礼記 / 月令
是月也,耕者少舍。乃脩闔扇,寢廟畢備。毋作大事,以妨農之事。是月也,毋竭川澤,毋漉陂池,毋焚山林。 天子乃鮮羔開冰,先薦寢廟。 上丁,命樂正習舞,釋菜。天子乃帥三公、九卿、諸侯、大夫親往視之。仲丁,又命樂正入學習樂。
新字:是月也,耕者少舎。乃脩闔扇,寝廟畢備。毋作大事,以妨農之事。是月也,毋竭川沢,毋漉陂池,毋焚山林。 天子乃鮮羔開冰,先薦寝廟。 上丁,命楽正習舞,釈菜。天子乃帥三公、九卿、諸侯、大夫親往視之。仲丁,又命楽正入学習楽。
書き下し
是の月や、耕す者少しく舎(や)む。乃ち闔扇(こうせん)を脩め、寝廟畢(ことごと)く備う。大事を作(おこ)して、以て農の事を妨ぐること毋かれ。是の月や、川沢を竭(つ)くすこと毋く、陂池(ひち)を漉(から)すこと毋く、山林を焚くこと毋かれ。 天子乃ち羔(こひつじ)を鮮(ささ)げて冰を開き、先ず寝廟に薦む。 上丁(じょうてい)、楽正に命じて舞を習わしめ、菜を釈(お)かしむ。天子乃ち三公・九卿・諸侯・大夫を帥いて親ら往きて之を視る。仲丁、又楽正に命じて学に入りて楽を習わしむ。
現代語訳
この月、耕す者は春耕の合間にわずかな休みをとる。そこで門の扉を修理し、寝(奥の建物)と廟をすべて整える。大がかりな事業を起こして農事を妨げてはならない。この月には、川や沢の水を汲み尽くしてはならず、ため池の水を干してはならず、山林を焼いてはならない。 天子は子羊を供えて氷室を開き、取り出した氷をまず寝廟に供える。 上旬の丁の日には、楽正に命じて舞を習わせ、先師に菜を供える釈菜の礼を行わせる。天子は三公・九卿・諸侯・大夫を率いてみずから出向いてこれを見る。中旬の丁の日には、また楽正に命じて学校に入らせ、音楽を習わせる。
解説
仲春の農事への配慮と、氷の蔵開き、学校での舞と楽の稽古を述べる段である。耕作の合間に少し休みがとれるこの時期に門扉や寝廟を修理させるのは、農事の手が空いた時を見計らって公の仕事を行うためで、大事業を起こして農事を妨げることは戒められる。冬に蓄えた氷を開く時に子羊を供え、最初の氷をまず祖先の廟に供えるのは、新しいものをまず先祖に捧げる報本の心の表れである。上旬と中旬の丁の日に楽正が学生に舞と楽を習わせ、天子がみずから視察するのは、礼楽の教育を国の大事として重んじたことを示している。人々の本業を妨げない時期を選んで他の仕事を入れるという配慮は、現代の組織で繁忙期を避けて行事や改修を計画する知恵とそのまま重なる。
この章句が説くこと
礼記月令釈菜礼楽農時
関連する章句
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呂氏春秋・仲春⑥是の月や、川澤を竭くすこと無く、陂池を漉くすこと無く、山林を焚くこと無からしむ。天子乃ち羔を獻じ、冰を開き、先づ寝廟に薦む。上丁に、樂正に命じて學に入り舞を習わしめ、采を舎かしむ。天子乃ち三公九卿諸侯を率いて親ら往きて之を視る。中丁に、又樂正に命じ、學に入り樂を習わしむ。
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礼記・月令是の月や、楽正(がくせい)に命じて学に入りて舞を習わしむ。乃ち祭典を脩む。山林川沢を祀らしめ、犠牲に牝(ひん)を用うること毋からしむ。 木を伐ることを禁止す。巣を覆すこと毋く、孩虫(がいちゅう)・胎・夭(よう)・飛鳥を殺すこと毋く、麛(べい)すること毋く、卵すること毋し。大衆を聚むること毋く、城郭を置くこと毋し。骼(かく)を掩(おお)い胔(し)を埋む。 是の月や、以て兵を称(あ)ぐべからず、兵を称ぐれば必ず天殃(てんおう)あり。兵戎起こらざれば、我より始むべからず。天の道を変ずること毋く、地の理を絶つこと毋く、人の紀を乱すこと毋かれ。
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礼記・月令百工咸(みな)理(おさ)まり、監工日に号(ごう)す。時に悖(もと)ること毋く、或いは淫巧を作為して以て上の心を蕩(うご)かすこと毋かれ、と。 是の月の末、吉日を択びて、大いに楽を合わせ、天子乃ち三公・九卿・諸侯・大夫を帥いて親ら往きて之を視る。 是の月や、乃ち累牛(るいぎゅう)・騰馬(とうば)を合わせ、牝を牧に遊ばしむ。犠牲・駒・犢(とく)、挙げて其の数を書す。
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礼記・月令是の月や、漁師に命じて始めて漁せしめ、天子親ら往き、乃ち魚を嘗(な)め、先ず寝廟に薦む。 冰方(まさ)に盛んにして、水沢腹堅(ふくけん)なり。命じて冰を取らしめ、冰以て入る。民に令を告げて五種を出ださしむ。農に命じて耦耕(ぐうこう)の事を計り、耒耜(らいし)を脩め、田器を具えしむ。 楽師に命じて大いに合吹して罷めしむ。 乃ち四監に命じて秩薪柴(ちつしんさい)を収め、以て郊廟及び百祀の薪燎(しんりょう)に共(きょう)せしむ。是の月や、日は次に窮まり、月は紀に窮まり、星は天に回る。数将に幾(ほとん)ど終わらんとし、歳且に更に始まらんとす。而(なんじ)が農民を専らにし、使う所有る毋かれ。
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礼記・月令是の月や、祀るに犠牲を用いず、圭璧(けいへき)を用い、皮幣(ひへい)に更(か)う。 仲春に秋の令を行えば、則ち其の国大いに水あり、寒気揔(すべ)て至り、寇戎(こうじゅう)来たり征す。冬の令を行えば、則ち陽気勝たず、麦乃ち熟さず、民多く相掠(かす)む。夏の令を行えば、則ち国乃ち大いに旱(ひでり)し、煖気早く来たり、虫螟(ちゅうめい)害を為す。
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礼記・月令孟春に夏の令を行えば、則ち雨水時ならず、草木蚤(はや)く落ち、国時に恐れ有り。秋の令を行えば、則ち其の民大いに疫(えき)し、猋風(ひょうふう)暴雨総(すべ)て至り、藜(あかざ)・莠(はぐさ)・蓬(よもぎ)・蒿(よもぎ)並び興る。冬の令を行えば、則ち水潦(すいろう)敗を為し、雪霜大いに摯(いた)り、首種(しゅしゅ)入らず。 仲春の月、日は奎(けい)に在り、昏に弧(こ)中し、旦に建星中す。其の日は甲乙、其の帝は大皞、其の神は句芒。其の虫は鱗。其の音は角、律は夾鍾(きょうしょう)に中る。其の数は八。其の味は酸、其の臭は羶、其の祀りは戸、祭るに脾を先にす。
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