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礼記 / 檀弓上

天子之哭諸侯也,爵弁絰緇衣;或曰:使有司哭之,為之不以樂食。 天子之殯也,菆塗龍輴以槨,加斧于椁上,畢塗屋,天子之禮也。 唯天子之喪,有別姓而哭。 魯哀公誄孔丘曰:「天不遺耆老,莫相予位焉,嗚呼哀哉!尼父!」

新字:天子之哭諸侯也,爵弁絰緇衣;或曰:使有司哭之,為之不以楽食。 天子之殯也,菆塗竜輴以槨,加斧于椁上,畢塗屋,天子之礼也。 唯天子之喪,有別姓而哭。 魯哀公誄孔丘曰:「天不遺耆老,莫相予位焉,嗚呼哀哉!尼父!」

書き下し

天子の諸侯を哭するや、爵弁(しゃくべん)絰(てつ)緇衣(しい)す。或いは曰く、有司をしてこれを哭せしめ、これが為に楽を以て食せず、と。 天子の殯や、菆塗(そうと)して龍輴(りょうしゅん)するに槨(かく)を以てし、斧を椁の上に加え、畢(ことごと)く屋に塗る、天子の礼なり。 唯だ天子の喪にのみ、姓を別ちて哭すること有り。 魯の哀公孔丘を誄(るい)して曰く、「天耆老(きろう)を遺さず、予(われ)を位に相(たす)くる莫し。嗚呼(ああ)哀しいかな、尼父(じほ)」と。

現代語訳

天子が諸侯の死を哭するときは、爵弁(しゃくべん、赤黒い布の冠)をかぶり、首に絰(てつ、麻の帯)を着け、緇衣(しい、黒い衣)を着る。一説には、役人に命じて哭させ、天子自身はその諸侯のために食事に音楽を用いない、という。 天子の殯では、木を積み上げて柩を載せた龍輴(りょうしゅん、竜を描いた柩車)を囲み、椁の形にし、椁の上には斧の模様を描いた布を掛け、全体を家屋の形に土で塗り込める。これが天子の礼である。 天子の喪に限って、参列者が姓の同じ者、異なる者などに分かれて列をなして哭する。 魯の哀公は孔丘(孔子)の死を悼んで誄(るい、死者の徳を述べる弔辞)を作って言った。「天はこの老人を残してくださらず、もはや私を位にあって助けてくれる者はいない。ああ、悲しいことよ、尼父(じほ、孔子への尊称)よ」。

解説

天子の喪に関わる礼と、孔子への弔辞を記した段である。天子が諸侯のために哭する装いについて、鄭玄は士の祭服を着て哭するのは常と変えたことを示すためで、天子は至尊なので尸や柩を見ないと注している。天子の殯は柩車ごと木で囲み、斧模様の布を掛けて家の形に塗り込め、天子の喪では参列者が姓ごとに分かれて列をなす。鄭玄は、諸侯を同姓・異姓・庶姓に分けて位に就かせるのだと注する。天下の主の喪は、そのまま天下の秩序を映し出す場なのである。末尾の哀公の誄は、『春秋左氏伝』哀公十六年にやや長い形で見える。同じ箇所で子貢は、生きているうちに用いず、死んでから誄するのは礼ではないと批判した。孔子を登用しきれなかった君主が、失ってからその大きさを嘆くという構図は痛切である。人は失ってから価値に気づくと言うが、組織の上に立つ者ほど、身近な人の力を生前に生かす責任がある。

この章句が説くこと

礼記天子孔子誄哀公

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