵,載黄旂,衣黄衣,服黄玉,食稷与牛。其(気)〔器〕圜以揜。
書き下し
中央は土なり。其の日は戊己、其の帝は黃帝、其の神は后土、其の蟲は倮、其の音は宮、律は黃鐘の宮に中る。其の數は五、其の味は甘、其の臭は香、其の祀は中霤、祭るには心を先にす。天子は太廟の太室に居り、大輅に乘り、黃駵を駕し、黃旂を載て、黃衣を衣、黃玉を服び、稷と牛とを食らう。其の器は圜にして以て揜なり。
現代語訳
中央は土に配される。その日の干支は戊己、主宰する帝は黄帝、その神は后土、動物は倮虫(毛や鱗のないもの)、音階は宮、律は黄鐘の宮に配される。数は五、味は甘、匂いは香り。祀るのは中霤(部屋の中央)の神で、供物には心を先にする。天子は太廟の中央の室に住み、大きな車に乗り、黄毛の馬を駕し、黄色の旗を立て、黄色の衣を着て黄玉を帯び、稷(きび)と牛肉を食べる。器は丸く広いものを用いる。
解説
この段は、四季を五行に当てはめると一つ足りないため、季夏の後に「中央・土」を置いて五行を完成させたものです。土徳には黄帝・后土が配され、黄色や甘味など「土」に属する象徴が並びます。中央は四方を統べる要の位置であり、天子はここで万物を統べる存在として描かれます。五行説では木火土金水を四季と方位に配し、宇宙を体系的に理解しようとしました。ばらばらな事象を一つの秩序ある枠組みに整理して全体を捉えようとするこの発想は、複雑な世界を体系立てて理解しようとする現代の思考にも通じます。
この章句が説くこと
中央土徳黄帝后土五行中霤
関連する章句
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礼記・月令中央は土。其の日は戊己(ぼき)、其の帝は黄帝、其の神は后土(こうど)。其の虫は倮(ら)、其の音は宮、律は黄鍾(こうしょう)の宮に中る。其の数は五。其の味は甘、其の臭は香。其の祀りは中霤(ちゅうりゅう)、祭るに心を先にす。天子は大廟の大室に居り、大路に乗り、黄駵に駕し、黄旂を載せ、黄衣を衣、黄玉を服ぶ。稷(きび)と牛とを食らう。其の器は圜(まる)くして以て閎(ひろ)し。
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『淮南子』天文訓何をか五星と謂う。東方は、木なり。其の帝は太皞、其の佐は句芒、規を執りて春を治む。其の神は歲星と為り、其の獸は蒼龍、其の音は角、其の日は甲乙。南方は、火なり。其の帝は炎帝、其の佐は朱明、衡を執りて夏を治む。其の神は熒惑と為り、其の獸は朱鳥、其の音は徵、其の日は丙丁。中央は、土なり。其の帝は黃帝、其の佐は后土、繩を執りて四方を制す。其の神は鎮星と為り、其の獸は黃龍、其の音は宮、其の日は戊己。西方は、金なり。其の帝は少昊、其の佐は蓐收、矩を執りて秋を治む。其の神は太白と為り、其の獸は白虎、其の音は商、其の日は庚辛。北方は、水なり。其の帝は顓頊、其の佐は玄冥、權を執りて冬を治む。其の神は辰星と為り、其の獸は玄武、其の音は羽、其の日は壬癸。
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五行大義・第三明数・第二論五行及生成数天の九は地四の偶たるなり。地の十は天五の匹たるなり。陰陽各おの合う有りて、然る後に気性相得て、施化行わるるなり。故に四時の運、五行に成る。土は四行を総べ、時の季に居りて、以て之を成すなり。五行伝及び白虎通、皆云う、「木は土に非ざれば生ぜず、根核茂栄す。火は土に非ざれば栄えず、木を得て形を著す。金は土に非ざれば成らず、範に入りて名を成す。水は土に非ざれば停まらず、隄防して盈つるを禁ず。土は微を扶け衰えを助け、其の道を成すに応ず」と。故に五行更互に土を須(ま)つ。土は四季に王として中央に居り、名を以て時を成さず。故に知る、同時に倶に起こり、但だ義を託して相生ずることを。伝に曰く、「五行並び起こり、各おの名を以て別つ」と。常に数に従う義に云う、北方の亥子は水なり、生数は一。丑は土なり、生数は五。一と五と相得て六と為る。故に水の成数は六なり。東方の寅卯は木なり、生数は三。辰は土なり、生数は五。三と五と相得て八と為る。故に木の成数は八なり。南方の巳午は火なり、生数は二。未は土なり、生数は五。二と五と相得て七と為る。故に火の成数は七なり。西方の申酉は金なり、生数は四。戌は土なり、生数は五。四と五と相得て九と為る。故に金の成数は九なり。中央の戊己は土なり、生数は五。又土の位は中に在り、其の数本五。両五相得て十と為る。故に土の成数は十なり。此れ陰陽両気各おの一周するなり。
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『管子』五行昔者黄帝は蚩尤を得て天道に明らかに、大常を得て地利に察かに、奢龍を得て東方に辯じ、祝融を得て南方に辯じ、大封を得て西方に辯じ、后土を得て北方に辯ず。黄帝六相を得て天地治まり、神明至る。蚩尤は天道に明らかなり、故に當時と為さしむ。大常は地利に察かなり、故に廩者と為さしむ。奢龍は東方を辨ず、故に土師と為さしむ。祝融は南方を辨ず、故に司徒と為さしむ。大封は西方を辨ず、故に司馬と為さしむ。后土は北方を辨ず、故に李と為さしむ。是の故に春は土師なり、夏は司徒なり、秋は司馬なり、冬は李なり。昔黄帝は其の緩急を以て五聲を作り、以て五鍾を政む。其の五鍾に令す。一に曰く青鍾、大音。二に曰く赤鍾、重心。三に曰く黄鍾、灑光。四に曰く景鍾、其の明を昧くす。五に曰く黒鍾、其の常を隱す。五聲既に調いて、然る後に立てて五行を作り、以て天時を正し、五官以て人位を正す。人と天と調いて、然る後に天地の美生ず。
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五行大義・第二弁体性故に稼穡と曰う。土は中に居り、以て四季を主(つかさど)り、四時を成す。中央は、内事・宮室・夫婦・親属の象たり。古者、天子より士人に至るまで、宮室寝処、皆高卑節度有り。其の過ぎんよりは、寧ろ倹なれ。禹は宮室を卑くし、孔子之を善しとす。后・夫人・左右の妾媵(しょうよう)差有り、九族序有り、骨肉恩有りて、百姓の軌則とする所と為るなり。此の如く中和の気に順えば、則ち土其の性を得。其の性を得れば、則ち百穀実りて稼穡成る。如し人君意を縦(ほしいまま)にして宮室台榭を広くし、五色に鏤彫し、人力を罷(つか)らせ尽くし、親疎別無く、妻妾度を過ぐれば、則ち土其の性を失う。土其の性を失えば、則ち気乱れ、稼穡成らず。故に五穀登らず、風霧害を為す。故に土は稼穡せずと曰う。金を従革と曰う。従革とは、革は更なり。範に従いて更(あらた)め、形革まりて器を成すなり。西方は物既に成り、殺気の盛んなる所なり。故に秋気起こりて鷹隼(ようしゅん)撃ち、春気動きて鷹隼化す。此れ殺生の二端なり。是を以て白露霜と為る。霜は殺伐の表なり。王者は兵を教え、戎事を集めて以て不義を誅し、暴乱を禁じて以て百姓を安んず。古の人君は、安けれども危うきを忘れず、以て不虞を戒む。故に曰く、「天下安しと雖も、戦を忘るる者は危うく、国邑強しと雖も、盒摒(好戦)は必ず亡ぶ」と。殺伐は必ず義に応ず。義に応ずれば則ち金気順う。金気順えば則ち其の性の如し。其の性の如くなるとは、工冶鋳作し、形を革めて器を成す。如し人君侵凌を楽しみ、攻戦を好み、色賂を貪り、百姓の命を軽んじ、人民騒動すれば、則ち金其の性を失い、冶鋳化せず、凝滞して渠堅(きょけん)、成らざる者衆し。秋の時、万物皆熟し、百穀已に熟す。若し金気に逆らえば、則ち万物成らず。故に金は従革せずと曰う。水を潤下と曰う。潤下とは、水は湿に流れ、汚下に就くなり。
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呂氏春秋・季夏①季夏の月。日は柳に在り、昏に心中し、旦に奎中す。其の日は丙丁、其の帝は炎帝、其の神は祝融、其の蟲は羽、其の音は徵、律は林鐘に中る。其の數は七、其の味は苦、其の臭は焦。其の祀は竈、祭るには肺を先にす。涼風始めて至り、蟋蟀、宇に居り、鷹乃ち學習し、腐草、化して蚈と為る。天子、明堂の右个に居り、朱輅に乘り、赤騮を駕し、赤旂を載て、朱衣を衣、赤玉を服び、菽と鶏とを食らう。其の器は高にして以て觕なり。

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